露店商の少女との出会い
2月26日、日間ランキング74位!
ありがとうございます!!
すんごく嬉しいです!
本日二回目の投稿ですー
「ゲームの世界に戻ってきた!」
時刻は19時半過ぎだ。
空はすっかり暗くなっていて、道の両端に並ぶ街頭が煌々と光って町を明るく照らしている。
モンスターを狩りにいっていたプレイヤーが大勢戻って来ているのが見える。
夜の間はフィールドに出ると、モンスターはもちろんフィールドすら闇で見えなくなるので、大抵のプレイヤーは夜の間にすることが特にないのだろう。
その結果が、広場のこの賑わいだ。
多くのプレイヤーが広場に並ぶ屋台で料理を買ったり、近くのベンチに座って他のプレイヤーと歓談したりという風に、皆が思い思いにこの世界を楽しんでいる。
ログアウトしたときは自分は広場の外縁にあったベンチに座っていたが、今は中央広場にある噴水の近くに立っている。
広場でログアウト&再ログインすると、自動的にこの場所に移動するみたいだ。
少し周りを歩いて雰囲気を味わってみる。
あっ、あのお肉の串焼きおいしそう…
やばい!
夜ごはん食べたばっかなのに、お腹すいてきちゃったよ!
所持金もあんまりないし、ここは我慢だ俺!
「さてと。じゃあ行きますか!」
どこに行くかって?
作ったポーションをギルドに納品しに行くのだ。
ネット上の攻略板を見たところ、回復ポーションを納品するクエストがあるらしく、生産職にとって簡単なクエストの1つと言われている。
だって、調合スキルさえあれば誰でもできるくらいだからね!
それと、クエストはこまめにこなした方がいいらしい。
クエストをやることによって、多少手間がかかるものの報酬を貰えるし、ギルドランクというものをあげることができるらしい。
ギルドランクをあげるとギルドで受けられるクエストが増えて、ギルドの運営するNPCのお店で買える商品の種類と品質があがるそうだ。
いいことづくめじゃないか!
すれ違う人々の喧騒を聞きながら、通りを歩いて冒険者ギルドへ向かう。
「広場では露店なんてものもやってるのか
後で寄ってみようかな」
地べたにシートをひき、色んなアイテムを並べているプレイヤーがちらほら見かけられる。
あそこでは店主と買い物をしに来たプレイヤーが値段の交渉をしているのが見える。
夜の町の雰囲気を楽しみながら通りを歩くこと約5分、ついにギルドの前についた。
前回はこの大きなドアを開けるのに少し躊躇をしてしまったが、今回は大丈夫だ。
中に入って掲示板を見る。
「あ!あった!」
納品クエスト
内容/ポーションを10個納品する
難易度/☆2
報酬/300G
クエスト表を掲示板からはがして受付まで持っていく。
「すいません。このクエストをうけたいのですが。あと納品も一緒に!」
この前にも対応してくれた受付嬢が、偶然今回も対応してくれることになった。
回復ポーション10個を彼女に渡して、引き換えに報酬の300Gをもらう。
彼女の胸に[カリン]と書かれたネームプレートがつけられていた。
カリンさんというのか。
「ありがとうカリンさん!」
「いえどういたしまして
また来てくださいね」ニコッ
ギルドの受付をあとにして扉を開く。
「さて、露店でも見に行くかな。もしかしたら掘り出し物があるかもしれないし。」
といっても今の所持金は3400G、まあ安いものしかかえないだろう。
再び広場に向かう。
変わらず賑やかであり、もう夜であるというのに屋台は活気に溢れていた。
広場から少しの外れた、あまりプレイヤーがいないところにポツンとやっている露店商を見つけた。
「あーいう人目のつかないところなら、掘り出し物もあったりするのかもな」
とりあえず見てみることにした。
近くへ向かうと、だんだん店主の姿がはっきりしてきた。
「あら、いらっしゃい!何か欲しいものでもあるのかな?」
「んー、特にはないけど、なにか安くていいものでもあればなー、と」
店主は薄く青みがかかったショートヘアの活発そうな女の子だった。
自分から見て右の耳に青いひし形のピアスをしているのが特徴的だった。
彼女は露店シートの上に足を揃えて座っていたが、はいているショートパンツからのぞく太ももが街灯の光のもとに惜しげもなくさらされていて、少しドキッとしてしまった。
「そうだねー…、実は今日一番のおすすめがまだ売れ残ってるんだよねー!」
「え、そうなんですか!でも自分はあんまりお金をもってないので買えるかどうか…」
「ちなみに所持金は?」
「3400Gです…」
「た、確かに少ないね…
まあでも君に初回だけサービスね!
私が作ったこの指輪を3000Gにまけてあげる!」
そのアイテムが画面に表示される。
名称/身代わりの指輪
製作者/リオン
レア度/5 品質/★5
説明/自分のHPを超えるダメージを受けたとき、一度だけそのダメージを無効化する。一度効果が発動したらこの指輪は破壊される。
「え、これってめちゃくちゃすごいやつなのでは」
「まあ、それなりにね?
まあ私はβテスターだったからこのくらいなら簡単につくれるのよ!」
もちろん即購入した。
実際に自分が使うか分からないけど、なんか買っておいた方がいい気がしたのだ。
とりあえずインベントリにいれておいた。
すごく有意義な買い物ができた気がする。
少しの間、彼女とお話した。
自分も生産職であったからか、彼女とはとても気が合った。
楽しそうに話をしてくれる彼女のしとやかで、それでいて弾けたような笑い方はどこかで見たことがあるような、ないような。
まあ気のせいだろう。
あと彼女はリオンというプレイヤーで、主に細工師をやっているらしい。
細工師とは、ネックレスや指輪等に細工スキルを使って彫金したり型に嵌め込んだりして、アクセサリーをつくってる人とこだ。
トップ生産職のうちの一人なんだよね!と小さな胸を張って、顔を少し赤くしながら彼女は言った。
「また来てねー!」という声を聞きながら露店をあとにする。
そろそろいい時間だろう。
時計を見ると21時を回っていた。
「明日もあるし、今日は終わりにするか!」
今は夏の長期休暇中なので、明日も明後日もその明後日も学校は休みなのだ。
ログアウトのボタンを押す。
その日は早く寝た。
明日もゲームを楽しむために。




