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南エリア探索その2


本日投稿2回目!

どんどんフィールドの奥へと進んでいく。


町を出てからだいたい2時間くらいたった。

山に近付いているからか、道幅も狭くなってきている。


この南エリアではモンスターは必ず回避するようにしている。

というかしなきゃならない。

戦闘がからっきしな自分では、モンスターに見つかったらすぐにやられて、死に戻りするに違いない。


「ダメ元とはいえ、初心者が来ていいエリアじゃないよなーここ」


空を円を描くようにゆっくりと旋回してるモンスターを見上げながら呟く。


まあ今回はあくまでお試しの探索なので、行けるとこまで行くつもりだ。


自分一人でも死なずに行ける範囲を見定めて、後日の探索に活かす! 


このエリアなら魔石や枯れた木の枝、砂鉄といったアイテムを採取できるのでおそらくお金をたんまり稼ぐことができるはず。


だって魔石だぜ。

さっき採取した砂鉄とかならまだしも、魔石が町のショップに出回っていたことを見たことないし。

きっと高く売れるに違いない。


再び周囲に気を配りながら前に進む。


何度かモンスターをかわしながら、ときには地面に落ちているアイテムを採取しながら進む。


そして火山の外縁についた。ついてしまった。


「まじか、ここまでこれちゃうのか…」


この景色を自分は見たことがある。


ここから先の道は右へのみに続いていて、急に幅が細くなるのだ。

両側を切り立った壁に挟まれていて視界が狭くなり、モンスターに襲われたら逃げる場所がない。


今までは平地を歩いてきたが、ここからは山の裾にそって行くことになり、そのまま行くととある場所に着くことになる。


そこは南エリアのボス、大蜥蜴のいる場所だ。

そこで攻略組のパーティーが奮戦するも、火のブレスに吹き飛ばされる光景を何度動画で見たことか。



「こっからどうしようか…」


正直行くメリットがあんまない。

ボスと戦いたい訳でもないしね。

しかも逃げ場が前後のみなので、道の途中で見つかったら死に戻ることが確定してる。



そう考えたらなんか怖くなってきた。


うーん…


  ・

  ・

  ・



「行きますか!」


考えること数秒間、結局自分は行くことにした。

今回行かなかったらなんか後悔する気がする。



タイミングを見計らう。

周りを観察する。

上空を飛ぶ飛行型のモンスターが、ちょうど自分に背を向けるように旋回した。


「今!!」


自分はこの道を走り抜ける。

俊足スキルの本領を見せてくれよう!


身を優に越える岩壁に挟まれた道を往く。


走る走る。


砂利におおわれた道を駆け抜ける。


道を塞ぐように倒れている木を飛び越える。


例のアルマジロみたいなモンスターが、前方にころがってる。

ちょうどこっちを見ていない!

よしダッシュ!


そのちょうど真横を通りすぎる。


足が軽いぞ!!これがスキルの影響かー!

子供は風神の申し子とも言うもんね!ハハァ!


  ・

  ・

  ・


やばい。すごく謎テンションだ。


岩の窪みにすっぽりとはまるように隠れて、過呼吸気味の息を落ち着かせながら周りをみる。


「やってやったぞ!」


結論からいうと、さっきの細道は何とか抜けられたみたいだ。


道を抜けるとそこは少し開けた場所になっていた。

少し奥を見るとそこには大きな蜥蜴くんが、何かの建物の前に寄りかかって座っていた。


「あの建物なんだろう?神殿かな?」


太い円柱が何本も均等に縦に並んでいて、その一番奥にある赤っぽい大きな建物に、大蜥蜴が体重を預けるように上半身をしだれかけている。


「ついにここまできたかー」


何度か動画で見た場所だ。

ここにたどり着いた攻略組のパーティーのすべてがすべて、あの大蜥蜴にやられているのだ。


ここまで来たという達成感よりも、自分がここまで来れた驚きの方が大きいといってもおかしくない。


周りを見回すとたくさんの採取ポイントがあるのが分かった。


幸い大蜥蜴は寝てるのだろうか、こっちを見る気配が一向にしない。


今の内に取っておこうか。

一応蜥蜴には気を使いながら移動する。



10分ほどかけて全てのアイテムを採取し終えたあと、ふと思った。


「あれ?これ神殿の中に入れるのでは?」


未だに蜥蜴が目を覚ます気配がない。

自分がここに来たときから、ずっと同じ体勢のままで保たれている。


神殿の中に入るためであろう扉が、その存在を誇張するかのように取り付けられている。


それを阻むものは今ここにはいない。



…もしかして、行けちゃいます?これ。



採取アイテムも全部採った。

デスペナもあんまり怖くない。


自分は気づかぬ内に、長い間蜥蜴のゴツゴツした横顔を食い入るように眺めていた。


ハッとして我にかえると、自分の耳に己の心臓がバクバクと音をたてているのが聞こえてくる。


「これは、いける。」


思わず小さな声が自分の口から漏れ出した。


彼我の距離はだいたい30メートルくらい。

怖いものはない。


これは行くしかない。

そう自分は心を決めた。









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