二話
「とりあえずリーダーを決めようか」
ゴーくんがこちらを見ながら提案してきたので
かなり嫌な予感がしてきた。
「それじゃあ俺はナナトを推そうかな、そちらの三人と知り合いみたいだし」
嫌な予感はすぐに的中した。
マジかよそういうのは一番年上がやるもんだろ
と言うのもやりたくない為の口実だと思い、とりあえずなにか反論しようと思ったが――
「私も七斗くんがいいと思う」
すぐに朱音が賛成した、ということは親衛隊の二人も賛成だろう。
「私たちも柊さんで問題ないと思います」
どうやらとどめを刺されたようだ。
「わかったよ。とりあえずここに居ても仕方ないし、近くに見た事がある線路があったからそれに沿って歩いていこう」
さっきの光景がフラッシュバックするがなんとか耐えた。
「線路があるならとにかく駅目指して行けばどうにかなるかもしれないな」
ゴーくんが具体的に目標を示した。
「それに駅に行けばこの現象について情報が得られるかもしれないしね」
高身長イケメンの が言った。
俺よりリーダーに向いてそうな二人が補足してきて自信が無くなってきたが気にしないように努めた。
線路脇を歩いて三十分ほどたってどこか見覚えのある光景が見えてきた時、拓也が指を指して言った。
「あれ見えにくいけど駅じゃね? 」
俺は指された方を注意深く見ると、線路を覆うような木々の隙間から駅名標が見えた。
「孔小駅? 確かセツの実家に結構近かったよな?」
ゴーくんがうろ覚えだったのだろうか聞いてきた。
「う うん、 最寄りでは無いけど坂を自転車で下れば十分くらいの所だね」
少し違和感があったがそう答えた。
「おばさんとかいるのかな? 会えたらいいけど」
ゴーくんが懐かしむような顔をした。
唐突に頭痛が激しくなってきたが、みんなに心配されないように平気なフリをした。
「一応、駅員さんに知り合いが来てなかったか聞こう」
何故か悪寒がしたが、気のせいだろうと思うようにした。
改札口はこちら側に無いので線路を渡ろうとし、半ばまできた時踏切音が鳴り出した。
渡りきれると思いみんな駆け出すが左を向くと目前に絶望があった。
何故か踏切が下がるよりも早く電車が来ていた。
「みんな止まれ! 」
咄嗟に叫ぶが間に合わなかった・・・