表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/372

EX.王都は蠢動する

本日も拙作をお読み頂きましてありがとうございます。

 王都騎士団長クウィントゥスは疲れた顔で小部屋に入った。中にはすでに、異母同母問わず兄弟がうちそろっていた。


「ようやく来たか」

「申し訳ございませぬ。出端に聖堂からの使者が参りまして無碍にもできず」

「そうか」


 頷く王の横から、内務卿のセクンドゥスが声を掛けた。

 

「やはり聖堂は荒れているのか」

「ええ。パトルウス叔父上もずいぶんと手を焼いておられるようです」


 苦い顔でクウィントゥスは頷いた。

 

 もともと彼らの兄弟であるセプティムスは病弱である。この会合にも姿を見せていないのはそのためだ。

 だがそれは、彼が聖堂長を務める王都の武神アルマトゥーラ聖堂には、王族の支配が及びにくいということを意味している。

 とはいえ、聖堂が魔術士団や王都騎士団ほどには王族の意図に即応しえぬということも、平時であればたいした問題ではない。

 だが、こうもスクトゥム帝国への警戒を強めねばならぬ時に、王族の、ひいては貴族たちの権威による支配とはまた別の、信仰を集める聖堂が、王族たちの意のままにならぬということは、彼らには悩ましいことだった。

 なにも聖堂が非戦を唱え、王族たちに非協力的な態度を示しているからというわけではない。むしろ逆なのだが。

 

 あの骸の魔術師は、早期よりスクトゥム帝国への警戒を主張していた。

 また星詠みの旅人(森精)や自身で拿捕した他国の密偵など、彼が独自に抱える情報源の数と種類の多さたるや、国の影たるオプスクリタス騎士団を擁するクウィントゥスにすら、追随を許さぬところすらある。

 おまけに、どのような意図あってのことか、その情報を死後数度しか訪れぬ聖堂にも気前よくばらまいたのである。

 だが彼の者が聖堂に伝えたのは至極まっとうなことばかり。

 だからこそ、いっそう始末に困るのだが。

 

 スクトゥム帝国がじわじわとランシアインペトゥルス王国にもその手を伸ばしていること。

 戦の気配が近づいていること。

 戦火の備え、とりわけ食糧の備蓄が重要になること。

 それらは確かに真実であった。

 正しいことというのは歪めることはできても、否定することは難しい。

 

 スクトゥム帝国が、武神アルマトゥーラをはじめとした神々への信仰を失っているということも真実であった。

 たとえそれが、かの魔術師みずから糾問使を率いて、スクトゥム帝国へ赴き身をもって事実と知る前、伝聞とはいえ確実だと断じた情報の分析結果であったとしてもだ。

 だが、それゆえに聖堂は戦にたいそう乗り気となった。

 人心の安寧のために尽くされる聖堂へと、ルーチェットピラ魔術伯爵家からかなりの額の寄進があったせいもあるのだろう。

 あの骸の魔術師が糾問使の任を解かれ、続けて対スクトゥム帝国の備えを固めるため再び王都を発った今なお、聖堂の聖戦熱は冷めやらぬ。

 ランシアインペトゥルスの国政に携わる王族たちが、こぞって手を焼くほどに。


 正しき信仰の失われたスクトゥムの地へ、正しき教えを広め、信仰を伝えるために。

 もとより神を信じるのが正しく正義とみなす聖堂だ。そのような大義名分ありきの戦ならば、勝ちを拾えて当然と考えるのやもしれぬ。

 今の聖堂からは暴走の気配すら滲んでいた。

 

 むろん、聖堂の人間でも、聖戦というだけで浮かれ騒がぬ者もいる。

 セプティムスの代理も務める大司教パトルウスは、聖堂の興奮をいち早く抑えにかかっていた。

 だが、人間というものは、利益を目の前に釣られては欲望の(しもべ)となるものだ。

 宗教的熱狂にばかりではなく、世俗的な欲得にも煽られた司教たちを抑え込みにかかってはいるものの、我が世の春が来たとばかりに、信徒を浮き足立たせ、あわよくば自分が同輩に先んじてスクトゥム帝国の地を踏まんと、聖堂長に直訴も辞さぬ構えの者が続出したという。

 繊弱なセプティムスには無理をさせたくないものだが、なによりも。


投げる前の投網に(捕らぬ)何匹魚が入るか数える(狸の皮算用)など、どこにも意味がないと思うのですが」


 外務卿のテルティウスは、珍しくあからさまにうんざりとした顔になった。

 

 真面目な話、ランシアインペトゥルス王国としては、直接的には天空の円環ぐらいの接点しかないスクトゥム帝国などという遠国、皇帝が変わろうが沈もうが滅びようが知ったことではない。

 密偵に被害が出たこと、夢織草(ゆめおりそう)なる怪しげな薬でボヌスヴェルトゥウム辺境伯のみならず、テルティウス自身が害されたことは業腹であるが、スクトゥムの手先は排除し、テルティウスらも復調はした。

 ならば、国交を断絶し、これ以上近づかなければいいだけのことだ、と思いたいのだが。

 

「そのようなわけにもまいりませぬでしょう」


 魔術士団長の控えめな言葉に、テルティウスたちは苦くうなずいた。

 

 彼らにもよくわかっていることだ。

 海はどこまでもつながっている。ランシアインペトゥルス王国の北に開けたフリーギドゥム海は、スクトゥム帝国中央にあるロリカ内海まで途切れることはない。

 たやすくはないし風次第ではあるものの、陸づたいに動けば、船というものは大量の人間や物資を輸送することのできるものだ。

 おまけにグラディウスファーリーの軍が攻め込んできたのも、スクトゥム帝国の仕込みだったという。グラディウスファーリーの釈明が正しければ、天空の円環もスクトゥム帝国のみならず他地方すべてに対し封鎖でもせぬ限り、敵の軍が列を成して入り込んでこぬとも限らぬ。

 だが、天空の円環はその地方の宗主国たる地位をも示す。いたずらに聖槍の道を封鎖することは、ランシアインペトゥルス王国がランシア地方における宗主国の権威を自ら失うことにもつながりかねぬのだ。

 

「どこを切っても苦難しか見えんな」 


 スクトゥム帝国へ糾問使を立てると宣言した時、王やセクンドゥスら年かさの王弟たちは、かつての経験からこれは必ず戦になると感じ取っていた。

 ただし、戦となるなら早い内に大きく叩き、国全体に戦渦の広がらぬうちにすかさず外交によって収めるべきだとも考えていた。

 だからこそ、あの骸の魔術師の乞いを入れ、糾問使としてスクトゥムへ向かわせたのだが。

 よもや、向こうが外交すらまともに行えぬような状態となっていたとは。

 王族たちは、それぞれ溜息をついた。

 

「やはり、シルウェステルはミセリアの指先(不運の女神が眷属)ではなかったか?」 

「それはシルウェステル師にはあまりに気の毒な評価でありましょう」


 王の軽口に魔術学院長のオクタウスが心外そうに反論をした。長兄であるプリムスレクスは目を細めて仕方なさそうに笑った。

 オクタウスもまた魔術師の一人、あのシルウェステルの魔術を間近に見て、よほどに度肝を抜かれたらしい。

 またトゥニトゥルスランシア魔術公爵家の影響を魔術学院からぬぐいさり、わずかながらとはいえ、オクタウスが自身の考えで動きやすいよう整えてくれたものだ。多少の心服は当然のことやもしれぬ。

 むろん、それもあって、オクタウスのみならずプリムスレクスも国王として、あのコッシニアというアダマスピカの娘とその周囲には、若干目を掛けてはいるのだが。

 さて、どこまであの骸の魔術師に通じることやら。


「いずれにしても、戦支度はさらに進めねばなりますまい」


 内務卿のセクンドゥスが冷静に指摘した。


「幸いディラミナム以南の冬越しトリティクム(穀物)は収穫がほぼ終了しております」

「王都騎士団本部でも、各騎士団に輜重などの割当をすませております」


 国内における王属の騎士団すべてを掌握しているクウィントゥスは即座に応じた。

 ジュラニツハスタとの戦いで得た教訓はひどく痛いものだった。

 それまでランシアインペトゥルス王国での戦と言えば、隣り合う領地間の水や境界についての小競り合いがほとんどだったのだ。主要な戦場となった国境地帯まで、馬を馳せたことすらない騎士も多かったのだろう。

 これまでランシアインペトゥルスが経験したこともないような大遠征だというに、取るものも取りあえず乗り出した貴族の中には、補給を考えていない者すらいた。

 餓えた手勢を満たすために、彼らが取った手段は現地調達。

 早い話が、道中の領地での略奪行為だ。

 当然のことながら襲われた方も武力で抗った。

 国内の一部が内乱状態となった。


 他国との争いの前に同士討ちのような形で倒れる愚かさに、先王たちは頭を抱えた。

 小競り合いで主だった者が死亡し、その結果として潰れた家、遺恨を生じた家どれほどあったろうか。

 王属のみならず各家の騎士団の情報を集め、時に調整を行うため、王都騎士団なるものが設立されたのもそのためである。

 皮肉なものだが、此度の戦支度が順調に進んでいるのはそのおかげと言ってもいいだろう。

 

 だが――

 いかなる戦支度を完璧に済ませたところで、スクトゥムのような大国に勝てるのだろうか?!

 

 このランシアインペトゥルスはけして弱い国ではない。ジュラニツハスタとの戦いでも大きな被害は出たものの、武神アルマトゥーラはランシアインペトゥルス王国を(よみ)したもうた。

 されど、それは十余年も前のこと。


「タクスス、お前はどう思う?」

「人間とラットゥス()が戦うようなものでしょうな」


 聞きたくなかった名前に、王弟たちが全員同時にびくりとした。クウィントゥスが振り返れば、毒刃の長は平然とお茶の支度をしていた。


 あの驚くべき告白の以前より、王の薬師はこのように機密性の高い王族のみの会合に同席していた。

 たとえ湯茶の用意ですら、国の重要事を扱う場へ滅多な者を入れられぬためである。

 クウィントゥスはオプスクリタス騎士団を統率しているがゆえに、彼が毒薬師であることは承知していたが、先の魔術士団長を務めていたクウァルトゥスなどは、タクススを従者か何かと思い込んでいたかもしれぬ。

 同席の際、ときたまこの毒刃の長は国王に対してすら軽口を叩くことがあった。場を和ませるための道化役にすら甘んじているのだろうが、あのクウァルトゥスはいつもそれを苦々しげな顔で見ていたものだ。

 同じような目で見ていた者とてほかにいないわけではないのだが、毒薬師の正体を知った今となっては、畏れを潜ませた目しか向けることができぬ。


「戦いにもならぬと。そのように述べる根拠は何かな?」

「国力でしょうな。ああいや、ランシアの騎士がスクトゥムより弱いと申しているのではございませんよ?人の数が違いすぎるので」

「ほう?」

「我がランシアインペトゥルス王国の全人口は、フリーギドゥム海からフルーティング城砦まですべて探しても数百万人程度でしょうか。ですがスクトゥム帝国は?」


 擬態のままの毒薬師と王の会話に、一瞬セクンドゥスは目を見開いた。

 各領地の人数はその領主の力でもある。家の数、集落の数や大きさ、都市の立地条件などからおおよそは見て取れるものだが、他領の者に詳しいことを教えるはずもない。陪臣の領地のことなど王族でもわからぬのが普通だ。

 だがそれをさらりと言ってのけたということは、この毒刃の長は国内の領地すべての情報を掌握しているということになる。

 その驚きは、しかし王の言葉に吹き飛ばされた。 

 

「スクトゥム帝国の人口は2000万を超えるというな」

「まさか!」

「確かなことらしい。これは、シルウェステルがスクトゥム帝国某所より持ち帰ってくれたものだ」


 叫んだオクタウスに、プリムスレクスは報告書の一部を写したものを差し出した。ざっと目を通したオクタウスとテルティウスは驚愕した。


「日付はやや古いが、一国の行政文書まで手に入れるとは……」

「さすがは神出鬼没なシルウェステル師ですね」


 感嘆しながらも王弟たちは背筋に上る寒気に身震いした。

 茫洋としていたスクトゥム帝国の巨大さが、こうもはっきりと数値となって現れ、しかもその数字に誤りはないという証拠までつきつけられたのだ。

 人数差は戦力差である。それは何も直接戦場に赴く戦士ばかりではない。戦があったところで農夫は畑を耕し、穀物を植え、家畜を飼うものだ。

 そのような平民たちまで荷運びに狩りだし、穀物を税として取り上げるなら、疲弊と飢餓と困窮は国のすみずみにまで広がるだろう。

 圧倒的な物量差、人数差は敵に損耗率を押しつける最大の武器である。

 それはタクススの明言したとおり。

 極論を言うならば、スクトゥム帝国の総人口がランシアインペトゥルス王国に流入しただけで、王国は滅亡の危機に陥るのだ。

 あらゆる物資不足とそれにより発生するだろう不和と争いによって。


「もちろん、2000万の敵と一度に、しかも正面からぶつかる必要などございませんがね。それでも確かに状況は厳しいものになりましょう」


 タクススの声を聞きながら、マクシムスは糸のような目をさらに細めた。

 この毒薬師が彷徨える毒刃の群れの長であるならば、真実彷徨える毒刃の群れが国王プリムスレクスの統治を正当と認めているのであれば、なにゆえこの存亡の危機に茶の給仕などをこうのんびりとしているのか?!

 口にはけして出せぬ問いを込めて見やれば、ふと見返した王の薬師はうっすらと笑った。

 

「国は滅んでは生まれ、割かれてはまとまり、沈んでは浮かぶもの。武神アルマトゥーラが神器の裔なる方々が互いに刃を交わらせずにおれぬのは、紅金の月(ルベラウム)蒼銀の月(カルランゲン)が百日余り五日ごとに合するにも似ておりましょう。その果ての果てまで力を尽くしたもう王家をこそ、武神アルマトゥーラは(よみ)されましょう」

「で、あろうな」 


 毒刃の群れは、正しく国を導く者に国を渡すために在る。ゆえに毒刃の群れ同士が戦うことはないともいう。

 あくまでも国同士の争いにおいては傍観者たることを暗に宣言され、しんとしずまった小部屋に王の声が響いた。

 

「我らランシアインペトゥルスが代々の王より血を受け継ぎしものは、ただ無力に生まれ力なきまま死ぬをよしとはせぬ。まずはおのが力を尽くしてこそ、武神アルマトゥーラもいまだ信心を向けぬ者を教化するより、我らに慈悲を垂れたもうというもの」


 これ以上はないという正論を吐いたプリムスレクスは、おのが薬師に目を向けた。


「タクスス。新しい茶をもらえぬか」

「これは失礼いたしました」


 飛び上がらんばかりにいそいそと近寄った毒薬師は、空となった茶器の上に乗せられた書類の一葉に動かなくなった。


「どうしたタクスス」

「へ、陛下、これは、まさか」


 テルティウスが目を遣れば、震える指に指し示されたのは、糾問使一行から提出された報告書の一部であった。

 エミサリウスの几帳面な文字で綴られた文面を何気なく追い、テルティウスも思わず息を呑んだ。

 それは、あの骸の魔術師が、復命の場に表してみせた幻影の森精から聞き取ったという、スクトゥム帝国の内情が一節であった。

 それだけならば毒薬師であるタクススも、魔術師として心持ちを平らかに保つすべを身につけているはずのテルティウスが驚くわけもない。

 彼らに激しい驚愕をもたらしたのは、彷徨える毒刃の群れがスクトゥム帝国、いやスクトゥム地方にいないのではないかだろうという森精の推測と、スクトゥム建国の裏事情だった。

 付記として、シルウェステルが密行したという土地の様子、そして行政文書からの抜粋という穀物の収穫量の変化。

 それらを組合せ、スクトゥムは次第に荒廃の気配を濃くしつつあると結論づけられていた。


 思わずテルティウスは長兄の顔を窃視し(ぬすみみ)た。

 確かに、王の薬師の正体を明かされたときも、彷徨える毒刃の群れについて口に出すなとは言われなかった。

 報告書の内容もランシアインペトゥルス王国のことではない。スクトゥム帝国の内情ではある。

 されど、なぜわざわざ毒蛇の尾を捕らえるような真似を。


「やれやれ、極秘文書を読んでしまったのか」

「……御無礼をいたしました」

「見てしまったものは仕方あるまい。かまえて漏らすな」

「御意」


 脱げかけた擬態をかぶり直した毒薬師の耳に、王は一人言のように言葉の毒を注ぎ込んだ。


「もとよりスクトゥム帝国では、星詠みの旅人(森精)を狩猟の獲物かなにかのように狩り集め、殺すという暴挙に出ていたというな。たしかそれも、シルウェステルと同行していた星と共に歩む方が保護されておられたとか。シルウェステルもまたそれに協力していたという。ボヌスヴェルトゥウム辺境伯にかけあって海に森まで作ったとか」


 黙したまま目を伏せる己の薬師に、聞こえよがしの王の慨嘆は続く。


「シルウェステルがロリカ内海で出会われたという星詠みの方も、光を失う満身創痍ぶりでおられたらしい。それでもスクトゥムの森や土地を案じておられるとは、なんと心優しいことか。……その星と共に歩まれる方々の求める者が、スクトゥムの地にもいればよいのだがなあ」


 表情を消した毒薬師と、眼を合わせず毒薬師の淹れた茶を口に含む王との、実になんとも言えない緊迫感に、王弟たちはなんともいえない顔になった。

 彼らは心の底から思い知ったのだった。一国の王というのは毒の刃すら利用できるほどしたたかで、肝が太くなくば、けしてつとまらぬものなのだと。


 プリムスレクスは茶を喉に落としながらひそかに考えた。

 かの骸の魔術師のスクトゥム帝国に対する警告は、なんとも掴みがたいものだった。

 特に問題なのは、彼らが手先を捕らえられたり一度退けられたりしたくらいで諦めはしないだろうという予測だ。

 それどころか、自らの滅びすらもかまわないだろうとシルウェステルはいう。


 かの魔術師にも、皇帝と名乗るスクトゥム帝国の支配者たちの思考は『読めない』という。

 何をしてくるかわからないと、あの何をやりだすかわからぬ魔術師がいうのだ。これ以上説得力のある台詞があるだろうか。

 一周回って何もしないかもしれないという楽観的な予測も立てたくなったが、そういうわけにはいかない。

 もうすでに相手はランシアインペトゥルス王国に手を伸ばしている。それ以上なにもしないわけがないだろう。

 ならば、迎え撃つしかあるまい。


 シルウェステルは報告書を次のように結んでいた。

 帝国はたしかに強大だ。だからこそランシアインペトゥルス王国に勝利をもたらしうる可能性があると。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ