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1-1九月

九月入ったばかりのこの時期、にごる空気が肌に汗をかかせる。自分の服装選択を間違えてしまったと思う。今なら長袖でも大丈夫だろうと思ってしまった自分が馬鹿だった……


「あつい……帰りたい…」


歩く道すがらアスファルトの照り返しが私を突き刺す。時々吹く風が私を涼しくさせる。

目指す先はアルバイト面接。最近お金が足りなくなってしまい増やすことにしたのだ。


――


私の名前はゆらる。最近20歳になったばっかりの大学生。この名前が少しずれているのは自分でもわかってるけど、それはしゃーない。

自分の名前を恨んだところで何も変わらない。まあ名前のおかげで色々いいこともあったし。


今の彼氏がいるのは名前のおかげ。二人共変な名前だけど……

彼氏とは高校のときからの付き合いで結構長く続いてる。でも大学進学のときにばらばらになって今は遠距離。


つい最近まで夏休みで一緒に遊んでたけど、大学の関係であんまり遊べなくて悲しい。でもその分はしゃいで。

その結果が……金欠……。


――


道路のそばに植えられている木の葉の色が緑から赤く、そして茶色に染まっている。落ちる葉っぱを車が踏んでいく。一台、二台と同じ葉が蹂躙される。

彼氏と会えない今はあんな感じに楽になってしまいたい……と。一瞬考え、一瞬で終わる。


会えないときが辛いのは毎回のことだ。去年の夏も冬も同じ。でも毎回感傷に浸ってしまう。

何もなければこの遠距離の状況が続くのかな。それはそれで辛い。


「次会えるのは、冬休みかぁ…遠いなあ…」


はいた言葉はまるで冬がまだ来ないかのように残暑に溶かされていった。足取りがさらに重くなる。

重くなる足取りは彼氏に会えないから、だけではない。


金欠を解消するために増やそうとしているバイト、これがまた厄介なものを選んでしまった。若気の至りと言うものだろうか


夏に遊んだ分と冬に遊ぶ分の貯金を約三ヶ月で貯めなければいけない。そのためにはコンビニとかのアルバイトじゃだめなわけで…

ならどうするかと言われれば、まあ女としての体を商売道具にするしかないわけで…

あ、もちろん風俗とかはいかないよ。彼氏いるし。


選んだのはキャバクラ。酒をお客さんに提供して話し相手になるくらいだし、まあいいかなって。多少のセクハラは…まあしゃーないということで。お金はたくさんもらえるし。

問題なのは知らない人と楽しい会話ができるかなってとこかな


先の大通りから更に数分歩いたところに目指した先があった。夕方に差し掛かる頃、店の看板が陽の光を反射する。眩しすぎて見えないその看板に目を凝らすと、目的の場所がそこにあった。



――





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