3
六台の荷車を引いた馬は、深い森に吸い込まれるように足並みを揃え、勢いよく突き進んだ。
濃い青葉をつけた木々が辺りを覆って影を作り、空気は僅かな湿気を帯びた。太陽の光を遮る森の影を、風を切って駆け抜ける。それから二時間ほどで、遺跡付近の開けた場所へ辿り着いた。木の葉が幾重にも重なっていた一箇所に、光が差し込み、茜色の空と雲を覗かせる空間があった。
「長旅ご苦労。今日はここで一晩明かす。明朝、日の出と同時に遺跡に入る。各々《おのおの》体を休めておいてくれ」
スレイヤーが言うと、兵達はすぐに馬の餌や野宿道具を荷台から降ろした。シン達は率先してテントを張り、火を起こして食事の準備に取り掛かる。
屈強な男揃いの機工兵達は、ここ数日の旅路で目の当たりにした三人の手際に、トレジャーハンターという者に対する見方を変えていた。出発時は「ガキが先導で大丈夫なのか」と不満を吐露していた者も、ケイティが似合わない愛想のいい笑顔を振り撒いて相手をした甲斐あってか、すっかり打ち解けている。
「トレジャーハンターなんてろくな連中じゃねえと思ってたが、お前らいい仕事するぜ。探査の時もこの調子で頼むぜ」
強面の兵がケイティとスコットの肩をがっちりと掴んでにかっと笑った。
「おじさんも遺跡じゃあたしらの指示には従ってね、そうすれば大怪我しないですむからさ」
「言うじゃねえか。俺達は屈強なヘイタイだぜ、そう簡単にやられるかってんだ」
笑う兵と一緒に、ケイティとスコットも調子を合わせるように笑った。
そんなケイティの口元が、にやっと猫のように笑ったのを、スコットは見逃さなかった。
2016/12/27 改稿。




