表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔神になった少年  作者: キタビ
第四章 王宮の勅命
PR
39/132

 4

 城下町の緩やかな坂を上り、組合の寄合所の前を通り、露店ろてんが並ぶ街路がいろの脇道を直角に入る。建物に光をさえぎられた裏路地に入ると、賑やかな表通りからは想像がつかないほど辺りが静まり返った。

 まるで細い路地の入口が、別の世界との境界線であるかのようだ。 

 路地をまっすぐ進むとすぐに突き当たり、道が左右に分かれる。シンは左に曲がり、左手に沿って並んだ店の扉や看板を目で追っていった。怪しげな看板やかざりの並ぶ列に、全く飾り気のない鉄の扉が現れる。囚人しゅうじんを閉じ込めておく牢獄のようなのぞき穴が付いた頑丈な分厚い扉だ。

 情報屋の事務所である。

 シンが手の甲でドアをノックすると、「入れ」と男の声がかえってきた。

 シンは錆びついたドアノブを力任せにひねり、事務所に入った。

 埃っぽい部屋にはでたらめな使い方をされた書棚とデスクがあり、おびただしい量の書類が床に散乱していた。壁掛け蝋台ろうだいのぼんやりとした光が、そんな部屋を薄く照らしている。 

 うるさく鳴る扉を閉めると、声のぬしがデスクの書類を乱暴にどかし、空いたスペースに足を乗せ、ふんぞり返って片手を上げた。全ての指に、銀の指輪がめられていた。

 乱雑らんざつに切られた髪を後ろに流し、その顔には刺々しい刺青がられている。凶悪な笑みを浮かべるのが特徴的で、危ない感じがカッコイイと、お姉さんたちにちまたで有名、モテモテらしい。

 それが膨大な情報を売買している情報屋、ジョーカーの姿である。


「ようシン、ラクタじゃずいぶん稼いだそうじゃねえか」


「お陰さまで、ケイティ達も大喜びしてたよ。これ、エマからの差し入れ」


 シンがバスケットをデスクに置くと、ジョーカーは中身を確認して、サンドイッチにはさまっている具を一つ一つ丹念たんねんにチェックしていった。


「お前たちの懐があったかくなれば俺の懐も自然とあったまるからな、この調子でしっかり稼いでくれ。それより急に呼び出して悪かったな、休暇中だったろ」


「それはいいんだけど、ジョーカーさんから呼び出しなんて珍しいからちょっと驚いたよ」


「『さん』はよせっていつも言ってんだろ? 俺みてえなのうやまってると、将来ろくな大人にならねえぞ、青少年」


 ジョーカーは狼のように鋭く笑むと、サンドイッチを一つ取って豪快にかじりついた。

2016/12/27 改稿。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ