075話 カースドラゴン
カースドランゴン
負の感情により堕ちたドラゴン
その名前からしてなんかヤバそうな感じはしたが、実際に見てみると予想を上回るヤバさだった。
「毒の沼っぽくなってたから、ドラゴンゾンビとかそっち系を想像してたんだけどな。」
象よりも一回り大きい巨体
身体は沼と同じ色の紫色だ、それが元からなのかは分からないが
大きな翼に屈強な手足
見た目だけを言えば…ポイズンドラゴン?
だが、正常なドラゴンとは絶対に言えない部分もある。
黒く濁った瞳と、全体から吹き出すドス黒い霧。
あれは、瘴気ってやつなのか?
「う~ん、前見た時よりもずっとヤッバくなってるねぇ!」
ドンは呑気にそんなことを言っている。
一方アレクは
「これ以上…僕は、無理…瘴気が濃すぎる……倒れそう…」
アレクはこの沼に近づいた時から口数は少なくなっていた
封印状態では、瘴気に対する抵抗も弱くなるのか?
瘴気は身体に影響があるとは聞いていたが。
俺は村で狩ってた瘴気まみれの魔物を普通に喰ってて、サラとかに驚かれた。
だから抵抗があるのはわかる。
ドンは普通にしているから、やっぱりステータスで抵抗も変わってくるのか。
「わかった。アレクはこの辺で隠れてろ。」
「ボクチンも隠れてるよ!」
「そんだけ強いんだから手伝えよ!」
半ば強引にドンを戦闘に参加させようとする。
「てか、お前は何かできるんだ?」
「ボクチンはねぇ…支援系の魔法が得意なんだなぁ~!」
支援系?
バフ・デバフ系か?
「直接相手にダメージを与えるとかは得意じゃないのよ~。でもステータス底上げ、補助って言うならおっまかせあれ!」
珍しいんだよぉ、と気持ち悪くクネクネしながら自慢する。
ふーん…なんかちらっとサラから聞いたことがあるかな。
基本四大魔法要素の魔法以外でも、いろんな魔法があるって。
詳しく聞いてないからあれだけど、ドンのもそういうものなんだろう。
あくまで俺がまともに使えるのは"基本"四大魔法要素。
アレクがガインの魔法を見て、闇魔法って呟いてもいたし、色いろあるんだろうなぁ。
「なら、俺の基本ステータスを上げるとかってできるか?……あぁ、やっぱり、この毒沼でダメージを受けないようにする魔法とかはあるか?」
よくあるRPGでも、そういう魔法はあったはずだ。
この世界にもあるか?
「最初のは出来まっせ!でも次のはむーりー!」
ふざけた話し方だが、ホントに無理くさいな。
できんなら最初からやれって突っ込もうと思ったんだが。
「でもでも~!足場を何とかするってことはできる!かも!」
「!なんとかできるのか!?」
毒の沼のど真ん中に陣取ってるとなると、どうやって戦えばいのかわからなかったところだ。
「要は足場さえしっかりすれば問題ナッシングなら、ボクチンにお任せ!」
ドンはくるくる回りながら、あろうことか毒の沼に片手をつけた。
「『オブジェクト・リキッド』!」
ドンがそう唱えた後、手を付けた部分から沼が急速に固まって…いや、"止まって"いった。
これは魔法ではない、魔力が一切感じないからだ。
つまりはスキル…なんだ、このスキルは?
「ほい!コレでどーよ!」
軽く沼に立ってみる。
うん、問題なさそうだ、しっかり固まっている。
「このスキルは……スキル名からすると、物体を液化…いや、流動性を変化させる感じか?」
「お!一回でボクチンのこのスキルを理解したのは君が初めてだよ!」
実は俺のスキルで理解したってのは内緒にしておこう。
『オブジェクト・リキッド』
対象の物体の流動性をある程度変化させる。
とは言っても、限界はある。
ドロドロした沼を、普通の地面程度にはできる。
だが、鉄などを液状化できるほど流動性は変化させれない。
せいぜい、柔らかい鉄にする程度。
しかし今回は自分のものにはできなかった、原理を理解できても必ず習得できるわけではないからなぁ。
それよりもカースドラゴンだ。
奴の足元まで、沼のが固まっているのだ、気づかないわけがない。
大きな咆哮が聞こえ、カースドラゴンが暴れ始めた。
「さて、戦闘開始か。」
「オッケィ!」
俺とドンはカースドラゴンに向かって走っていった。
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「ドン!効果が切れてきた!」
「りょーかい!『アタック・エンチャント』!」
カースドラゴンとの戦闘。
それはこっちが二人だけというのもあるが、予想以上に厳しいものだった。
「くっそ!硬い!全然斬れない!」
ドンに攻撃力アップの魔法をかけてもらったが、カースドラゴンの強固な鱗に傷をつけることが出来ない。
「グルァァァァァァ!!」
「!ブレス来るぞ!」
しかも向こうの攻撃は、一撃でも食らったら間違いなく致命傷になる。
さっきから結構な頻度で放ってくるブレス、これもとてもではないが直撃したら動けなくなるくらいの威力はあるだろう。
「ちょ、ちょいちょい!『エヴァージョン・ネクスト』!」
ドンが慌てて強化魔法を使い、ブレスを避ける。
ブレスが通った後は、固められた沼が大きくえぐられ、その先にあるジャングルの木々も跡形もなく吹き飛ばされている。
しかも、なんか毒っぽい感じもする、木々の残った部分がシューっと音を立てて腐り落ちる様子もある。
「硬いし強力だし、どうすんだよ!」
「ドラゴン系には、ふつーは魔術師と剣士の組み合わせが一番なんだよねぇ!」
「お前!そういうことは先に言えよ!」
じゃぁ普通に物理攻撃が効きにくいってことじゃねぇか!
ん?けど待てよ
「……起きてくれ!」
俺は自分の刀に向かってそう問いかける。
それに答えるかのように、刀が小さく瞬く。
どうやら通じたようだ。
「よし!なら……」
魔力を高める。
「ヤバーイよ!!」
ドンが叫んでいる。
俺に向かってカースドラゴンの強靭な尻尾が振り下ろされる。
そしてその尻尾が俺に直撃する前に
「『ヴォルテクスディスチャージ』!」
雷魔法を、刀に向けて放った。
そしてそのまま、刀を向かってきた尻尾に向け、切り払う。
普通は弾かれるだけだ。
だが
「おーう!!」
ドンが叫んだのと同時に、カースドラゴンの尻尾の先端が宙を舞った。
「さて、これでまともに戦えるな。」
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