067話 ガイン戦(参)
すみません、ちょっと今回短いです…
ガインが勇者候補
最初に考えて、最初に切り捨てた可能性
「少しは考えていたかと思ったんだが…あの小娘に『それはない』とでも言われたか?」
悔しいが奴の言うとおりだ。
歯を噛み締めながら唸るように呟く。
「何で勇者候補が…」
「こんなことをしているのか?愚問だな。」
ガインがまた剣を構える。
あの少女の形をした"モノ"だけでなく、奴も来るということか。
「私は、私が知るかぎり、現存する最古の勇者候補だ。」
一瞬、『絶対切断』のスキルが止んだと思ったら、ガインが攻め込んで来る。
左肩の傷が痛すぎて、うまく刀を握れない。
「いっ…てぇ!」
「ふむ、思ったよりも深そうだな。」
何とかして両手で刀を握り、ガインの刃を防ぐ。
それでも傷口からは血が吹き出し、痛みと物理的に肉と骨が削られているので力が入りきらない。
体制を立て直すため距離を取るが、即座に『絶対切断』のスキルが飛んで来る。
「最古の勇者候補!?なら!世界を!救えよ!」
「何を言う。私は世界のために働き続けているぞ?千年を越えた辺りから年月は数えなくなったがな。」
くそっ!
ガインの接近戦と『絶対切断』のコンボは思ったよりも厄介だ!
『絶対切断』
もちろん、これだけ放てれれば俺のスキルで原理は解明できている。
そして俺スキルにはなっているのだが…使いたくても使えない。
効果は単純、防御不可能な剣技を放つ。
これほど強力なスキル、もちろんリスクもそれなりにある。
そのリスクとは『発動後、ステータスが著しく低下する』
どれほどの低下かは分からないが…今この場でそんなことをする訳にはいかない。
"この後"を考えて、今使ってこの二人に勝てたとしても、結果として敗北だ。
「スキルの弱点を、あんたの守りと攻めでカバーってことか!」
「…このスキルを知っているのか?いや、私ですら発現して初めて知ったのだ…貴様のスキル、なにか考察か観察系のスキルでわかったという所か。」
実は俺の『原理究明』(元・原理理解)は、クリス、サラしか知らない。
アレクに話すわけないし、ウィルにも話していない。
ガインが知らないのも当たり前だが、それにしてもそこまで感づくとは…
「まぁそんなことはどうでもいい。さっさと片を付けさせてもらおう。」
「そう簡単に…!」
とは言うものの、さっきのミスがかなり手痛い。
しかも奴らのコンビネーション…とまでは言えないが、『絶対切断』が飛んできてそれを躱す、すると間髪入れずにガインの一撃が入る。
それを間一髪で受け止め、距離を取るとまた『絶対切断』が…
ほんとに厄介だ。
もしここにもう一人いれば…いや、それは言うまい。
門の方に割いた人員、クリス、サラ、それに一応ウィル…恐らく、ここに俺がいるとしても、奴らが死守するのは本来は国境。
最悪の場合、ガインが来ないという可能性もあったが、俺の相手がガインぐらいしかできないだろうと言う希望的観測が何とか当たった。
…まぁ、正直な所、勝つ必要はないわけだが。
「にしても!めんどくさいな!」
「そろそろ死んでもらうか。」
ガインのプレッシャーがやたらと高くなる。
まだ力が上がるのかよ!
「貴様が本物の『ウバワレ』ではなかったことは本当に残念だ。私がここまで力を出す必要があるとは。もしその力を奪うことができれば…いや、仕方ないか。」
剣を上段に構え、一気に振り抜くガイン。
「グッ!」
重い!今まで受けた剣の中で一番。
怪我を負っている俺が、そんな一撃を防ぎきれるわけもなく、後方に吹き飛ばされる。
そしてそのまま、崩れた周りの建物の瓦礫に突っ込んだ。
「やれ。」
「『絶対切断』『絶対切断』『絶対切断』『絶対切断』『絶対切断』…」
何度目かわからない、無機質な声とともに、無慈悲な斬撃が飛んでくる。
しかも一撃ではない。
それは回避することは不可能な、賽の目となって、シンが吹き飛んだ瓦礫の方へ一直線に飛んでいった…
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