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選択結果は異世界でした  作者: 守月 結
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064話 越境

本日短め

静寂。


先程まで激しい戦闘がったとはとても思えない。


「倒した?」


クリスもサラも、その静かな幕切れに脳内の処理が追いついていない。


「うん!倒した!」


そう笑うウィルの足元には、致死量と思われる程の血だまりが出来ており、ナージェスが横たわっている。


「殺しちゃったん…ですか?」


この状況で殺生はいけない、等と言うつもりは毛頭ないが、それでも目の前の無邪気な少年がなんの躊躇いもなく一人の人間の命を奪ったとは考えたくはない。


「うーん…あんまり手加減は出来なかったけど、今は生きてるよ!」


そう言われてナージェスを見てみると、確かに微妙に息をしているように見える。

だが、放置すれば確実に命を落とすだろう。


「そうですか…」


よかった、という言葉をすんでのところで飲み込む。

これは模擬戦ではない、殺し合いだったのだ。

やらなければ殺されていた、その言葉を口にすることは、それを実行してくれたウィルに対する冒涜だ。


「!姐さん、姉ちゃん、あんまり長居出来ない。結構な数の人がこっちに向かってくる。」


ウィルの顔が急に険しくなり、頭の上にある耳がピンと立つ。


「わかった、さっさと門をくぐろう。」


「はい、そうですね。」


騎士が来るなら放置してもすぐに助けてくれるだろう。

そう思い三人は急いで門をくぐるため、走りだした。






「うわぁ…大きい…」


クリスがそんなことを言う。

ウィルも同じことを考えているのだろう、目がキラキラしている。

目の前には、建設されてからどれだけの時間が経っているかわからないにも関わらず、荘厳で厳かな文様の描かれた巨大な門がそそり立っていた。

魔物のような、人間のような、何かの抽象画のようなものが描かれている。


「かつては巨人族と言われる、今の人間よりもずっと大きな種族もいたそうで、そういう人達も通れるように巨大になっている、って歴史の本で読んだことがあります。」


「こんなでっかい人間がいたの!?他の獣人の種族より大きい…」


「これほど大きくて…頑丈で、細かい模様のある建築物…神々が作ったって言われても信じちゃうわね。」


門の一部に触れながら、クリスがそう呟く。

何千年、何万年前に作られたものなのか。

本来なら風化しているレベル、だが最近作られたと言われても信じるレベルの綺麗さ、真新しさ。

更に、触れたクリスだからこそわかる、『これは破壊できない』

おそらくシンの『超電磁砲』でも傷一つつかないだろう。

破壊不可能、という言葉を理屈でなく理解した。


「…とにかく、通りましょう。」


そう言って、門の入口の正面、直前に立つ。

あと一歩踏み出せば、門の直下だ。


「い、行きますか!」


「う、うん!俺怖くないよ!」


「………いっせーの、で行きましょう。」


ここに来て三人とも若干怖がっている。

もし、あのお伽噺が本当なら

この強行突破も、ある意味密入国ではないか?

いや、もしかすると門をくぐるだけでなく、何か他に必要な物があったら?

(ウィル以外)みんなそう思っているのが伝わる。

だが時間は掛けられない。

三人は決断した。


「行くよ?いっせー………」


三人が同時に脚を出す。


「「「のっ!!!」」」


そして三人同時に地面に脚をつける。






「……これでいいのかな?」


「……何もおきないわね。」


「……………ですね。」


特に何かを感じるわけでもない。

お互いに見えてるし、会話もできる。

『存在が許されない』わけでもないようだ。

試しにギルドカードを見てみる。


「あ……」


サラが小さく声を上げる。

サラのギルドカードは、青…青銅に近いだろうか?そういう色に変わっていた。


「本当に国境を越えたんだ…」


クリスはそう呟く。


「お、俺は全然ヘーキだった!」


ウィルも少しテンションが上がっているんだろう、声が上ずっている。


「って、後ろから複数の気配!さっさと逃げないと!」


クリスがそう言って走りだす。

ここからのことも、シンと打ち合わせをしている。


『国境を越えれるタイミングで越えてしまって構わない。

国境を越えた先の街で落ち合おう。』


そう、今は逃げるしか無い。

全員ボロボロだ、これ以上の戦闘は避けるべきだろう。


「ま、待ってください!」


「姉ちゃん!早く!」


ウィルとクリスは、基礎能力と肉体強化魔法でさっさと先を行ってしまう。

サラは魔力を限界まで使い切ってしまったので、最低限の肉体強化魔法しか使えない。

もちろん、二人も本気で置いていくようなことはしない、テンションが上がっているのと、少し気が抜けているのだ。

後ろからの足音は相変わらず多いが、とある場所でその足音が止まった。


王国の騎士団であるから、無断で帝国に入ることはできない。


サラはそれを知っていた。

そして足音が止まったことは


「……すみません」


サラは後方の門に少しだけ視線を送り、門の向こう側で悔しそうに立ち尽くしている騎士団に向かって、そう呟いたのだった。




お読みいただき、ありがとうございます!

ブクマ・感想・評価等本当にありがうございます!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!

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