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選択結果は異世界でした  作者: 守月 結
57/103

056話 ボス?師匠?

本日短め

仕事の関係上遅めUP

「……どういう事だ?」


肉体と言われて、そうなんだ、とはならない。

意味がわからない。

奴の肉体を作る?

いやあるだろ、身体。


「そのままの意味さ。バロックの肉体を作る。

今のあいつの身体は合ってないんだよ。」


「合ってない?」


「そう、合ってない。肉体と精神の乖離かいりが酷いんだ。

まるで、"あいつの精神と肉体が別"みたいに。」


なんだよそれ。

精神と肉体が別……なら、バロックという存在は、本質的に精神体でしかないとでも言うのか?

そんな馬鹿な……いや、この世界なら、或いは


「ちょっと離れるが、この世界には精神体のみの存在…ゴースト、幽霊って存在はいるのか?」


「僕は見たことが無い。」


「??」


「ゆうれい?って名前の魔物は知らないですね…精神体のみの存在も、聞いたことはありませんね。」


サラとクリスも知らないらしい。

スケルトンはいて、ゴースト、幽霊はいないのか。

いや、元の世界でもハッキリと幽霊がいるという証拠はついぞ見つかっていない、それの存在は信じられているが、誰でも認識できるという証拠、証明はされていないしな。

この世界には、幽霊、ゴーストに相当する言葉がないだけかもしれないな。

少なくとも、一般には知られていない。


「なら、誰かの身体を乗っ取るスキルや魔法は?」


代わりに、この世界には元の世界にはない現象、力がある。

それを使えばどうだ?


「一時的に乗っ取る方法…前私がかかっていた『キーチェーンマジック』などは、ある種乗っ取ることに相当します。

永続的に、という意味でしたら古代の禁呪にはあるかもしれません。」


「なるほど。

話を戻すが、身体は一から作るのか?今の身体を作り変えるのか?」


「作り変えるって話だったけど…あぁ、だから精神体の話を聞いたんだね。」


ただ乗っ取るだけなら別に肉体を作る必要は無い。

誰か強いヤツ…それこそガインとかを乗っ取ればいいだけだ。

だが、作り変えるというのなら、なんとなく理解できる。


「僕もね、それ以上の詳しい話は聞いてないんだ。

単純に『肉体を作ってくれ』って条件で取引したからね、作ることになったんだよ。」


「なるほどな……バロックの考えとして『今の身体に不満があるから強い体を作れ。そのための材料は提供する』ってとこか。」


「概ね、その認識で間違ってないと思うよ。」


「その肉体は出来たのか?」


そこが重要だ。

もし、研究の結果、バロックの強靭な肉体とやらが完成していた場合、かなり面倒なことになる。

……少なくとも、この"元人間の魔物"よりも強いだろうし。


「いや、"僕は"完成できなかったね。」


つまり


「"他の者"が完成させた可能性はある、と。」


アレクが不貞腐れながら頷く。

この魔物たちが、アレクの研究を引き継いだ誰かが完成させたモノだとしたら…

バロックの身体を作り直していても不思議ではない。


「……完成してないことを祈るばかりだ。」


別にバロックと戦う必要はないのだ。

あいつがこっちに干渉してこなければ、村人を救うことを妨害してこなければ、俺達と敵対する必要性はないんだ。

だけど、そうもいかないだろうな、という漠然とした予想が消えない。


俺達とバロック…いや、俺とクリスとバロック、この三人は嫌なトライアングルに絡みつかれているのではないだろうか?


「まぁいい、取り敢えず取引内容としてはそれだけか?」


「ん、そんだけ。」


正直、これだけでも結構ヘビーな内容だ。

俺達もかなり強くなった、だけど、その強くなった俺達より強い熊、それよりも強いと思われるバロック。

そんなもんと戦う可能性を考えると憂鬱になる。


「はぁ…面倒なことになってなきゃいいけど…」


「あんたと一緒にいて、面倒じゃなかったことの方が少ないんだけど。」


「嵐の中心にいるような人ですもんね。」


「勇者候補より強いくらいだからね。」


「ボスは一番目立ってます!」


クリスさん、そこは一番付き合いの古いパートナーとして、フォローの一つでもくれませんかね?

そして他の人達…俺に恨みでもあるのか?





********************






「そう言えばお前、群れを作るって言ってたけど、それは放っておいていいのか?」


ウィルの村で一晩休み、来た道を引き返し、ルジャータを繋いだ場所まで戻った。

そして、ルジャータに乗り、一路帝国を目指している時、ふと思い出してウィルに聞いたのだった。


「大丈夫!今はボスについてって強くなることが優先!」


「……そうか。」


イマイチ獣人の習慣というか、伝統というか、そこら辺が理解できないんだが、他の三人は特に気にした様子もない。

これがこの世界では普通なのか。


「というか、一つ直してほしいことがある。」


若干真剣味を出しつつ、ウィルに言う。


「何!?」


「……俺のことをボスって言うの止めてくれないか?」


正直恥ずかしい。

この世界では知らないが、元の世界だと痛々しい事この上ない。

もちろん、本当に組織のボスならいいんだろうが、あいにくと俺はそういうのじゃない。

ボス、とか言われても困るだけだ。


「でも…他になんて呼べばいいか……」


ウィルがわかりやすくションボリする。

その表情がとても胸に来て、許してしまいそうになる。

……いや、ここで許してしまっては元も子もない。

だけどどうするか。

ボスは嫌だし、普通に『兄ちゃん』『シンさん』とかと呼んでと言っても、そんなこと出来ないと言われたし。


「………はぁ。わかったよ、『師匠』でいいよ。」


「ほんと!?」


あぁ…保護欲を掻き立てられる笑みで、そんな喜ばなくても…


「……正直、俺は人に教える事ができるほど強くないし、知識もない。

それでもいいなら…」


「全然大丈夫!!俺、ボス…師匠より強い人、見たこと無いし!!」


……まぁ、ボスよりは師匠って呼ばれる方がマシかな。


「そうか。

まぁ、道中短いだろうが、出来る限り色々教えるよ。」


「押忍!!!」


マジでこっちの世界はどうなっているんだ?

『押忍』って…


こうして、俺に(予期せず)弟子が出来ました。



お読みいただき、ありがとうございます!

ブクマ・感想・評価など、とても励みになります!


ちょっとフラフラですので、誤字脱字あったらすみません…

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