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選択結果は異世界でした  作者: 守月 結
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042話 護送

今日も短め…あすは長くなる予定です

アレクの護送前日、俺達は武器屋に立ち寄った。


「ども、お久しぶり」


「おぉ!あんちゃんか!」


店主は相変わらず笑顔で俺の肩をバシバシ叩いてくる。


「無事だったか!まったく、今回も大活躍だな!!」


「いや…まぁ、たまたまだよ、たまたま。」


「それでもだ、この街を守ってくれた。倒れた軍…正確には騎士団員も、文字通り必死に守ってくれた。

俺はその事に本気で感謝してるんだよ。

ありがとうな。」


面と向かって真面目に礼を言われると、下手に謙遜できないし気恥しさも出てくる。

ここは素直に受け取っとくのが正解だ。


「…どういたしまして。おっちゃんから貰った剣も大活躍だった、ありがとう。」


「ガハハ!ちなみにどんな剣になったんだ?」


あ、言ってなかった。


「刀になったよ。」


そう言って腰の刀を渡す。


「ほぅ、珍しい………しかも信じられんほどの上物だ。そこらのナマクラとは全く違う。

こんな綺麗な刃紋は見たことねぇ…刀身そのものも湯濡れているかのように煌めいてるし、業物なんてもんじゃねぇ、下手な国の国宝レベルだ。」


店主が恭しく刀に触れて品定めをする。

どうやらかなりのモノのようだ。


「兄ちゃんに渡して正解だったな、これは俺には製作できん。」


「おっちゃんが売ってくれたおかげだよ。」


「なら間接的に、この街を救ったのは俺か?ガハハハハ!!

それはともかく、こいつの『銘』は?」


『銘』?全く考えてなかったな…

そうか、こいつは俺に合って生み出された刀だからなぁ


「その顔は考えてなかったって顔だな…付けてやれ、お前さんの分身みたいなもんだ。」


「そうだな、考えとくよ。」


それから俺達は王都に行くこと、暫く戻らない事を伝えた。

店主からは「きーつけろよ」とだけ貰った。


他の人、とは言ってもあとは受付のお姉さんくらいしか頻繁な付き合いの人はいないが、にも挨拶しに行った。


「寂しくなるわねぇ」


いつもの間延びしたおっとり雰囲気で返された。

同じように「気を付けてぇ」と言われた。

今生の別れでもないし、冒険者という職業柄、出会いと別れは日常なのだろう。


挨拶を終えた後、俺達はテキトーにサラと訓練をし、護送当日を迎えた。








「で、なんで俺がお前の隣なんだよ。」


「あれ?僕の隣は嫌かい?」


俺達はアレクの護送馬車に一緒に乗ることになった。

そこまではいい、俺だって歩くよりも馬に乗りたい、だが俺は乗馬なんてできない、故に馬車になる。

更に、一応俺達は叙勲されるくらいの、所謂VIPだ、馬車に乗るくらい許されるだろう、だけどな


「よりにもよってお前と同じ護送馬車、しかもクソ狭いのに隣って…」


「仕方ないでしょ、もしもの時にすぐに取り押さえれる実力者はシンだけだし、馬車の数もそんなにないんだから。」


クリスも何故か若干の不機嫌ヅラ、クリスがアレクの隣ならいいのに…

この狭い馬車は四人乗り、俺とアレクとクリスとマキシム。

サラは諸々の事情を加味し、一魔術師が馬車というのも…となり、普通に徒歩だ。

車内の関係上、俺とマキシム二人が隣同士になると、想像以上にせまっ苦しいのも原因の一つ。


「僕としてはこれ以上ない護衛だから、とても安心できるよ。」


「この隊列で実力者上位五人のうち三人も乗っているからな!逃げようと思ってもまず無理だろうな!」


この狭い車内でいつもの声量はやめて欲しい、半端なくうるさい。

クリスはクリスで機嫌悪いし。

アレクだけ無駄に元気だ。


「ちょっと手枷がキツいんだけどさぁ、緩めてくれないかなぁ。」


「ダメ」


「どうせ初期化の魔法陣かけられてるから何もできやしないってぇ」


「うるさい、ダメだ。」


無駄に猫なで声で…

ちなみに俺が素っ気ない態度をとる理由は、ただひとえにドギマギしてるからだ。

敵とはいえ、こんな美少女が隣で密着、緊張しないわけがない。

だがそれを悟らせないためにも、毅然とした態度を取る必要がある。

でも可愛いし…そんな子が猫なで声…わかっていてもドキリとする。

しかもなんかしなだれかかって来てる気が…

ダメだ!こんな誘惑に負けては!

でも可愛い…


ビキッ


嫌な音がした。

音の方を見ると、クリスが剣の鞘を握りしめていた。

お、俺の心を読んでるのか?

……そんなに怒らなくても…変な気は起こさないよぉ…


「と、ところで、王都まではどのくらいかかるんです?」


「この速度だと、だいたい一ヶ月ほどか!途中で村々に寄ってもそのくらいだろう!早馬ならば一週間で着くがな!」


戦争の疲労も取り切れない行軍だ、普通に歩くのよりも遅くなるのは仕方ないだろう。

気長に過ごすしかないな。


そんなこんなで、途中までは特にトラブルらしいトラブルも起きずに、順調に王都を目指した。

順調、それはつまり真逆の意味を孕んでいるということ、それに気付いている者は数人だけだった。


そしてそれは、王都まであと少しというところで起こったのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。

ブクマ・感想・評価等本当にありがうございます!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!


長々と書ける作家さんはすごいです…

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