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選択結果は異世界でした  作者: 守月 結
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002話 降り立った異世界

とりまいくつか投下。

誤字脱字があればご連絡ください。

目の前がだんだん見えるようになっていく。

眼前に広がるのは突き抜けるような青空。

あ、これ寝転がってるのか。

とりあえず身体を起こしてみる。

自分の足で立っている感覚がある。

さっきまでフワフワしてたけど、これは完全に夢じゃない、確実に現実だ。

目の前に広がるのは広大な草原。

今いるのは若干小高い丘の上だろうか。

遠くには荘厳な山々が連なっている。

元の記憶で照合すると、テレビで見たことがあるアルプスの高原のような場所だ。

間違いなくこんなところに来た記憶はない。

少なくとも、マッサージ店の近くにこんな場所はあるわけがない。


「本当に異世界に転生…」


そこで違和感に気づく。

転生って、生まれ変わることだよな?

俺は生まれ変わったか?

こういうのってたいてい、赤ん坊のころからやり直すんじゃ。

身体を隅々まで見てみる。

見たことない革製品の鎧なのか?をしている。

なんとなく身長も高くなっているような。

ちらちら見える前髪。

基本、短髪にしかしないから前髪なんて見えないんだけど。

ふと後ろを見ると、少し離れたところに川が見えた。

走って川まで行くと、身を乗り出して川面に写った自分を見てみる。

見慣れた顔とは明らかに違った顔がそこに浮かぶ。

もしかして…一から転生したんじゃなくて、"誰かに転生"したのか?

だとすると、おれはこの世界の誰かさんの身体を乗っ取ってしまったわけか?

急激に罪悪感がこみ上げてくる。

そんな時、ふと視界の端に奇妙なものがあることに気付いた。


「なんだこれ?メニューバーみたいな…」


目には見えるが、触ろうと思っても触れない。

ちょっと意識を集中すると、MMOで見るようなメニューが表示された。


「うおっ」


いきなり視界いっぱいに広がる、半透明なボードのようなもの。

何語かはわからないが、集中すると不思議と意味は理解できた。


「うん?名前…シン、だけか。苗字は消えちゃうのか?」


一つ一つ丁寧に項目を見てみる。


「ステータス値ってものはないのか。レベルも…見当たらないな。」


これはいったい何のためのメニューなんだ?

あ、スキルってのがある。


「そうだ、あの案内人が言ってたチートスキル!転生してからのお楽しみって言ってたけど。」


スキル項目を表示してみる。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


スキル


・熱操作

→対象物をあっためたり冷やしたりできる。(40℃~0℃)


・原理理解

→受けた攻撃の原理を理解することができる。


・成長促進

→能力値やスキルが成長しやすい。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■







…………………


…………………………………


おい。

どういうことだ。

熱操作って。

最大でお風呂くらいしか沸かせないじゃん!下限も0℃かよ!!

原理理解!?攻撃受けること前提!?そして理解してどうしろと!?即死攻撃は受けたらジエンドじゃね!?

成長促進はまぁいいとして…

チートは!?チート能力は!?

え?まじでこんだけ?

他はないの?

メニューをひたすら細かく見ていく。

魔法の欄はもちろん空っぽ。

魔法とかあるんだ。それは楽しみだ、すごく楽しみだ!

剣と魔法を組み合わせて…魔法剣とかできるのか!?胸が熱くなる!!

称号一覧とかもあったが、そこには「微妙な転生者」とあった。

一通り見てみたが、他に有益なものはなかった。

結論。

案内人、俺は貴様を許さん。

空を見上げながらそんなことを思っていると、自称・水先案内人が必死に謝っている。ような気がした。








「まぁ文句言ってもしょうがないか。」


もはや転生してしまったんだし。

しかも誰かの身体を乗っ取ってしまったようだ。

だけど、もしかしたら魂の変換とやらを行ったからこっちの世界に合わせて魂から身体を作り出しかのかも。

だとすれば、誰かさんの人生を乗っ取ったわけではなくなるのか。

うん、そう考えよう。心の安定のために。

それはともかくとして、これからどうしたものか。

軽く周りを見た感じ、近くに村や町はなさそうだ。


「川を下っていけば、村とかあるんじゃないかな?それにしても、もう少しましなところに転生させてくれないかなぁ。」


野生の狼とか、熊とか出る場所だったら転生した瞬間に死ぬことだってあり得るだろうに。

武器もない、人もいない、見渡す限り草原。

うーん、これ、意外にまずくね?

そんなことを考えながら川辺を歩いていく。

目の前に森が見えてきた、川はその森の中にまで伸びている。


「あの中入ったら、野生動物に襲われそうだな。」


取り合えず近くまで行ってみよう。

そう思いつつ向かっていくと、前方の森から木を切り倒す破壊音が聞こえてきた。

いや、切り倒すなんて音じゃなくないか?へし折るかのような鈍い音がする。

とっさに身構えていると、森の中から黒い塊が急スピード向かってくるのが見えた。


「なんだあれ!?」


見た目はイノシシだ。

サイズにさえ言及しなければ。

大型の競走馬より一回りほどでかいイノシシなど、見たことも聞いたこともない。

あれはイノシシの常識をはるかに逸脱している。

そんな化け物が血走った眼で、こちらに向かって突進してくるのだ。

逃げないほうがおかしい。

俺はわき目も降らずに全速力で駆けだした。


「やばいやばいやばい!死ぬ!」


転生して正味2時間ほど。

早速死を予感した。


―――――ピギィイィイィィィィィィイ


その時、化け物イノシシがけたたましく鳴いた。

普通ならそんなことはしないが、あまりの異常さに俺は振り返った。

よく見るとイノシシの上に誰か、人?が乗っている。

その人が何かを何度も振り下ろしている。

そのたびにイノシシは大声で鳴き、最後には断末魔のようなものを叫んで、地面に伏してしまった。

俺は訳も分からず、安堵からかその場で腰を抜かしてしまった。

すると、イノシシの上に乗っていたであろう人がイノシシから飛び降り、こちらに向かってきた。

血まみれの身体に、血まみれの剣、更にはその鋭い眼光。

イノシシの危険は去った、だが、目の前の異様な雰囲気を持つ"女性"に身体の震えが止まらなかった。

その人は俺の前まで来て立ち止まった。

そして剣についた血糊を乱暴に振り抜くと、背中の鞘に納めて表情も変えずに短く言った。




「誰?」




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