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選択結果は異世界でした  作者: 守月 結
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019話 ランクアップ

ギリ0時前!

朝。

朝食を取りながら、今日の予定を話し合う。


「ギルドに呼び出されるんだろうなー。」


「向こうもそう言ってたし、そうでしょうね。」


「どんぐらいかかるかわかんないし、先に武器屋に寄って防具を受け取ってこようか。」


食事を終えて俺たちは武器屋に向かった。


「お、いらっしゃい!噂の二人が来たな、防具ならできてるぜ!」


噂って…

もしかしてガルーダを倒した件か?

耳が早いにも程があるだろう。


「え?もう知ってるんですか?」


「そりゃな!こちとらそういう人間相手に商売やってんだ、情報の鮮度も大事なんだよ。」


そう言いながら店主はカウンターの下から防具を取り出した。

俺達の頼んでおいた防具だ。

以前は普通の革の鎧っぽかったが、今はビッグボアの厚い毛皮とロックスネイクの鱗部分が組み合わさり、かなり防御力が上がっているが見て取れる。


「全体的にビッグボアの毛皮で覆わせてもらった。鎧の上下繋の部分も新しくこらえて、コートのような形にさせてもらったぜ。

重点的に守りたい胸部分にはロックスネイクの鱗もふんだんに使ったし、肩・肘・腰回りの部分にもサポーター敵に取り付けた。

動きづらそうに見えるが、ビッグボアの毛皮は案外柔軟性と通気性に優れててな、特に動きづらさは感じないはずだ。」


新しい鎧を受け取って早速袖を通してみる。

サイズがぴったりだ。

前の革の鎧は若干大きめだったのに、サイズを合わせてくれたのか。

採寸とかしてないのに、目測かよ…

そして言われたようにコート型でも動きを阻害する感じはなく、むしろ身体にフィットするから動きやすくなっているとさえ感じた。


「おぉ、これすげぇ!重さもそんな変わんないし、フィット感がぜんぜん違う。」


「うん、動きやすい。しかも触ってわかるくらいに頑丈になってる。」


クリスもご満悦だ。

俺たちは店主に礼を言い、レンタルしてた鎧を返却した。

これで普通に戦力アップだな。

見た目としても、前は駆け出し冒険者です!田舎者です!って感じだったがだいぶ様になってきたと思う。


「あら、それっぽくなってきたわねぇ。」


ギルドに着くと、いつものお姉さんが話しかけてきた。

にしても相変わらず人がいない。

初日の盛況っぷりをしっているせいで、本当にこのギルド大丈夫か?となってしまう。


「あ、どうも、おはようございます。」


「呼び出されると思って先に来ちゃいました。」


「あらあら、調度良かった、いまギルド長を呼んでくるわぁ。」


なんかお姉さんの声が間延びしているような。

もしかして昨日結構遅くまで話し合いしてたのか?


「いやいや、よく来てくれたね。」


ローレンスさんに促され、昨日と同じ奥の会議室に招かれた。

ちょっとお高めのソファーに腰掛ける。


「端的に言うと、君たちの功績を認めて異例だが二人をCランクへ格上げさせてもらおうと思う。」


随分と急に要件だけを切り出したな!


「えっと…ありがたいんですが、いいんですか、その、いきなりそういう事になっても。」


ぶっちゃけ展開が早すぎやしないか?

いくらこの辺のボスを狩ったとはいえ、初回クエスト達成で二ランクも上がるって、ショートカットしすぎだろ。


「昨日の夜、残ってるギルド職員と散々話し合った結果なんだよ。」


ローレンスさんの目に隈ができている。

同席している受付のお姉さんも、化粧でごまかしているがよく見ると隈ができていた。


「そ、そうですか…」


「正直に言うとね、今この辺でそれなりの強さを持った冒険者が圧倒的に不足しているんだよ。」


原因は言わずもがな、ガイレン山脈への大遠征だな。

聞けば、報酬目当ての外部の冒険者が多いが、地元のCランク以上の冒険者もほとんどが遠征に出て行ってしまっているらしい。

幾つかの冒険者のパーティーは残ってくれるように頼んだが、基本的に冒険者は自由だ。

正直、冒険者登録をしてギルドに所属する必要はない。

ギルドカードを作らず、ただ魔物を狩って魔物の部位を売ったりして生きていくことも可能だ。

ギルドにもクエスト成功報酬以外に、狩った魔物を買い取るだけの場所もある。

ただ、ギルドで冒険者登録をすることによって、得られるメリットが大きいだけで、必須というものではないのだ。

故に、よほどのことがない限り、ギルドが冒険者に「このクエストを断れ」などとは言えないのだ。

しかも、今回の大規模遠征は、王国側からの正規の依頼だ、優先度はどうしてもそっちが高くなる。


「村周辺にも魔物は湧き続けている、こっちの都合なんてお構いなしにね。」


「この辺の深刻な冒険者不足は王都の方にも連絡してて、軍を派遣してもらえることになってるんだけど、向こうもゴタゴタしてるらしくて後一ヶ月くらいかかるらしいのよぉ。」


後にクリスから聞いたが、王国とは俺達が住んでいるこの国のことだそうだ。

シルベルト王国。

広大な国土を持ち、その多くが雄大な自然に溢れている、資源豊かな国だ。

ガイレン山脈周辺のような場所は多いが、ここらへんは特に田舎に位置するらしい。

軍事国家では全く無く、普通の王政国家だそうだ。

ここ数百年は他国と戦争すらしていないらしい。

他にどんな国があるのか聞いたが、クリスも正直そこまで詳しくなく、ぶっちゃけ歴史や地理のお勉強が不足しているのは明らかだった。


「その間に貯まってきているちょっと難易度の高いクエストを俺たちにやってもらいたいと。」


「あぁ。多分、うちが出すクエストで一番難易度が高いのが『ガルーダ討伐』なんだ。それをこなしている君たちだから、ほぼ間違いなくうちで出す討伐系のクエストはこなせると思ってね。」


「なるほどね…異例のランクアップの条件がそれってわけですか。」


ローレンスさんは苦笑で返答する。


「もちろん、純粋に君たちをいつまでもEランクに留めておくのは、もったいないって感情があるのも忘れないでくれ。」


「いえ、別にそれはいいんですよ。俺達の今の目標は『強くなる』この一点ですから。むしろ難易度の高い依頼を回してくれるなら、願ったり叶ったりです。」


おそらく、ガイレン山脈の大遠征に加わったほうがレベルが上がるのかもしれないが、現状Eランクだとそもそも受けれない。

ここに残ってギルドの捌き切れないクエストを受ける、って条件でCランクにしてもらえるのだから、それをしないのなら俺達はEランクのままだ。

それに、俺はステータス的に魔の大陸からの魔物相手でもギリギリ戦えるかもしれないが、クリスは厳しいだろう。

ステータスが伸びたと言っても、多分Cランク中盤くらいの強さだと思う。


「ともかく、その話はお受けいたします。」


「よかった、我々もほぼ徹夜し早急に結論を出した甲斐があるというものだよ。」


そう言うローレンスさんは、ほんとに疲れきった顔をしている。

こんなことを決めるくらいでそんなに時間がかかるのか?

もしかすると、お偉いさん方の会議ってのは異世界共通で無駄に長くなってしまうのかもしれない。


その後、俺達は正式にCランクに昇格し、なあなあになっていたクエスト成功報酬を受け取った。

報酬はギルドの手数料を差し引いて銀貨二十枚だった。

そして(ついでに)狩ったガルーダの死体は

・欠損部分がないこと

・首を落としただけで他に外傷がないこと(俺のアイテムボックスに首以外の部分が一回で入った)

・個体としても大きかったこと

という付加価値がつきまくり、全部合わせてなんと驚きの

金貨五十枚になった。

日本円換算で五百万ですよ!?

個人でこんな額持ったこと無いよ!

めっちゃ効率いいじゃん!!とか思ったのだが


「本来はCランク五人のパーティーが三つ参加して十五人。それで山分けしたりするから、一人頭金貨三枚がいいとこなのよぉ」


確かにそう考えると…

しかもガルーダはかなり強いから、命の危険も相当に伴う。

命かけてぎりぎりで倒して三十万…しかもそれで怪我でもしようもんなら、そっから治療費、消耗品、準備…うん、割に合わんな。

あ、そうだ、パーティーについて聞こうと思ってたんだ。


「あら?教えてなかったかしら?パーティー結成はリーダーがCランク以上じゃなきゃできないのよぉ。二人は条件を満たしてるし、どっちかがリーダーでパーティー組んじゃう?」


聞いてねぇし!

詳しく聞くと、これも無駄にパーティーを増やさないように、不正防止の意味を含めてCランク以上という制限を設けているらしい。

そもそもE、Dランクがパーティー結成し調子に乗ってしまうと寧ろ危ないので、中級者のCランク冒険者が引っ張っていくのが普通なんだそうだ。

とにかく晴れて俺たちはパーティーを組むことになった。

基本的にリーダーがクエストを受注すれば、メンバーも同時に受注することになる。

もちろん、受注の際にソロに切り替えることも可能だそうだ。

中にはパーティー人数を指定したクエストもあるから、パーティーを組めるのなら組んでおくのがいいらしい。


「取り敢えず今このギルドに来ている、未受注のCランク以上の依頼がこれだよ。」


ローレンスさんは、三十枚以上あると思われる紙束を持ってきた。

え?マジで?


「これは上のやつほど緊急度が高くてね、これとか『ハーピィの巣の除去』とかね。」


「いや、普通にBランクとかありますけど…」


「そこはこっちの権限で受注できるようにするよ。」


緊急時とはいえ職権乱用だろ!


「君たちならどうせ依頼をこなしてる最中にBランクにあがるだろうさ。」


ローレンスさんはアッハッハと諦めが入った笑顔で話している。

それでいいのかギルド長!!

そしてなぜか隣りに座るクリスが、ローレンスさんに同情の眼差しを送っている。

え?僕ってそんなに規格外?


釈然としないままだったが、俺達は依頼書を片っ端から受注していったのだった。

お読みいただき、ありがとうございます!

ブクマ・感想等本当にありがうございます!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!

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