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選択結果は異世界でした  作者: 守月 結
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001話 うぇるかむとぅ異世界

とりまいくつか投下。

誤字脱字があればご連絡ください。

あー、体がふわふわする。

これは夢だね、明晰夢ってやつか。

確か怪しげなマッサージ店に入って、マッサージしてもらって…

うん、そっから帰った記憶がないから、そのまま寝ちゃって今見てるのはその時の夢なんだろうな。


「やぁ、君が新しい人だね。」


中性的な声だ。男性でも女性でも違和感はない。

なんだ?どっから聞こえる?

周りを見てみても、誰もいない。でも気配だけは感じる。


「あぁ、君には見えないよ。こっちから話しかけてるだけで、君からは干渉できないよ。」


干渉できない?


「君の次の人生は過酷かもしれない。でもどうか世界を救ってほしい。願わくばその人生に幸多からんことを。」


は?何を言っているんだ?


「何って、君、こっちに来ることに同意したんでしょ?」


こっち?いやいや、何の話だ?


「えー…」


顔は見えないが、若干困ったような呆れたような声が聞こえる。


「ちょっと待ってね。」


天の声(?)そう言うと、急に気配が遠くなった。


「………は?……えぇ…………なに…………それって……………説明が…………はぁ……………」


微妙にだが、なんか怪しい言葉が聞こえるぞ。


「お待たせしました。」


声の主の気配が近づいた。


「えーと、結論から言うと、君は異世界に転生することになりました。以上。」


………ん?何言ってんだこいつ?


「いやぁ、こっちの不手際というかなんというか、説明不足だったんだよね。」


というと?


「『全魂マッサージ』したでしょ?それで魂をリフレッシュしました!やったね!!」


サムズアップされたような気がする。

さっきとは打って変わってずいぶん気軽な。

だが、相変わらず意味が分からん。


「あのマッサージね、要するに疲れた魂をマッサージで癒して、気分を一新して新しい世界で頑張ろうってものだったんだよ。」


はぁあぁあああぁぁああぁ!!!!????


「うん、そういう反応になるよね。」


ちょっと待てよ!俺はまだまだ元の世界でやることがたくさんあるんだよ!


「でもねぇ、もう魂の形が元の世界にあってないから、生を受けたとたんに消えてしまうよ。というか、元の世界では君はいないことになってるし…」


ちょっとちょっと!だから待てって!


「元の世界での存在を消して、新しい世界で新しい生を受ける。一言で言ってしまえばそういうことをしたんだよ。」


なるほど、やっぱりこれは明晰夢なんだ、そうに違いない。


「うーん、本当なんだけどなぁ。」


だってそんなもん信じれるわけないだろ。

だいたいそんなことができるって、あんたは神かなんかなのか?


「神ではないかな。『水先案内人』っていうのが一番近い表現だと思う。まぁ信じれないのも仕方ないよね、"あの二人"がろくに説明しなかったみたいだし。」


"あの二人"?もしかして美人店員さん?


「そうそう、その二人。彼女らは『換魂者』ってとこかな。」


魂を変換するのか…


「あの二人の使命は、『適性のある人間を探しだし、滅びそうな世界に転生させる』ことなんだ。」


つまり勇者を探して異世界に送り込むってことか?


「平たく言ってしまえば。でもそれを半分放棄しててねぇ…」


ってことは俺は勇者なのか?


「あー…」


声の主(自称・水先案内人案内人)が若干言い淀む。

なんだ?顔をそらされた気がする。


「君は異世界への適性はあるんだけどね、うん。」


だけど?


「勇者では…ないかな…」


…………あ、はい。


ちなみに、適性はあるのに勇者でない理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?


「えーっと、適性ってのは『元の世界に満足してない、かつ、魂を変換しても変質しない、更に元の世界から消えても大きな影響がない』ってとこ。」


ふむふむ。


「一国のトップが急に存在を消したら、影響範囲がとてつもなく大きいでしょ?ある程度世界の修正力というか、つじつま合わせはできるんだけど、さすがにそれが大きいと元の世界も崩壊する可能性があるからね。」


では勇者とはどのようなものなのでしょうか?


「丁寧語が心をえぐるよ…。勇者は適性を持った人間の中でも、ひときわ魂が強力な人だね。転生する際に魂を変換してなおかつその魂を加工して、勇者たる能力だったり強靭な肉体を生成するのに耐えれるほど、魂が強い人を言うかな。」


わたくしは、適性はあるにもかかわらず、魂が貧弱だったということでございますね。承知いたしました。


「で、でも!適性があるってことはなかなか珍しいから!100人に1人くらいだから!」


日本全国から考えても結構いるじゃねぇか!


「う、うん。それは…否定できないけど…」


…案内人。


「案内人…あぁ、私のことだね?なんだい?」


元に戻してくれないか?


「無理。」


やっぱりか。


「だから、元の世界で君の存在は消えちゃってるし。本当はあの二人が勇者を見つけ出し、ちゃんと説明して転生してもらうんだけど。」


なんで俺はこんなことに?


「ぶっちゃけ、あの二人がめんどくさいからって、適当に君を送り付けたみたいだね。」


許さん、あの二人は絶対に許さん。

だがまぁ、これが夢じゃないっていうなら、もう仕方ないよな。

よく見る"転生もの"みたいにチート能力とかつけてもらえれば、向こうの世界でもなんとかできるだろ。


「お、適応が早いねぇ。」


上司の無茶ぶりに対応するうちに、感覚がマヒしてきてるんだよ。


「そっかそっか。じゃぁ君に適性のある能力を付与してあげよう!」


身体の周りに光が集まる。


「さて、君の魂の能力は…」


光が体の中に入ってくるような不思議な感覚がある。

体内を触られているというか、魂に触れられているというか。

なんとなくくすぐったい。


「……………………」


なんだろう、俺の魂の能力を探しているんだろうけど、雰囲気が。

顔は相変わらず見えないが、引き攣っているように感じる。

あのー、俺の能力はどうなったんですかー?


「……転生してからのお楽しみってことで!じゃ!」


え?ちょっと待っ………………





詳しい説明もされぬまま、目の前が真っ白になる。

え?何?なんで?





こうして元の世界における、山神真は消え去った。


そして、新たな世界で生まれ変わることとなる。

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