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選択結果は異世界でした  作者: 守月 結
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015話 クエストを受注しよう

あぁぁぁぁ…0時を超えてしまった…朝6時まで本日ルールにしようかな(逃げ)

最初に聞いたギルドおすすめの店は、基本的に冒険に必要な物はだいたい揃う「何でも屋」だった。

もちろん専門的な店にはかなわないらしいが、武器や防具、薬からテントなどの必需品、他には簡単な魔道書なんかもある。


「品揃えは豊富だな。」


だがすごい人がが多い。

商品が見えない場所まである。

店内は日本で言うホームセンターみたいなものか。

いや、武器とかそっちがちょっと比重が多いから、そう見えるだけかもしれないが。


「でも、今のあたしたちに必要な物はないかも。」


薬草とかも買うほど足りないわけではない。

テントとかも俺のアイテムボックスに入ってるし、薬草も腐るほどある。

食料も、下山途中に倒した魔物の分がかなりあるし、そこまで必要と思われるものもない。

必然的に武器なんかを必要とするのだが、それなら専門店に行ったほうがいいだろう。

それに人が多すぎてちょっと…


「よし、じゃ次の店に行ってみようか。」


次のおすすめの店は武器専門店だ。

店内に入ると、やはりギルドと同じように人がひしめき合っていた。

さっきの店よりもずっと人が多い。

この街全体で冒険者の数が一時的に爆発的な増加をしているんだろう。


「ここも無理だね…」


とてもじゃないけど店内を見てまわる気にはならない。

入ってすぐだが店を出た。

クリスは残念そうにしていたが、この人混みの中初めての店でいい武器を変えるとは思えない。




他にも魔法書の店や薬屋なんかも行ったが、どこも似たようなものだった。

いくつかの店を回り終えたら、あたりは薄暗くなっていた。


「今日はもう疲れたし、このまま宿の戻ろうか。」


「そうね、お腹も減ってきたし。店の位置を覚えれたってことで今日は終わりにしましょうか。」


二人で来た道を戻る。

なんか最近、クリスの言葉遣いが柔らかくなって来たような気がするが気のせいか?

そんなことを考えながら宿に戻り、夕食を取ることにした。

宿の夕食は、よくわからない野菜とこれまたよくわからない魔物の肉だった。

だが味付けはそれなりに旨く、村で食べる料理よりもおいしく感じた。

夕食後に部屋に戻り、今後の事を話すことにした。


「クエストを受けるにしても、あの様子だと明日もかなり早い時間から行かないと、クエストボードすら見えないよな。」


あの人混みをかき分けて受注する気にはならない。


「そうね、武器も心もとないし、武器屋にも行きたいけどどこも混んでるし…」


今俺達の手元にある武器は、古い剣が四振り、ナイフ五本しかない。

剣をそれぞれ一本ずつ予備としてアイテムボックスに入れて、あとは装備している状態だ。

剣自体も村に古くからある何の変哲もない物らしいので、いつ壊れてもおかしくはないだろう。


「明日朝早めにギルドに行って、混んでるようならクエストを受けずにその足で武器屋に行こう。


武器屋に寄った後、村の周辺の魔物でも適当に狩ればいいんじゃないかな。」


「うーん、そうだね、そうするしかないね。」


方針とも言えないが明日のことはこれで決まった感じか。

もう少し今後の事を話したい気もするが、正直二人共疲労がピークに達していた。

実際今も、かなり二人共眠そうに会話をしている。


「明日のことも大筋決めたし、もう寝よう。かなりきつい。」


そう言って俺たちは泥のように眠りについた。


********************


「ほら起きて!」


朝っぱらから布団を引剥された。

相変わらずなんで朝にそんなきっちり起きれるんだ?


「…寒!…………おはよぅ、クリス。」


「おはよう、シン。さっさと起きて顔洗って!今日はギルドにすぐ行くんでしょ!」


いや、確かにそうだが、今何時だよ。

若干薄暗いじゃないか。


「………わかった、用意する。」


のそのそとベッドから下り、軽く背伸びをする。

あー、身体がバキバキ鳴る、やっぱり疲れてたんだな。

そんな俺を見て、クリスが顔を真赤にして叫んだ。


「ちょっと!前隠してよ!!」


叫ぶと同時に枕が豪速球で飛んできた。

顔に見事命中し、クリスが慌てて部屋を出て行く。


「痛ぇ、何だよいった…」


そう思い、足元に落ちた枕を拾おうとして気付いた。


「………そりゃ、男の朝の生理現象ですもん、しゃーないですよ…」


俺の下腹部にテントが張ってるのは仕方ないですよ。




まだ若干顔が赤いクリスと一緒に朝食をとって、ギルドに向かう。

食事中、クリスはずっと「一体何考えてるの」「だいたい何であんなふうになってるのよ」「まさかそういうこと考えてたの!?」等、散々な言い様だった。

いや、世の男性の九割はああなりますよ?

朝は仕方ないんですよ?

と言ってもなかなか納得してくれなかった。

意外に初なのかもしれない。

早朝のせいか、ギルドにはほとんど人がいなかった。

ギリギリ窓口は開いていたが、全然ガラガラだった。


「やっぱり朝だと人がいないな。」


「早起きして正解ね。」


そう言ってクエストボードを覗いてみる。

やはり依頼自体もかなり少なくなっている。

昨日のうちにほとんど消化されたのだろう。


「俺たちはEランクだから、ひとつ上のDランク以下しか受けれないだっけ?」


D、Eランクはひとつ上のランクのクエストまで受けることができる。

この辺のランクはそれほど危険が伴わない上に、それぞれの依頼もそこまで専門性の高いものはないからだ。

ちなみに冒険者ランクはこなしたクエストと討伐履歴から、ギルド側が判断して決定する。

駆け出しの俺達はもちろん最低ランクからだ。


「あ、これとかどう?『暴れうさぎ三十匹捕獲』。」


クリスはDランクのクエストを指差した。

Dランクでも結構レベルが高いほうだ。

他は薬草系の植物の採取だとか、採掘の手伝いとか、森林の伐採だとか作業系が多い。

暴れうさぎとやらがどんな魔物かは知らないが、ビッグボアより強いってことはないだろう、うさぎだし。


「このクエストをお願いします。」


ボードから紙を剥がし、クエスト受け付けカウンターまで持って行った。


「あら?二人は昨日の…」


「あれ?昨日のお姉さん?」


昨日、俺達は冒険者登録をした時のお姉さんだった。


「今日はこっちの受け付けなんですか?」


「むしろ昨日が人手が足りなくて向こうを手伝ってたのよ。本来の担当はこっちよ。」


お姉さんはほんわかした表情で答えてくれた。

うん、やっぱりかわいい。


「ところで、今日は朝早いとはいえ随分と昨日より人が少ないようですが…」


クリスがお姉さんに話しかけた。


「あ、二人は知らないか。今日から冒険者達がパーティ連合を作ってガイレン山脈に向かうのよ。」


街で魔物が来るまで待つんではなく、山の広いところで魔物の襲来を迎え撃つために、山を登るんだそうだ。


「…そうだったんですね。」


「二人にはちょっときつい話だったわね、ごめんなさい。」


お姉さんが申し訳無さそうに言った。


「いえ、気にしないでください。」


俺もクリスも努めて平気な振りをして答える。


「それよりクエストなんですが…」


「あ、そうね。ちょっと見させてもらうわね…


うーん、いきなり暴れうさぎ三十匹は危ないんじゃないかしら。二人共成り立てよね?」

お姉さんは険しい顔をして答える。


「暴れうさぎってのはそんな危険なんですか?」


「危険ってより、群れでの行動が多いから…油断をして大けがをする駆け出しの冒険者は多いわね。ちょっと気が大きくなって討伐・捕獲系に手を出しちゃった感じの子。」


ふむ、その程度なら問題ないかな。


「一応、あたしたち、村でウルフドッグの群れとか、ビッグボアを単騎で倒すくらいの腕前ではあるんですけど。」


「え!?ウルフドッグの群れ!?ビッグボア単騎撃破!?」


ほんわかしたタレ目気味のお姉さんの目が見開かれた。


「ちょっとギルドカード見せてもらっていいかしら……

ほんと、二人共かなりの討伐数ね……普通にCランクの下位くらいの力はあるかも……」


冒険者に成りたてでここまで討伐数が多いのはそういないんだろう。

下山途中でも、よくわからない強い感じの魔物も問題なく倒してたし。


「わかりました、実力的には問題ないと思うので、クエスト受注を承ります。」


そう言ってお姉さんは光るハンコのようなものを紙に押し、次に俺達のギルドカードにそのハンコを押し付けた。

するとギルドカードに変化が起きた。


********************

シン

Eランク

受注クエスト:

・D『暴れうさぎ三十匹捕獲』

クエスト履歴:

なし

討伐履歴:

ウルフドッグx48

ビッグボアx5

トレントx106

………

……

********************


ここでも登場の謎技術。

これ日本に持って帰ったら、かなりすごいんじゃね?


「では簡単に注意事項を説明しますね。」


お姉さんから説明を聞き、最後に「気をつけてくださいね」とのお言葉をもらい俺達の初クエストは開始された。

期限は明後日の日没までだそうだ。


「よし、このまま武器屋にも行こうか。」


お姉さんの話だと、昨日まで混んでたとしても、今日はギルドと同じく空いているだろうとのことだ。


「新しい剣とか…あたし、新品の剣って持ったことないのよね!」


寝て起きて疲れも取れ、空いているであろう武器屋を想像するクリスはえらいテンションが高かった。

「二刀流とかどう?」「ダガーとかに切り替えるのもよさそう!」とか言ってはしゃいでるクリスを見るのも、なかなか新鮮なものがあるな。

俺たち(主にクリスが)は胸を弾ませて、武器屋に向かった。



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