666文字異聞/女勇者りったんが行く4~お宝をゲットするのよ!
りったんは、泣く子もだまる女勇者です。
しかも、ちょっと欲ばりです。
ダンジョンの中にある宝箱は、片っぱしから開けて回らないと気がすみません。
でも、これ見よがしに置いてある宝箱なんて、ほとんどがミミックなのです。
だから、よく宝箱にお尻をかじられます。
がぶっ!
「痛てて……」
あるとき、司祭にこう言われました。
「レアなアイテムというのは、えてして鍵のかかった宝箱に入っているものじゃ」
「なるほどねー」
りったんは一念発起して鍵のかかった宝箱を探しました。
「見つけたわっ」
だけど、やっぱりミミックでした。がぶりっ!
「痛てて……」
見かねた勇者仲間がこう言いました。
「ラスボスを倒したとき手に入る宝箱には、百パーセント激レアアイテムが入ってるもんだぜ」
「え、マジで?」
りったんは命がけでダンジョンの最奥部まで行き、大乱闘のすえにラスボスの魔王を倒しました。
「ひい……」
体じゅう刀傷だらけで、頭には矢が二本刺さっています。
「うう、痛いよう。でもお宝をゲットするまでは死ねない……」
魔王のいた玉座の後ろを探してみると、立派な宝箱が見つかりました。恐るおそる鍵を開けてみると、いかにもいわく有りげな杖が入っています。しかも、こんなメッセージが添えられていました。
《勇敢なるものよ。この杖を封印の間にある台座の穴に差し込むがいい》
「やったわ」
りったんは苦労して封印の間を探し当て、台座の穴に杖を差しました。すると部屋中がぱあっと輝き出します。
「おおっ」
台座の上部がゆっくり開いてゆきました……それは、なんと。
やっぱりミミックでした。
がぶりっ!
「痛てて……」
つづ……かない(汗)