この物語はフィクションです
感想とか、くれても良いんですよ(チラッチラッ
※この発言(↑)はノンフィクションです。
「はい愛ちゃん、これが今日の分の貢ぎ物ねー!」
「……」
いつも通りの朝の事。
僕はいつも通り、愛ちゃんに貢ぎ物として1枚の板チョコを差し出していた。
「はぁ」
そして、溜め息を受け取っていた。
そこまでが、いつも通り。
「いい加減、その『貢ぎ物』って言い方やめません?」
愛ちゃん。
正式名、東雲愛。
僕達が通う学園で、こんな僕が高校3年生。
僕達が通う学園で、愛ちゃんが高校1年生。
そんな愛ちゃんが、板チョコを受け取りながらそんな事を言い出した。
「え、だいたいあってない?」
「『貢ぐ』の意味を調べ直して下さい」
「『君主・宗主国などに金品を献上する』『愛情や敬意の表現として際限なく金品をささげる。入れあげる』だってさ」
「なんでそんな瞬時に電子辞書が……、あ、そう言えば先輩、受験生か」
「そこに触れてはいけないよ」
人には、触れてはいけない闇、って物があるのだよ。
「で、私がいつ君主になったんですか」
電子辞書が教えてくれた意味の後半部分は、愛ちゃんの中からきれいさっぱりと消滅してしまっていた。
消滅してないけど隠してるだけなのか、本当に消滅しているのか。それは僕には分からない。
「あと、本当に貰っちゃっても良いんですか?」
「大丈夫だよ貢ぎ物だもの!」
「その言い方、いい加減やめません?」
「えー」
「『えー』じゃなくて」
えー。
「でも、渡した後に『やっぱり駄目』なんて言う訳ないじゃない」
ここで、僕の頭にピンと来た今後の流れ。
「愛ちゃんの目には、僕がそんなクズゲス野郎に映っていたんだね。今まで知らなかったよ……」
よよよ、と片手を目元に当てながら悲しげな声を出してみたりする。
「えっ!? ちょっ!? な、泣かないで下さいよ!?」
「良いんだ、嫌いなら嫌いと言ってくれよ容赦なく……」
「別に嫌いじゃないですって!」
「じゃあ、今すぐホールドミー!」
これこそが今思い付いた、『同情するならラブをくれ』作戦だ!
さあカモン、ラブ!
「嫌です」
「あっるぇー!?」
あれれーおかしいぞー!?
と、僕は、まるで見た目は子供で頭脳は大人な某名探偵風に脳内で叫んでいた。
いや、彼はここまで意外そうには叫ばないんだろうけど!
今の気分は名探偵コ●ン、って言うよりも名探偵困難だよ!
「そんなに驚くことですか!?」
「そう言う愛ちゃんが一番驚いてるね!?」
「そりゃそうでしょうよいきなり変な事を言われたんですから!」
「『変な事』って言われた! ショッキングだぜ、俺!」
グラスマイハートブロークン、って感じだよまさに!
英語の成績は芳しくないから、今の英語があってるかは知らないよ!
「……全く、こう言うところが無ければ良いのに……」
「え……、ありがとう?」
「ほ、誉めてませんよ!?」
「えぇ!?」
「先輩はまず、その無駄なポジティブをどうにかしてください」
「『無駄な』って言われたーッ!」
今日も、学校が始まる。