変わらない日々
「寒い」
朝、秋も深まり冷え込み始める。
夏の名残の扇風機を眺めつつ片付けないとな、と思う。
ーーージリリリリ
また鳴り出した携帯を止める。
ダルいなぁと思いつつ体を起こす。
今日も一日が始まっていく。
「代わり映えしないよなぁ」
「ん?なに?」
「結局何も変わらないんだよ。」
「ん、そうだよ?」
何馬鹿な事言ってるの、と幼馴染みに笑われる。
ルーチンワークな日常。
朝いつもと同じ電車で学校に行って、授業を受ける。そしてバイトがあれば帰って寝て次の日へ。
バイトがなければバイトの変わりにゲーセンにでも行って、と結局何も変わらない。
劇的な出会いなんてものはなくて、顔見知りの範囲が広がっていくだけ。
たまにバイト先での人の入れ替わりがあるだけ、という代わり映えのない日々、何だか機械的だなぁって
「いいじゃん。何も変わらない普通っていいじゃん。」
そういって笑いかけてくる幼馴染み。
「何も変わらない日常ってことはさ、誰も事故にあうというわけでもなく、親しい人が突然いなくなる訳でもなくって、凄いいいと思うんだ。」
そうにこにこしながら言ってくる。そして、それにさ、と続いた
「それとも、かな。私が君の日常を崩してあげようじゃないか」
と、無い胸を張って言ってくる。これはどういう事なんだろうと思いつつ
「いいよ。お前には変えられたくない。」
そういうと、コレってどういう事なのー……頑張ったのにーなどと唸っているのを見る。
まるきこえ何だけど良いのかな、と苦笑が漏れる。
でも、まぁこの子がいつも横にいる変わらない日常ってのもありかな、とそう思えた。