第二話 新たな家
次の話ぐらいで主人公の名前を出したいと思います
「にゃ…」
我はふ抜けた声と共に目を覚ました
「にゃ〜(ここは…どこだ?我はいったい?しかもなんだこの身体は!?)」
我は戸惑い狼狽する。まだ幼かったとはいえ明らかに体が縮み毛むくじゃらになっている。しかも妙な声しか出すことができない
「にゃ?にゃぁ?(一体どうなっている!?我は勇者の少年に剣で貫かれたはず…しかし我の胸には傷は無く、黒い体毛が覆っている?)」
我は自分の身体を更に確認すると、勇者に斬られた傷が無くなっている上に体中が黒い体毛で覆われていた
「にゃ!(くそ!我はどうしてしまったのだ!)」
我はよく分からない気持ちに襲われ木の板から飛び降り、建物の裏手にある森の中へと飛び込み走り抜ける
「ふぅ、ふぅ(はぁ、はぁ、馬鹿なこんな短距離を走っただけで体力がなくなるなど…!)」
森の中を100メートル程走ったところで体力が無くなり疲れ果て、その場にうずくまる
「…にゃ(とにかく今は水が欲しい…この喉を潤したい)」
水を求め川のほうへとのそのそと歩いていく
「にゃ?…にゃぁぁぁ!?(な、なんだこれは!?我の手がプニプ二しておる…?)」
川に着いた我は手で水をすくい喉を潤そうとしたとき、自分の手を見て驚愕する。依然の手は子供っぽいとこがあってプニプニしていたが今は肉球の様なものが付いており、まるで動物の手の様になっていたのだ。
「にゃ…(しかもこの姿は…)」
我は水に映った自分の姿を見て更に驚愕する
「にゃぁぁぁ!?(スローヴ!?)」
スラーヴとは我の世界にいるこの姿の生き物の名称。我がいた世界ではスローヴは召し使い的な存在だった
「にゃ…(嘘だ…確かに生前自分の運命をのろっていたが、この扱いは酷すぎるではないか…)」
我は自分が死んでしまった事を悟った。そして新たな生を受けたことに感謝と絶望を感じてしまう
「にゃ…(しかし、なってしまった物は仕方ない…まずは状況を確認するか。今我の姿はスラーヴ…これは放っておこう。一番確認せねばならぬのはここはどこかという事だ。我がいた古城とはかけ離れた景色…しかも世界は荒廃していたはず…だがここは木が生い茂っている。死んで別の世界に来たと考えるのが妥当か…あの状況で助かるとは思えんしな)」
我は考え始めて五分程度で自分がいた世界と今いる世界が別物ということを理解した
「…にゃ(…しかし困ったな。別の世界に来たとわかったのはよいが、生活などはどうすればよいのだ?スラーヴが何を食うか我にはわからぬ…しかも最悪なことに我は今空腹だ)」
我から腹の虫の音が聞こえる。最後に食べ物を口にしたのは1ヶ月以上前だが、別の体になったのだからあまり関係はない
「あら〜?なぜこんなとこにいるのでしょう?」
「にゃっ!?(誰だ!?)」
背後から、変わった服装をし、我と同じ黒眼黒髪の女が緩い言葉遣いで現れた
「仕方ありませんね〜」
「にゃゃ!?にゃ!にゃゃ!!(な!?この女俺をどうするつもりだ!?離せ!はなせぇぇ!!)」
我は女性の腕の中で力いっぱい暴れるが所詮下級生物の力、しかも我はこの体には全くなれていないのだ。どう足掻いてもせいぜい持ちづらくなる程度だろう
「あまり暴れないでください。あんまり暴れると…」
「にゃ!?(な、なにをするつもりだ!?)」
「力ずくで連れて行くことになりますよ」
「フギャ!!(ぐわ!!)」
女の手から白色に発光する塊がでたと思ったらそれを我にぶつけ、意識を刈り取った
「これでおとなしくなりましたね♪」
「……」
意識を失った我は女性におとなしく連れられて行った…と思う
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