026 次なる仕事は?
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特に見つけ方……というよりは、誘き出し方というべき方法だが、この船は宙賊船を狩るために作られたのでは? と思うような船なので、運営がどういった意図で作ったのか気になるところだ。
初心者ガイドのようなサイトでは、初期は細々と交易をして早めに大きい船に乗り換えて、稼ぎを増やしもっと大きな船へ、という感じでクラス3を目指すのがベターと書かれていたはず。
それなのに、この船だけで宙賊が狩れるのであれば、細々と交易をする必要がないということだな。
運ぶものにもよるだろうが、クラス1~2の自力交易であれば、宙賊狩りの方がはるかに儲かるだろう。だけど、自力交易だと赤字になる可能性もあるので、俺から見れば宙賊狩りの方がリスクが少ない。
初心者がバウンティハンターって言うのも不思議な感じだな。
軍曹の小話では、バウンティハンターには、いくつかタイプがいると言っていたけど、クラス2の船のサイズ単体でやるのは珍しいって話だからな。
大きく分けると次の3つらしい。
1つ目は、シールドと速度を強化した船を囮に、包囲して鹵獲するハンター。
2つ目は、母船に航続距離は短いが足の速い小型の戦闘船を複数積んで宙賊を狩るハンター。
3つ目は、索敵用のレーダーを強化した船を中心に、広範囲を探して宙賊を狩るハンター。
大体がこのどれかに含まれるそうだ。
クラス3の船で、強化して自ら囮をして殲滅するハンターもいるが、極少数だとか。
となると、俺は少数派のハンターになるが、船のスペックはかなりオーバー気味ということだな。
にしても、俺の船ってバウンティハンターに、ドンピシャな船って感じだな。
いったん船へ戻り、セバスを含めてどうするか決めることにした。
「稼いだと言いましても、中古のクラス3の船が買えるかどうかという程度ですので、これからもどんどん稼がないといけないですね。特殊船倉の案件がない時は、宙賊を狩る形がこの船にはあっていると思いますね」
20分ほど話して出た結果は、セバスのこの一言が表すように、稼ぐ必要があるので、この案を採用することになりそうだな。
「と言ってもさ、1ヶ所で狩り続ければ、数はどうしても減るから、交易品を運びながら、自らを囮にする方法はどうかな?」
「ゲートを使ったジャンプをする前に宙賊と遭遇したら、どうしますか? さすがにその状態ではゲートの使用許可は下りないですよ」
「ん~、ジャンプ前だったら、完全に沈めてから、軍とギルドに報告でいいんじゃないか? ジャンプの後で襲ってきた宙賊は、可能な限り捕えて引き渡すという形ならどうかな?」
「あまり質は良くないですが、荷物を積んでいる時もありますけど、それらの権利は放棄して全部渡して、賞金だけもらう形ですか?」
「あ~荷物か……考えてなかったな。じゃぁ、高いレアメタルとか、船倉を圧迫しない物だったら拾うのでどうかな?」
これなら、問題は最小限にできるだろうと、2人から合格をもらえた。
俺の意見を引き出すように誘導するとか、本当にこのゲームのAIってすげえな。
「交易をする商品はどうしますか? 私たちがピックアップしましょうか?」
「それなんだけどさ、首都星って医療関係の商品が余ってるから、安く手に入るんだよね。だから、首都星で医療関係の商品を買って、足りていない場所へ運ぼうかと思ってる」
「えっと、それならギルドの依頼を受けてもいいのではないですか?」
「俺の勝手な考えだけど、依頼料を払って持って来てもらう物を積みながら、自分を囮に宙賊を狩ろうとしている人間に頼みたくはないからね。自分だったら嫌だから、その行動はとりたくないかな。
いくら宙賊が黒い悪魔の様に嫌われている生き物だからと言って、依頼品を抱えながらの戦闘はね。だから自分で購入したものを運ぶ感じだな」
この世界の人間はこの世界で生きているなら、俺が購入していって現地で売った方が、相手は安く手に入れられて嬉しいだろうと考えていたりする。
実際にはそんなことないだろうが、この世界で生きている、という役割を演じようと思っているからな。
これぞMMORPGの醍醐味!
自分の考えた役割を演じて、ゲームを楽しむ。俺は俺の世界観で楽しみたいのだ!
俺のように役割を楽しんでいる中には、宙賊のロールを楽しんでいる奴もいるだろう。
同じような役割が沢山いるけど、一人ひとりが楽しめればいいじゃないかと思う。
「よし、話はまとまったから、もう1度ギルドへ行こうか。あっ、セバス、必要となりそうな物を購入しておいてくれないか? 後で、どういう理由で買ったか教えてほしい。どんなものが必要になるか知っておきたいからね」
セバスを船に残して、メイを連れて進んでいく。
リアルでは縁がないせいか、アンドロイドとはいえメイは美人なので、少し緊張するんだよな。ゲームの中だけどリアルだから、ドキドキしちゃうんだよな。
ダイブギアの心拍上限とかに引っかからないか、心配になってくるレベルだ。
初期のダイブギアは、心拍数が上がる興奮状態になっても接続がカットされず、興奮状態が続き気絶してしまうというケースが何度もあり、改良された結果、一定以上の心拍数を超えると接続が切れるようになっている。
ダイブギアを使ったプロのゲームでも導入されていて、接続がカットされた場合はその試合は棄権扱いとなる。ゲームにもよるが、そのまま負けになってしまうこともあり、興奮しないようにもトレーニングするようになったとか。
プロゲーマーってすごいよな。ゲームをしてお金を稼いでるって本当に凄いけど、とことん追求してゲームの深淵を覗こうとする研究魂とかも尊敬するわ。
俺にはのんびりゲームを遊ぶのが似合ってる。
ギルドへ着くと、相変わらず空いている受付へ。
一応、確認しておかないといけないので、
「勧められた通り、宙賊を狩ってみようかと思うのですが、1つの星系に留まって狩るのではなく、少量でも物資を運びながら狩ろうと思っていまして、少し確認したいことがあったので、聞きに来ました」
まぁ内容は、医療関係の物資の輸送依頼が出ている場所へ、ギルドの依頼を受けずに、運ぶものを自分のお金で購入して持って行くことはありなのかを聞いてみた。
「えっと……それでしたら、依頼を受けた方がナイン様の得になるかと思うのですが、何故そんなに面倒なことをされようと思っているのですか?」
セバスとメイには言ってなかった理由も、包み隠さずに話すことにした。
「なるほど……確かに相手方は助かるでしょう。法外な値段で売るわけでもないですので……それにしても、依頼を受けた品を運びながら宙賊退治は、良く行われていますが、それでも自腹で買っていくのですか?」
「自分が依頼人だったら嫌なので、自腹で買っていきます。ギルドとしては仲介料が入らなくて不満かもしれないですが、出来れば医療関係の物資が足りない所を教えてもらえたら嬉しいです」
「変わった人もいるのですね。医療関係の輸送は、仲介をしているだけで仲介料などは取っていないんです。だから気にすることはありません。なかなか運んでもらえなくて困っている星系やコロニーもありますので、こちらとしては迷惑よりも感謝が大きいですね」
ギルドが不利益を被らないのなら、問題はないか。
「相手は、依頼料の分だけ多く物資を買えることになるので、感謝されるでしょうね。優先順位の高い順番で、現在医療関係の物資の依頼が来ている場所を、そちらの端末へ送りしますね」
「え? こういった情報って、もっと秘密にされるべきじゃないですか?」
「少し調べれば分かってしまうことですので、話しておきますが、物資が少なくなってきているところは、船が集まってくるので宙賊に狙われやすいです。どんな所でもお金欲しさに宙賊に情報を売る人間がいますので……」
役人とかだけではなく、商人だったり住人だったりするそうだ。
「それに、今回の話を聞く限り、ナイン様の希望に合うかと思いますので」
……どういうことだろ?
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