131 黒髭じゃないけど、危機一髪
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物理用のシールドは通常のシールドより外側に張り出す形なので、こちらの狙っていた長距離ミサイルを阻害された形だな。
だけどね、ここには俺の船がいる!
そして、軍からの命令で主砲を壊してでも、物理シールドを破壊しろとのオーダーだ。
もちろん命令をだしたのは軍なので、この作戦が終わればメンテナンスと修理費を軍持ちでだしてくれることになっている。
通常の依頼や任務では、船の破損などは持ち主が全額負担する必要があるが、軍による強制の場合はその費用を全額軍が負担することになる。
他にも、依頼主が意図的に情報を隠しており、依頼を受けた船乗りが被害を負った場合は依頼主が全額負担する必要がある。
今回はお金のことを気にしないで主砲を撃ち込める。ただ、クラス4の船でクラス4の主砲なら数発撃てるのだが、俺の船で撃つとストレージの関係でどうしてもクラス4の船の回数には勝てない。
相手の船の物理シールドを壊せるのか、そこが問題になってくるんだよな。
シールドの特性上、一点に集中して攻撃した方が飽和しやすい。以前にも使った主砲のレーザーを細くして、エネルギーを一点に集中させる砲撃をすれば、ワンチャンがあるかもしれない。
ミサイル艦の指示に従って、主砲の発射タイミングを合わせる。
今回は、最大まで圧縮した主砲を2発連続で撃つことになっている。
圧縮して撃つと、主砲に負荷がかかり壊れやすくなってしまうのだが、最悪壊れても軍が直してくれるので遠慮はしない。
ただ、120%で2発撃つ予定なので、主砲以外のエネルギーが一時的に枯渇してしまう。主砲にエネルギーを急速充填するため、エネルギー回路にも負荷をかけ、最悪の場合は、主砲が撃てなくなる。
主砲が壊れるとかではなく、エネルギー回路は複数用意されているのだが、作戦を成功させるのに過負荷の充填を行うため、回路が焼き切れる可能性があるのだ。
主砲の回路が焼き切れるだけで、他の回路は問題ない状態なので、2発撃ってスラスターを動かせるエネルギーが溜まったら即座に隠れる予定だ。
ミサイルは弾速が主砲に比べかなり遅いので俺より先に撃ち込んで、そのミサイルの着弾に合わせて俺が攻撃する。
既にミサイルが30本ほど撃ち込まれており、高性能のAIを積んでいるのか通路の中を飛ぶのではなく、通路の外……アステロイドベルトの中をグネグネと進んでいる。
それができるなら、物理シールドの張られていない側面に誘導すればいいのでは? と思ったが、そうもいかないらしい。ソナーとカメラで障害物は避けられるが、速度の関係もあり真横から突っ込む形にすると、簡単に迎撃されてしまうのだとか。
正面なら迎撃されないのは、物理シールドが張られているからだ。シールドを解除して迎撃した場合、全部落とせれば問題ないのだが、1発でも残っていれば簡単に船が沈んでしまう。
迎撃してシールドを張りなおせば……というのも、そう上手くはいかないようだ。理由は分からないが、そういうモノなんだとか。
ミサイルの移動時間の間に、メイが簡単に説明してくれたのだが、途中から理解が及ばなくなり考えることを諦めたよ。
そんなことをしていると、主砲の発射タイミングが迫ってきた。
主砲のストレージには、エネルギーが100%詰まっている。そこに無理やりエネルギーを流し込み、120%までチャージを行う。警告音を発しているが、メイによってリミットを解除されているので、強制停止することは無い。
1射目、発射。
主砲のすべてのエネルギーを使い切り、着弾判定を確認する前に船に残っている全エネルギーを主砲へまわす。
その際に重力発生装置のエネルギーも使ったため、浮遊感を感じている。固定ベルトをしていなかったら、体が浮き上がっていただろうな。
エンジンの出力も限界以上に引き上げ、無理をさせて主砲へエネルギーをまわしたおかげで、目標値の120%を4%ほど超えた。
2射目、発射。
さて、どうなったのやら?
着弾の確認をしたいところだが、今はすぐにでも船を小惑星の陰に隠せるようにしないといけない。
フラグじゃないが、良くない予感がするんだよな。小説でもゲームでも、限界ギリギリまで力を振り絞った後って、色んな意味で危ない時間だろ? だからさ、これまで悪運が強く変なイベントを引き当てていたから、心配なんだよな。
『X-354! 前方に強力なエネルギー反応あり。シールド船の後ろから、主砲が発射された可能性が高い。すぐに回避行動を!』
あんたらの命令で、こっちの船はエネルギーが枯渇してるんだよ! どうやって移動しろって言うんだ……
思わず、コントローラーをギュッと握ってしまった。
どのボタンを押したのかもわからなかったが、セバスから
「アンカーが撃ち出されました」
と、報告が入る。
エネルギーが無く、スラスターは動かせないが、アンカーは撃ち出せるのか……
それなら、やりようはある!
「セバス、近くの惑星にアンカーを撃ち込んで、すぐに巻き上げろ!」
俺がやるより、セバスがやった方が確実で速いから、任せることにした。
俺の命令に従ってセバスが最適解の小惑星にアンカーを撃ち込み、巻き上げることで船の移動を可能とした。
これなら、初めからアンカーを撃ち込んでおけば、エネルギーが枯渇していても多少の移動は可能だし、アステロイドベルトの中であれば隠れてエネルギーを回復する隙もできるだろう。
小惑星の質量とアンカーの強さにもよるだろうが、移動中に小惑星にアンカーを撃ち込めれば、スラスターを使った移動とは違う動きができるかもな。
それが必要な事なのかは分からないが、面白そうだから後でメモっておこう。
アンカーを巻き上げたおかげで、敵の主砲の反撃を何とか回避することができた。セバスの判断では、動かない状態で主砲を受けていた場合、船体の2割は削り取られていた可能性があっただろうとのことだ。
辛うじて航行可能なようだが、本当にただ動けるだけで負荷をかけ過ぎれば、船体が折れるくらいには厳しい状況になっていただろうとのことだ。アステロイドベルトを無事に抜け出すのに、通常の10倍以上は時間がかかった可能性が高いだってさ。
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