121 最後の最後で……
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唖然としていると、戦後処理が進んでいく。
このアステロイドベルトで200隻近い船が撃沈したので、残骸を片付ける必要があるのだ。
先ほどの宇宙港近くでの戦闘は距離の関係上、放っておいても回収されることになるが、今回の場合はすぐにこれる場所でもない上に、護衛がいないと回収作業も安全にできないエリアだ。
そんなエリアに大量のスクラップやまだ使えるパーツを放置しておくわけにもいかないので、すべての船が協力して回収作業をすることになったのだ。
回収作業は、メイとセバスに任せられたので、俺は時間加速を切って掲示板へ書き込みをする。
掲示板に待機をしていたのかと思うほど早く返信があった。
チャプター2では、指揮官が変わるイベントが何例か確認されているが、決まった法則が無かったためランダムイベントかと思われていたが、俺の書き込みで法則の予想ができたため、検証班が動き出すようだ。
今回のチャプター2の難易度は、おそらく最低ラインだったと考えられるそうだ。他の報告でも、指揮官が変わった時は、難易度が低かったようで今回の件で低くなっていた原因まで分かりそうだと、検証板では大騒ぎになりそうだってさ。
ただ、初見で自力で最適解にたどり着くのは困難であるため、最適解にたどり着くまでの難易度の計算から、戦闘の難易度が下がった可能性が示唆された。
チャプター1の戦闘を含め、難易度が決まった可能性もあるのだとか。
よく分からないけど、問題がないようならそれでいいや。
運営サイド
「ルーキー君、運が良いのか悪いのか、判断に困りますね。シナリオイベントのチャプター1から、陽電子頭脳を積んだアンドロイドがいたプレイヤーは少ないから知らなかったけど、アンドロイドが主導するとこんなかたちになるんですね」
「確かにな~。さすがにあのチャプター1の難易度を初心者が切り抜けるのは、運が関わってくるからさすがに修正をしないとまずいな。チャプター1の最高難易度は、上級プレイヤーでもなければ、情報無しに切り抜けられないだろうな」
「どう修正しますかね? 上級プレイヤーとそうでないかを見分けるのは、困難ですよ。プレイ期間が長くても自力でその道を選ばないと、たどり着けないかたちですかね?」
「細かい調整は、プログラミング班に考えてもらおう。俺たちは、検証班が動き出しているから、そっちのプレイを見て情報をあげるのがいいんじゃないか?」
「今日の夜勤は、寝られなそうっすね」
運営サイド終わり
このスクラップやパーツの回収は、半々くらいの確率で発生しているルートで、おそらく撃沈した数がトリガーだと考えられている。数を正確に計れていないので、考えられているという表現で終わっている。
それにしても、チャプター2のルートは、大分変化球が激しかったな。チャプター1の時も大概だったけどな。
掲示板の先輩方の書き込みを見ているうちに回収作業が終わっており、コロニーへ帰還することとなった。
回収作業の合間に、今回の依頼の査定が終わっていたのか、コロニーへ到着すると同時に報酬の支払いがあった。
本来であれば、シナリオイベントはここで終わりのはずなのだが、報酬の支払い終了の通信の最後に、ギルドへ出頭するように命令があった。
掲示板では、稀に見られるオーバータイムイベントと呼ばれている、特殊な条件で任務をクリアすると現れる隠しルートのような話の裏側を聞けたりするものがあるそうだ。そのイベントにぶち当たったのかな?
シナリオイベントの後半で発見されているが、前半のしかも開始間もないタイミングでのオーバータイムイベントは、初めてっぽいな。
どんな話が聞けるのやら。
部屋に入ると、支部長とやらが既に待っており、すぐに椅子へ座るように促された。
「仕事、お疲れ様。今回の件に関して、簡単に説明しておく……」
そう言って話し始めた内容は、俺の予想を大きく外れるものではなかった。まぁ、いくつも予想していたうちの1つだったというだけだから、数撃てば当たる鉄砲のような物だ。
簡単に言えば、宇宙港・ギルド・軍すべてに内通者がいて、今回の作戦はこちらの戦力を削るために実行されたものだったらしい。そして、軍の内通者の中に、ブリスキン大佐と名も知らない少佐がいたのだとか。
掲示板では、乱戦が行われる大型軍艦の指揮するエリアでは撃沈した船は少ないが、格上の宙賊船が多数出てくる民間の大型船の指揮する方では、かなりの被害が出ている。
だけど今回は、軍艦がかなり撃沈しているが、民間の船にはあまり被害は出ていない。おそらくだが、本来軍艦が担当するエリアと民間が担当するエリアを事前に交換したのだろう。
それによって、俺らのエリアに来た敵は戦闘している風を装って、適当なところで切り上げる予定だったのだろう。それなのに配置が変わっていて、一方的に攻められて撃沈したため、話が違うと通信が入っていたのだろう。
でも、軍艦に大きな被害が出たのは問題なのでは? と思っていたが、マッキス中佐はブリスキン大佐の部下たちも今回の件に絡んでいることを掴んでおり、まとめて処分するために前線へと送り出したようだ。
しかも、生き残りそうになった不良軍人たちの軍艦は、遠隔で爆破して全員の息の根を止めたのだとか……
国家反逆罪にあたるので、生きていれば親類も死罪の対象になるので、対応としてはこの上なく甘い対応だったと、メイに教えてもらった。
ブリスキン大佐と名も知らない少佐が、何故内通者となったのかはまだ分かっていないが、軍の情報部が到着次第、拷問でも薬物でも何でも使い情報を抜き取る予定なんだとか。
こんな情報を何故俺に伝えるのかと言えば、今回唯一の被害者となった俺には正確な情報を先んじて伝えることで誠意を示し、後日正式な謝罪と賠償を行い、今回の件は終わりとしたいとのこと。
不良軍人たちの件は、名誉ある殉職として処理されるが納得してほしいみたいだ。
それはかまわないけど、大佐と少佐はどうなるのか気になったので、聞いてみた。
答えてもらえるとは思わなかったが、簡単に答えが返ってきた。
「家族は三等親までは即刻死刑。本人たちは、受け答えができなくなるまで情報を搾り取った後、宇宙刑の予定だ。助命は許可できないが、死刑の方法について希望があれば、変更は可能だ」
って言われた。民間人に処刑方法を決めさせるとか、あぶねえな……
たださ、宇宙刑って何ぞや? って思ったら、機密性の無い荷物用のコンテナに突っ込んで、30分ほど宇宙空間に放置するのだとか……まさかの窒息死による死刑だった。
色々とドン引きする内容を聞かされて、少しナイーブになってしまった。
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