下
リンは生まれた子どもを抱っこしたまま眠たそうな眼を擦りながら口から魂を出していた。
「どうした」
カルミアは腰に手を当て、呆れた感じでリンを見た。
「こいつ、鳴き声ハンパなく煩くてよ」
「ミンミンだっけ?ミントがこれ?」
バードに抱っこされて静かに眠っている。
「クリスのとこは双子生まれたんだっけ?えーっと」
「レイアースと、ルーナ」
ひょこっと現れやラブは二人の赤子を交互に見て、ふむふむと笑った。
「増やしたところで意味なかったんじゃないの?」
「まだわからないだろ?まぁ、オレ的にもそう思ったけど」
「リン、お前……」
カルミアはこめかみを抑えながらリンを見た。
「大体強い子がほしいなら作ればいいじゃない」
「処女神の契約をしているから無理だな」
「破れば?悪魔なんだし」
「前から思っていたが、ラブお前悪魔なめてるだろ」
ラブはてへっとべろを出した。
ミンミンは再びくずりだし、大泣きを始めた。
それにつられミントも大泣きを始めた。
リンは耳をヘッドフォンでふさぎ、目を閉じながら揺らしている。
「あんたそんなんでよく私ら育てれたわね」
「ヴァニラに手伝ってもらってたからな」
もちろん今回はヴァニラは手伝ってくれるわけがない。
「孤児卵園で子どもを選ぼうってのが間違ってるんだって」
「煩いな~」
カルミアは少し考え
「本当に跡継つくるきあるわけ?」
「あるさ」
リンは笑った。
「というか、作っているだろ?」
「?」
カルミアとラブは不思議そうに顔を見合わせたが、大泣きを始めたミンミンの声に耐え兼ね逃げた。
リンのとことは違ってクリスのとこはおとなしいものだった。
というか、すでに本を読んでいるあたり末恐ろしい。
「どんな英才教育よ」
「あら自主よ」
紅茶を飲みながら優雅にそれを眺めるクリス。
「優秀な子は努力を怠らないものよ?ラブ」
「う、含みのある言葉ですなー」
「あら、どうかしらねぇ」
自分でつくったお菓子を二人に勧め、子を眺める、その様子は確かに愛の女神……子は何故か異常だが。
優秀な子を増やし、クリス村に置く、そして放置。
子を作りはしても天界の教育をさせるつもりがない二人
「天界魔界人界には修行で行くのに、教育とか研修とか一切ないよね?なんで?」
ラブのコメントにクリスは鼻で笑った。
「元老院のじじいどもに相手されたいって?」
「いやぁさすが母様はわかってらっしゃるなー」
「お前な」
「ふふん」
クリスはドヤ顔で二人を見た。
「いずれわかるわ、すべてね」