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クリス村 休止中~  作者: 綴何
しょう
88/105


 「どうでもいけどさ」

 唐突にクリスは言った。

 「やっぱ、もう少しバラエティがほしいわね」

 「と、いうと?」

 「タマゴ増やしました」

 手には卵。

 「・・・・・・・・・・」

 空はめんどくさいものを見るような目をした。

 「大丈夫、リンのとこもだから」

 「何がどう大丈夫なんだ」

 「なになにー?また妹?」

 ラブが突如時空の裂け目から現れた。 

 クリスはそうよと返事し、卵を見せた。なんとなくだが、もうすぐ生まれてきそうだ。

 「たまには弟ほしいよおかーさん」

 「嫌よ。私が男いらないもん」

 クリスはぷーいっとそっぽ向いた。

 「まぁいいけど。世話するの私じゃないし」

 「お前らなぁ」

 空は呆れ切った声を出した。

 「天使だってなんだって、いきてんだから。生きているものをほいほい増やすってのはモラルとしてどうかと」

 「必要生産よ」

 「その言い方ですでにアウトな気がするのはあたしだけか」

 もはや何も言えずにいるソラをよそに、ラブは卵をこんこんと叩いた。

 キッチンからクグリが出てくる。談笑している三人に紅茶を勧め、また奥に引っ込んでいった。クリス自慢のガーデニングの見える庭で紅茶は悪くないが、空はもやもやした気持ちのまま紅茶を味わう。

 「というか、あたしらじゃクリスたちの代理にすらならないってことか?」

 「あら、自分を卑下しなくていいわよ」

 「してんじゃなくて、あんたのその行動が物語ってんだろ」

 クリスはくすっと笑った。

 「言ったでしょ。バラエティがほしいって。別にあんたたちに不満があって増加したわけじゃないわよ」

 「こーんなに優秀なラブちゃんいるのに、信じられないよねぇ」

 「お前なんてどうでもいいわ」

 「あのねぇ」

 クリスは卵をなでながら二人を見た。

 「多けりゃいいってもんじゃないってことぐらいわかってるわよ?説教されるまでもないわ」

 「言えよ」

 「なに」

 「本当の目的だよ。なんかあるんじゃないのか?」

 クリスはにこっと笑い、空の頭をなでた。

 「なんにもない」

 「ないのかよ!?」

 と、卵が揺れる。

 「あら」

 ぴきぴきと罅が広がり、卵が割れた。

 「あら双子」

 珍しく、双子天使の誕生だった。

 クリスは二人を交互に見て、名前を考えているらしかった。ラブもクリスの横から双子の赤ちゃんを覗き見る。

 「かわいいじゃん!同じ顔は一つでいいわよって思ってたけど、悪くないね」

 「お前ってたまにひどいよな」

 空もそういって顔を覗き込んだ。

 「オッドアイなんだな」

 「そうね・・リンのとこはどうなったかしら、見に行きましょうか」

 「え、名前は?」

 クリスはスタスタと歩いて行った。

 「わっついつざねーむ!?」

 「は?何語?」

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