②
赤、青、変わる信号の色に従い人間は進む。
クリスはうつしい金色の髪の毛を帽子の中にしまい、パーカーのポケットに手をつっこんだまま歩道を歩く。すれ違う人間たちはみんな何も考えていなさそうでいて煩悩に支配された脳をしている。
欲がなければ、人ともいえないが。
クリスは鼻で笑いながら人ごみにまぎれる。
(この中の何人の人間が、神を信じてるのかしら)
困ったら神様の奇跡に頼るのよね、信じてないやつほど。
クリスはクリスタルに宿る魔力の気配を追う。
(クリスタルが移動している。誰かが手にした?リン家ではないわね・・ウチのもんでもなさそう・・となれば、人間か?)
ずずず・・・・
「あら、私に喧嘩売るの、あんたが初めてなんだけど」
後ろを振り返って笑った。
そこにいたのは、アニメででできそうな巨大な戦闘ロボット。
「あんたのポンコツで私を倒せるとでも?千鳥」
「できんともいえんやん?人間さんは邪魔やけど、ウチ悪魔やから、気にしない」
黒いミサイルが何発もクリスに向かって発射された。
クリスは指を鳴らし、人間を別の空間へ飛ばした。
「ちゃっちい」
魔法の魔力を帯びた腕でミサイルをはじき返すと、黒いミサイルがぼこぼことうごめくと、形が黒龍に変更され、千鳥に向かっていたはずが、クリスに向かって戻ってきた。
「!」
クリスはバック転で回避する。
「そのミサイルは、敵の魔力を受けて変形し再度攻撃する仕掛けや」
「だから?」
黒龍が爆発した。
「な」
千鳥は驚いた表所を見せたが、犬歯を見せるとミサイルを増量させ再度打ちまくった。
「質より量が、リンのモットーだもんね。うちはその真逆」
クリスは手のひらを千鳥に向けた。
「行け、クグリ」
白い光がミサイルを撃ち落としながら千鳥の乗った機械を貫通した。
「あれ?機械コントロールきかんよって・・あんれー!?ボディがドーナツになっとるやないか!?」
「瞬間召喚よ。じゃ」
爆発音が空気を振動させる。
爆発程度なら千鳥は死にはしないだろう。
「さて、あれ?」
クリスは目を閉じた。
(何故?クリスタルの気配が途切れた)
リンが見つけた?いいえ、リンの気配はまだ移動次元内にある。
気配を消す気がないのなら、クリスタルだけ隠す必要はないわけだから、リンではない。
「誰かが介入したのかしら」
クリスは目を開け、結界を張った。
バッチィィィ!!
相手の魔力と、自分の結界のぶつかる音が響く。
「・・・・その様子じゃ、まだまだね・・ソラ」
目が合わないソラの攻撃を守っていたが、しばらくし結界は破られた。
(アメリアスの呪い、侮っちゃ駄目ね)
空をつぶすより、味方同士つぶしあいを狙ったらしい。
アメリアスの策略は悪くなかったが
「相手が私じゃね」
空の腕をつかむと、そのまま後ろに回り込み、手刀を食らわせた。
もちろん魔法で強化した威力で。
(・・・・骨が逝っちゃった音が聞こえたような)
・・・・。
「気のせいね★」