上
「やぁ、みんな」
クリスがいい笑顔で娘たちに手を振った。
子らは嫌な予感を隠しきれず、露骨に嫌そうな顔をしている。
「あっそびーまっしょ」
リンの【遊びましょ】は肉体系。
ともすればクリスの【遊びましょ】はもちろん
「天地世界にクリスタルの結晶をふたつ隠したから、命がけで探してね」
「え?」
「天地?」
「そ、天界人間界のどこか。地獄はなしにしてあげたんだから感謝しろ」
「意味が分からないんだけど」
なんで・・という言葉は空気に溶けて消えた。
「だりぃ」
怖いもの知らずのラブのコメント。クリスは微笑んだ。手がこぉぉぉぉっと音を立てて光っている。命のともしびが消えそうだ。
「クリスは私たちがひっしこいてクリスタル探すのを見てにやにやするわけ?」
ラブのせめての反抗で皮肉を言うと、クリスは首を横に振った。
「私も探すのよ」
「え?隠したんじゃねえのかよ」
「隠したっていうか、適当にランダムに飛ばしたの」
「・・・・・・殺気」
空がまだ何かをクリスに聞こうとする前に名雪がクナイを投げた。
びゅ
空気切る音にまぎれ目を光らせ現れたのは薙刀を構えたカルミアだった。
「あや、珍しく先手うたれた。さすがリン家の中では策士のカルミアね」
「なんで私狙い?」
ラブはステップを踏むようにカルミアの鋭い一撃をよける。
「お前に恨みあるから」
「愛があるって?照れるなぁ」
攻撃の速さが変わる。
空はクリスをジト目でにらんだ。
「どういうことだよ」
「お前らが先に結晶を見つけ出せばいいんだよ」
空はバッと結界魔法を張るが弾き飛ばされ壁にぶつかり、血を吐く。
「俺らがお前らをヤッチャウ前に」
にやにやとリンは笑いながら腕を鳴らした。
クリスは魔法呪文も唱えずに指を鳴らし、リンの上に激しい稲妻を躊躇なく落とした揚句、氷の十字架を降り注いだ。
いや、串づけはちょいやりすぎなのでは・・・・?
「クリスタル探しGO!あ、ちなみにリンらは私らを殺しに来るから」
「だからなんでだよ」
口元に流れ出た血をぬぐいながら叫ぶ空。
「お遊び」
「過激なお遊びだなぁ!!!!」
クリスの娘たちはそれぞれ思い思いの場所へと移動した。
クリスたちの思い付きは、被害しか出さないことをしっている村人は、すでに避難して誰も家から出ないのであった。
ちなみにほかの巫女たちは真面目に公務中。
公務していないラゴウは
「たのしそうやなぁ」
と、ニートニートしていた。