異
人間界でカルミアとラブはグルメツアーを決行していた。
「はぁ、温泉っていいわよね~クリス村にもあるけど、人間界ってのも悪くないわね」
「ぶっちゃけ、新しい場所ならなんでもいいっていうね」
ラブはソフトクリームをなめながらカルミアの言葉を返す。
「そういえばカルミアさ」
「ん?」
「ワインの神の称号手に入れたんだっけ?なんで」
「お酒でワインばっかのんでたらいつの間にか」
最高位の母を持つ割にはしょぼい称号だ。
マリーに比べたら上等だが
「ね、かるみん」
「ん?」
そこらへんでやっていたたい焼きを買って口へ頬張るカルミアをみながらラブは微笑んだ
「クリスとリンって本気で戦ったらどっちが勝つかな」
「そりゃクリスじゃないの?知力も力も備わってるクリスのほうが上手だもの」
「純粋な力だけで言ったらリンでしょ?」
「力だけで勝てないでしょ、なにがいいたいの」
いっぴきのたい焼きを食べ終えカルミアは二個目に手を伸ばす。
「見てみたいと思うのは普通じゃない?」
「・・何考えてるの」
カルミアは変なものを見るような目を向けた。
「けしかける気?」
「何を?」
ラブはひょうひょうとこたえた。
「知識の女神でもあるクリスを出し抜き、二人を戦わせることなんて不可能だって」
不謹慎な発言をするのは今に始まったことではない。カルミアは自動販売機にお金を入れて熱い紅茶を買って飲む。
「ラブ」
カルミアが最後までいう前にラブはカルミアの口を指で押さえた。
「わかってる。『まだ早い』・・でしょ?ククク」
「・・時の女神の称号ではごまかせれないわよ。あと、私たちが思っているいるより世の中自由にできているわけじゃないわ」
「でも見張られているわけじゃない。監視を潜り抜けることは針に糸を通すより容易い」
ラブは時の女神のみが持つことが許される錫杖をとりだし、音を鳴らしその姿を消した。カルミアは飲みきった缶を地面にころがし、足で押しつぶした。
「リンは、クリスを裏切ることはないわ。その理由わかるでしょ?」
姿が揺らいで薄くなる。
「リンが弱いからよ」
完全に消えるころには誰もいなくなっていた。