下
「もしかして、こいつどうにかしないとずっとこのままなのかしら」
クリスは檻の中でつぶやいた。
オーディウスは恍惚とした表情でクリスをうっとりとした目で見つめていた。
その目を潰してやりたい。
こいつと心中だなんて、死んでも御免だわ。というか死ぬなら一人で逝け!
天使らしからぬことを考えながらクリスはオーディウスをどうするか策を練り始める。まずは、状況確認をしよう。
オーディウスによって夢の中にムマとスリープに引きずり込まれ、今度は夢主であるオーディウス自身により夢の中に縛られる結果となった。理由は現実ではクリス(つまり私)と一緒になれないことへの欲求不満による現実逃避。
(はっきり断ったって無駄か……そもそも断ったからこうなったもんね~一緒になる気ないけど)
「オーディン」
手をヒラヒラさせて意識を確認するが
(いっちゃてるわー)
クリスはイライラしてきた。
(いざとなったら、夢主ごと破壊しよう)
本気を出せばオーディウスごとき、夢であろうとどうってことない……はず
(まずはここから出ないとなー)
夢主を起こしたくても(武力行使)触れることすらできないのだ。
(馬鹿な男ねオーディウス。あなた自身が私に触れることを拒んでいる……)
純粋故に敬愛過ぎたか……クリスは胸を掴んだ。
夢主オーディウスの願いは、死んでも一緒にいたい。
その呪いがクリスの身体を蝕む。
(自分だって苦しいはずなのに笑いやがって……マゾか)
どうにか身体を自由に……せめてオーディウスの目をそらしたい。
「オーディン」
クリスは微笑んで彼の方へ手を伸ばした。
「あなたに触れたいの。さぁ」
彼の目は大きく見開き、手を伸ばした。クリスを閉じ込めていた空間が割れた。
(よっしゃ!!)
クリスは懐から夢と幻を司る二人から貰ったチケットを取り出した。
「招待するわ!おいでませ!リン」
名を呼ばれたリンが登場した。何故か片手にはカップラーメンが
「ん」
驚いた様子でも分かっている風でもない、言うなれば……いつものトラブルかっていう反応。当たっているだけに腹立つ。
「リン」
クリスは素早く命令した
「そこにいる男捕まえて」
「おう」
呆気にとられているオーディウスをカップラーメンもったまま羽交い締めにするリン
クリスはつかつかとオーディウスの所まで行くと拳を握って力いっぱい殴った。
そのついでにリンのカップラーメンも落ちたけど、自分のじゃないので全く気にしない
「馬鹿者!!私が欲しいなら私に見合う、神界1の男になりなさい!!」
「っ」
ハッとしたオーディウスの顔を見たと思ったら、世界が歪んだ。
「目を覚ましたら、自分を磨きなさい。オーディン期待してるから」
その言葉を最後に夢から意識が戻るような重い感覚に陥った。
「おそようクリスさん」
ヴァニラが皮肉気にそういった後、花束をおいた。
「取り忘れですよ。いい加減身をかためてはいかが?面倒事に巻き込まれますよ」
そう言い去っていった。クリスは花束を見ながら呟いた。
「どうせくれるならもっと使えるものをちょうだいよ」
心や花は、すぐ移ろい変わりやすい。私は変わらないものが欲しい。
「流れる時の中を、変わらないでいることが難しく、愛しいのよオーディン」
神だからこそ分かって
分からないなら、その程度よ