下
「はぁはぁ」
空は数分で全員を倒した。
溜息つきながら尻尾を巻いて逃げていく敵を見送り、リンを起こすために振り返ると。
「むしゃむしゃ」
ビール片手にイカ焼き食って横になってるオッサン(リン)がいた。
「・・・・・・・」
にかっと笑った。
「お前まだまだだなぁ、あんぐらいで息切れかぁ」
「いつから起きてたんだよ」
「寝てねぇし」
いや寝てたろ。
「じゃあお前が来てから」
「最初から起きてたのかよ!!」
「いってんじゃん」
なにこいつ、じゃあワザと寝たふりしたのか
「お前、おれを試したな!」
「試してねぇし、勝手に戦ったんじゃん」
「んな」
リンは起き上がると、指を鳴らし宴会セットを消した。
「クリス村では自己能力三分の一まで下がるからあの程度でてこずってたらお前、外出てもやられるぞ?へへへへ。つっても向こうの能力も下がってたけど」
「何が嬉しいんだよ!」
「お前、俺が襲われてると思って助けたろう、あっめーなぁ」
「イラ」
空はこぉぉぉっと怒りの炎を燃やし、リンに向かって襲い掛かった。
「もうゆるさねぇ!ぼこっぼこにしてやる」
「なんで怒るんだよ!?」
リンはバック転で攻撃を避けると、先ほどまでリンの居たところには大きなクレーターができていた。
「ほほほほ!」
「笑ってんのか感心してるのかどっちかにしろよ!!」
リンは大きく飛躍する、そのまま地面に着地すると煙のように姿を消した。
(気配が無い、村か)
空も急いでリンを追いかける、このままでは気がすまない。
「クリス」
「あら、空」
洗濯物を干していたクリスに話しかける、事情を話すとクリスは困ったものを見るように笑った。
「そんなことで一々怒ってたら、身が持たないわよ?特にリン辺りには」
「シビアだな」
「そのうち分かるわ、で、リンならそこで子どもらと遊んでるわよ」
子供かよ!
気配を消してリンに近づくと、会話が聞こえてきた。
「ねーリンって強いんだよね」
「おう、強いぞ」
「うっそだーいっつもクリスにやられてるじゃん」
「ソレとこれとは別なんだよ」
リンが唯一頭が上がらない存在は彼女だけだ、空は二人の関係性を良くは知らないが深い絆で無図ばれているような気がする、血が繋がってないにしろ、少なくとも家族である我々よりも繋がっていた。
「じゃあさ、リンちゃん自信はどのくらい強いの?」
「ノミを指二本でつぶせちゃうぜ」
「ちいっさ!!お前の強さちっさいな!!」
「おぉ、空か」
つい突っ込んでしまった。空はこうなったらと先手必勝で先に動いた。
地面が割れる。
りんは子供たちを魔法で移動させて、自分は上空に逃げていた。早い。空はにやりと笑い気弾を放った。それはひとつとしてあたらなかったが、りんの動きを止めるのには十分であった。
「もらった!」
こぶしを握り、りんの顔面を狙った。が
「お前って素直だな」
「!」
リンは背後におり、さっきまで狙っていたリンは人形だった。
「お前じゃ俺倒せないよ」
紫色の色を帯びた雷がリンの手の中でうなった。
「しまっ」
---これ食らったらさすがにやばい!
覚悟を決めて目を閉じると、リンがぶっ飛んだ。
「!?」
驚いた空の目の前を鉄龍がリンよりも遅くおちていった
「もう、リン」
それを投げたのだろう人物が微笑んだ。
「それはやりすぎでしょ?」
「はい」
一番強いのは、やはりクリスらしい