下
「アメリアス、これ洗っといて」
カルミアはたまった洗濯物をアルメリアに投げつけた。アルメリアは小さく溜息をついてカルミアを睨みつけるように言った。
「私アルメリアなんだけど」
「どっちでもいいわ、やっときなさい」
カルミアはラブとさっさと遊びに行ってしまった。
アルメリアは怒りマークを一瞬出したが、リンの家は平等ではないし、リンが家事をするわけもない。力がすべての家にどうしようもない怒りを覚えた。
リンの子の中で今一番強いのはカルミアなので誰も彼女に逆らえない。
アルメリアも次に強いのにこき使われているのは、他の女がかなり家事全般できない使えないという理由だけだった。
「あー、アメリアス~ちょうどよかったわぁ、ワイの部屋片しとってくれん?」
千鳥はリンの親友ラゴウと仲が良く、よくわけのわからない機械作ってはラゴウと遊んでいた。今日も遊びに行くらしい、力的には弱い千鳥だが、彼女の作る兵器には勝てないのでアルメリアはうなづいた。
洗濯を終わらせて千鳥の部屋に行くと、天井まで届いた機械の材料が一杯積んであった。
「・・・・どれをどうかたづけろって?」
怒りマークが増える。
「はぁ」
しばらく頑張ったが、諦めた。
家を出ると、うざい姉マリーがやってきてこう言ってきた。
「アメリアス!私の服知らない?」
「知らない・・あとアルメリアだから」
「そんなことより、ミニスカートワンピースよ!?本当に知らないの?」
「知らない」
「なんで知らないのよ」
「いや、知らないから」
わけの分からない怒りを押し付けられ、アルメリアは怒りを抑えるのに拳を握り締めた。マリーを片手で消し去れる自信はあるが、腐っても姉妹。
リンは何故か兄弟の殺し合いを激しく嫌っていた。
自分も兄弟に命を狙われたから・・?
「じゃあ探しておくから・・それでいいでしょう?」
「最初からそういいなさいよ!」
マリーの傲慢な態度にイラつく。
リンはマリーの傲慢で我侭で不遜な態度については何も言わない。悪魔らしいといえば悪魔らしい性格をしているが、力社会の魔界でそれはどうかと思う。
あの博愛であるクリスですらイラつかせ、一度消されそうになった・・てか消えた。
でもリンが息がえらせた。
『クリスを怒らせるなよ?』
そういって頭を撫でたらしい。
「・・・・・・」
イライラがズキズキと痛みに変わった。頭が痛い。口元がひきつるのが分かる。ドロドロとしたねっとりとしたどす黒い何かがたまっていくのが分かる。
「アルメリア」
名雪がそっと声をかけてきた。
「気が・・禍々しい。どした?」
「・・・・なんでもないわ」
心配そうな名雪に心配かけまいと微笑んだ後、嫌々マリーの服を探しに家に戻り、彼女の部屋を空けた。・・分かっちゃいたけど散らかっていて、無駄に大量の服が錯乱していてどこになにがあるのか分からない。
「探さなくていいや」
扉を勢い良く閉めながらアルメリアはリビングに移動した。
「っ」
ずきずきと痛む頭を押さえながらアルメリアが溜息をつく、キッチンに立つと青い髪の毛をなびかせ、すらっと長身の女が横に立った。
「アルメリア様。ご病気ですか?」
「・・バード」
リンの使い魔。使役する使い魔のレベルをみれば使い手の器も知れるものだ。私も他の姉妹に負けたくなくてドラゴンを使い魔に契約したが
『無駄に強そうな使い魔を使役してたら、契約者のほうが弱いと思われて攻撃されるわよ?』
と、カルミアに鼻で笑われた。
「少し頭が痛いだけよ」
水を飲みながらそういうと、バードは微笑んでそっと頭痛薬をくれた。
「そういえば、この後クリス様のお家でお茶会するそうですわ。皆さんきっと集まってますよ」
「おい、バード、そろそろ行くぞ」
「はい、リン様」
「ん?アメリアスどした」
「アルメリア」
ずきずきと頭が痛み、不機嫌になる。
「へぇ?」
リンはふっと笑った。
「・・・・・・・・・・っ!」
ぶちっつ!!
怒りが頂点に達した。
「きゃ!?」
バードがリンの影に戻った。
アルメリアの体が紫色のドス黒い靄に包まれた。クリス村全体が闇黒に染まっていった。
「クリス!コレ何事?!」
驚いたクリスチルドレンがクリスに問いかけた。クリスは特にあわてずにあっさりと言ってのける。
「アルメリアの力覚醒ね」
「力?」
「そう、アルメリアの力・・それは」
突如カルミが血を吐いて倒れた。
「な、にこれ・・」
血で濡れた手を見ながら呟くカルミアのすぐ後に、目や鼻や口から血を吐いてマリーは倒れた。
「うぅ、なんやコレ・・い、いたい!痛い!」
千鳥は頭を押さえて呻く。眼球が飛びそうなぐらい大きく膨れ上がっていた。
「『呪い』よ」
クリスは欠伸をしながら言い、指を鳴らした。
リンの家にいたアルメリアとリンが外に出現した。ごごごごと紫色の炎に燃えるアルメリアに臆することなく笑ってみているリン。
「なんで・・私がこんな目に」
地に響くような声。
「なんで、こいつらに」
憎くて堪らないというような憎悪
「なんで、お前はっ」
『呪い』が大蛇と姿を変え、威嚇した。村人はソレを見て大慌てで逃げ去った。呪いの邪気に当てられ何人かが体調を崩し倒れた。
「う」
天使であるクリスチルドレンも例外ではない。
「かるみーん、何怒らせたわけ?」
「あんたは平気そうねラブ・・」
「出来が違うからね」
蛇がゆれた。
「苦しめ!!」
アルメリアの蛇がリンに襲い掛かった。
「は?」
ぱぁん!
「!」
蛇が一瞬で消された。
「舐めんなよお前、俺を誰だと思ってんだ?」
「っ」
全身の力を使いきったらしいアルメリアはその場に倒れこんだ。リンはゆっくりとアルメリアに近づいた。
裏切りは大罪。それがどの種族であろうと同じ、報復には『死』を
「お前には・・死んでもらう」
リンの手が伸びた。
「っ!」
きゅっと閉じたアルメリアの頭の上に、暖かい感触が乗った。
「・・・・?」
目を開けると、優しく微笑んだリンが居た。
「なんてな」
にかっと笑うと指を鳴らし、傷ついた姉妹達が復活する。
「さ、パーティね」
クリスが指を鳴らすと机の上のお菓子が増え、可愛らしい飾りも増えた。
「何これ」
「祝い」
「なんの?」
リンはアルメリアを持ち上げ笑った。
「アメリアスの『呪いの神』の称号授与祝い」
「・・・・アルメリア・・もう、いいわ」
そういって、皆で笑った。
いつか呪い殺す。