上
「りんー!」
クリス村の山のふもとでお昼寝をしていたリンに気がつくことなく誰かが踏んでいった。
「みごとに踏んだのに気がついてないわね、あの女」
「あー、マリーおったで?」
「え?どこよ」
マリーはもう一度戻ってくると、ワザとじゃないかって言うぐらいピンポイントに踏みつけた。
しかし気がついていないらしい。
「リンー?ちょっとカルミア!千鳥!リンいないじゃない」
腰に手を当て、紅い髪の毛を揺らして怒るマリーに、ずれたメガネを直しながら千鳥は溜息をつき、指を下に向けた。
「?」
マリーはそこでやっとリンを見つけた。
「リン!みつけたわよ」
「・・・・見つけたのはカルミア。マリーは何もしてないわ」
「お黙りアメリアス!!」
「アマメリア・・はぁ」
リンは頭を押さえながら起き上がった。
「お前等やる気ねーだろ」
「寝ていたリンに言われたくはないわね」
カルミアのコメントにリンはぽりぽりと頭をかいた。
「マリーは馬鹿正直に探すし、千鳥は変な機械作って自分で探さないし、カルミアは分かってて探さないし、アメリアスは」
「名前」
いまだ間違えられるアマメリア・・。リンは溜息をつくと指を鳴らし、キメラを召喚した。
「よし、じゃあ次はお前等が逃げろな」
指を娘達に向けて鳴らし、リンは噛殺される前に逃亡した。
「え」
ぐるるると威嚇すると、キメラは闇黒の翼を羽ばたかせ飛び掛った。
「ぎゃああああああああ!?」
リンは断末魔を聞きながらクリスの家に入った。リンの家とは違ってクリスは一人お茶を飲んでまったりしていた。
「お?修行は?」
「精神修行中よ、マシロの空間で自分と戦ってるはず・・サボってなきゃね」
「マシロの空間は無の魔女の統べる世界だろう?あの魔女は無駄に強いから、あいつらじゃまだ無理だろう」
「そう思う?」
クリスはリンにお菓子を渡しながら微笑んだ。
「違うのか?」
クッキーを手にしたその手をクリスは遠慮なくこぶしを落とした。
「いったぁあああああああああ!?」
「違うみたいだな」
リンはクッキーを口に頬張りながらうなづいた。
「修行さぼってんじゃねぇぞ?ラブ」
クリスの笑顔でドスの聞いた声にラブはえへへと可愛らしく笑った。
「あらーさすが私の娘、可愛い笑みね~覚悟できてんだろうな」
両手からコォォォと音のする光を発光させる。
「げぇ!?ごっめんなさーい、今すぐ戻りまーす」
ラブは何も無い空間に穴をあけると、その中に飛び込んでいった。
「あいつ、いまんところ一番強いかもな」
「魔法力で言えばね、あんたんとこみたいに力で言うなら空のが一番強いわ、知恵ならヒカリ・・それから」
「いいよもう、なんか凹むだろう?俺の子が」
ぼろぼろになったリンのファミリーが武器を片手にリンに威嚇した。
「リーン、お前~!!!」
「再生と回復なら群を抜いているぞお前等」
「「「知るか!!」」」
クリスは外に逃げていったリンを見送りながら、お茶を飲んだ。
「ヘタな鉄砲数うちゃあたるって、嘘ね」