中
「まったくもう、タマゴを茹でたり、咥えたり、転がしたり・・信じられません」
ヴァニラに注意されて、クリスとリンは口を尖らせていた。
「交換条件はあなた方の代わりになる子を育てることですよ?そんなことでいいとおもってるんですか」
「はいヴァニラ先生」
「はい、クリスさん」
クリスは挙げていた手を下ろすと、意気揚々と言った。
「私達以上の神なんて生まれるはずが無いと思いマース」
「てか子育て無理」
「リンさん!発言は手を挙げてから!!」
かかと落としされてリンは地面に埋まった。
「というかお二人ともが承諾されたことですよ?今更イヤも無理も糞もないんです・・あらやだ糞だなんて・・こほん」
ヴァニラはさっと腰から本を取り出し、タマゴを二人にそれぞれ持たせた。
「いいですか?まず生まれてくる子どもを想像しながらタマゴをなで、名前を呼んでください」
「そんなんでいいのか?」
「と、マニュアル本には書いていますわ」
「なにそのほん」
「子どもの育て方、別ヴァンですよ」
胡散臭いという主張を威嚇で流したヴァニラ。
二人はタマゴを撫でる。
「・・・・名前どうしようっかなー・・」
リンは周りを見渡す。
どうでもいいなーどーでも・・あーどうしよっかねー
「適当に決めたらシバきますよ」
ヴァニラに先に釘を打たれた。
「分かったよ、あーんじゃマリー・ゴールドで、いいや」
クリスの持ってきた花を目に入れて決める。っつーか『で、いいや』っていってる時点で適当って?気にしちゃ駄目だぜ
なでなでなで
パキ・・
タマゴから黒い羽の子どもが生まれた。
(悪魔が育てるから魔族か)
クリスはソレをみて、ふむっと唸った。
「その魔力量じゃ、話にならないわよリン」
赤ん坊から感じられる魔力量は大天使ぐらい。つまり神以下
「私は補足で魔力でも注ぎながらやってみましょう・・生まれ出でよ!ヒカリ!!!」
「クリスさん!使い魔じゃないんですから」
パキ
生まれた子は綺麗な典型的な天使の容姿をしていた。
「まぁまぁね」
クリスは赤ん坊を抱きかかえながらそういった。
「・・・・・で?どうすればいいんだ?」
泣き出した赤ん坊の口を塞ぎながらリンは爽やかに言った。
「とりあえず、手をお放しなさい」
「やだ、五月蝿いだろ」
リンは子育て云々の前に赤ん坊というものを教える必要があった。