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クリス村 休止中~  作者: 綴何
天界の章
6/105

「ん?」

 それは、突然の出来事であった。

 どだだだだだだ!!!ずざぁぁぁ……(滑り込み)

「リーン!!」

 バン!

 部屋でお昼寝しているとクリスが勢い良く扉を蹴破った。

「ふんが!?」

 よだれと寝癖をつけたリンが飛び起きた。

「リン、アンタなんか魔法使った?」

 勢い良く来た割にはクリスは冷静にリンを正座させて聞いた。

「魔法?」

 ちなみに学校をまともに行かないリンは魔力を練るのもへたくそなので呪文魔法など、小さい精霊が簡単にやってのけることができることもできないのである。

 腕っ節だけ強くなっている。

「しらねー」

「そう」

 リンは嘘をつかない(馬鹿だから)、だとすると

「あの男は『なん』だったのかしら」

「は?男?」

 そう、いま巷で騒がれているのは男のリンが現れたと言うことだ。

「リンちゃんが男になったのかと思ったわ」

「なんで?」

「だって、今のままでもじゅーぶん男の子っぽいじゃない!」

「いいきったな」

「それに」

 クリスはリンの部屋から出る。

「神様ってそもそも性別無いじゃない」

 だから男にも女にもなれる。でもたいていの神様は豊穣の意味をこめて女の神が多い……。

「はぁー男ねぇ」

 叩き起こされたリンは伸ばすだけ伸ばしたぼさぼさの髪を梳く櫛をさがしながら考える。櫛ではなく鏡を見つける。

「……俺の?」

 『今のままでもじゅーぶん男の子っぽいじゃない!』

「……男……?俺が、女、男……ふぅーん」

 どうでもよくなったリンは櫛を見つけて長い紫色の髪を梳く。

「ま、いいっか」

 彼女は悩まない。めんどくさいから

 そしてリンが外に出たとたん、ある男と眼が合った。

「え」

「な!」

 こっちより、向こうのほうが驚いている。

 いやぁ、驚いたな……

「本当に俺そっくり」

「も、もう一人の……ボク?」

 しかし、そっくりさんはリンより気が弱そうであった。

(もっと早くリンちゃんに会ってたら双子みたいだったのにね)

 なんてのん気に考えるクリス。

 そして、二人を見比べて一瞬で分かった。

「リンちゃん、その男……リウさんって言ってね。コレは推測だけどその人」

 リウって言う男も首をかしげた。


「リンちゃんの一部ね」

 ん?一部?誰の?

 リンはなよなよした男、リウを見てスっと指を立てた。

「?」

 ばっちーん!!

「!!!」

 強力なデコピンを男に喰らわせた。

 びゅーん!飛んでいった・・。

 理由はない、ただなんとなく軽く攻撃しただけだ。思ったよりも相手はかなり弱かった。

「?」

 リンは不思議そうに首をかしげた。

「で?アレ誰なんだ?」

 結論に戻る。精霊の一人が大神様を連れてきた。その場に居たクリス&リン以外はひざまずいた。大神様はぶっ飛んで涙目になっているリウをみてリンを見た。リンは目があったついでに聞いた。

「あれは俺なのか?」

「えぇ、正しくはあれはリンの魔力の一部」

「俺の?」

 神様は時に己の一部を産み落とすらしい。そして産み落とされたそれは自我を持ち新たな生き物として生きることがあるらしい。

 が、しかし

 ごくたまにリウのように一部が自分でオリジナルのところに戻ってくる場合がある。

「へー、で俺はどうしたらいいんだ?」

「アナタ次第ですよ」

 生かすも殺すもオリジナル次第リウはよろよろしながら手を振った。

「ボクは、その……あの、なんとなくこの地に来てしまっただけで、そんなオリジナルに何かしようとか考えてません」

「だから?」

「つまり、殺さないでって事だってさ」

 クリスの補足にうんうんと首を縦にふり肯定を全力で示すリウ。それを見てリンはうーんと悩んだ挙句


「やだ」


 手のひらをかざしリウにかかる重力を自分のほうにコントロールし、傍に寄せた。

「な、なにを!?」

「回収」


 ぱっしゅん!空気の裂ける音とリウの悲鳴にならないような声が一瞬だけ聞こえた。

「……ひ」

 妖精たちが恐怖で小さくなり、逃げ出した。

「外道だ~~!!」

 他の天使たちも罵りながらリンと距離をおいた。

「……」


 リンは自分の手のひらを眺めた後、口元をゆがめた。

 か!!

 黒い光がリンの手から放たれ、山一つ消し去った。

「!」

 大神が目を見開いた。

(信じられん、聖山を一個丸まる消し去るとは)

「っもーリンちゃんの馬鹿!あの山ではいい山菜が取れるんだから、消さないで」

「いで」

 ぽこっとクリスはリンの頭を殴った後指をパチンっと鳴らした。

 ふっ!

 さっきまで無かった山が全くの元どうりになった。

「!!??」

 大神は目を瞠った。

 もっと驚いた。

「……ほっほっほ!」


 そして笑った。

 これはこれは、いやはや困った困った。

「二人とも、ウぬらは私達が思うよりも、強く育ちすぎたようじゃの」

 クリスとリンは同時にクエスチョンマークを頭に浮かべ同時に小首をかしげた。 「上に、上がってもらうかの」

 また、あがるらしい。

 二人はうんざりした顔を見せたが、黙って頷いた。次は安定するといいな・・。

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