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クリス村 休止中~  作者: 綴何
戯れの章
55/105


 僅かに残っているクリスの気を辿って、リンは捕まっているらしい女神達のもとに行く。

 場所は下級天使が住む、貧乏街の一画であった。

「はぁー」

 警戒する下級天使らにうんざりしながらリンは頭をかいた。

「・・なぁ、お前」

 リンは一瞬で移動すると、下級天使の一人の首根っこを掴んだ。

「ひぃ!」

「・・・・すんごいびっじーんなおねーさんら知らない?」

「し、知ってる」

「案内してくれる?」

「知らない」

 どっちだよ

「・・・・ふーん」

 拳をならす。

 天使は怯えた瞳を見せて両手をフッタ。

「あ、知ってます!思い出しました思い出しました!案内させてください!」

「最初っからそう言えって」

 トコトコ早足で移動する天使の後を追って移動する。

(1・・2・・3,4・・5)

 下級天使街の住処にしては、聖結界が多いな・・術式、具式・・保存用

(少量の魔力で発動するが、その効果も薄い、ケド時間式にしておけば、向こうは体力も魔力も減らない、敵は体力を削られていくけどな・・)

 なかなかせこい戦い方をするやつだな。

 ますます確信した。

「ここか?」

「はい・・それじゃあここいらで」

 こそこそこそっとすごい早いスピードで逃げていった。

「早っ」

 まぁ雑魚には興味ないけどね!

 歩いていく。中々いいお家にお住みですこと

「おい、クリスいつまで遊んでるんだ!」

 声をかけてとある扉を一つ開けた。

「!!!!!!!!!!」

 な・・

「なにやってんだお前!!!!」

 女神を傍に侍らせて、まるでハーレム王の如く振舞う男が一人・・。

 絹の如くさらりとした金髪、深い黄金色の瞳・・クリスに似ている、がクリスではない。

「よぅ、遅かったな!」

 きらりと白い歯を見せ笑った。

「クリスはどこだ?」

 ルミルカいるのに、クリスがいないじゃないか、ヴァニラがいないのは新婚旅行中だから知ってるけどよ

「簡単な話、約束したんだよ」

 男は立ち上がり。剣をとった。

「お前と一騎打ちさせてくれってな、もし俺が負けたら俺はクリスに大人しく吸収される」

「・・やっぱりな、お前本体から離れた力の一部だな」

「そうだ」

 クリスの力から生まれた固体・・ぶっちゃけ戦うのヤだな。絶対セコイ戦いしてくるに違いない。

「で、それとこれと・・ハーレムと何関係あるんだ?」

「これは俺の趣味」

 なんで力の一部って本体とは全く違う性格になるんだろうな。

「さ、勝負だ」

 剣を構えられる。

「・・・・って、おい!それ『絶対勝利ビクトリアン』の剣じゃねぇか!つかってんじゃねぇよ!!」

 本当せこいな!

「使いこなせるのも、実力さ」

 確かに

 なんとなし上を見ると、クリスがにやにやと笑っていた。

 天使って平和を象徴としてるってわけじゃないよな本当!それで悪魔よりスかれてるって、なんかセコイよな!!

「かかってこいよ、終わらせるから」

 リンも剣を構えると、男は笑った。

「宣言魔法発動!『俺下級騎士天使グリフは、悪魔神リンと正々堂々一騎打ちすることを宣言する』」

「あ、てめ」

 天界の文字で『受理』が浮かんだ。

 これでお互い。魔法は使えない、身体のみの戦いだ

「・・ふふ。アイツの敵だ!!」

「・・・・・・・・・」

 

 ○○○


「おっまえ、下級だけあって弱いな」

 魔力封印したところで、差がありすぎましたって話。

 魅惑の魔法でもかけられていたであろう女神が意識覚醒させる。

「え?なんでココにいるんや?」

「?」

 リンは清々しく負けを認めているグリフの首元に剣を突きつけたまま、クリスのほうを見た。

「吸収するなら、さっさとしろよ・・てか俺の召使返せ」

 クリスは微笑みながらリンに蹴りをいれた。

「げふ」

 地にひれ伏していると、クリスは可愛らしくリンの頭をつついた。

「リン、来るの遅くない?ねぇ?私だってたまには攫われてみたいの、美の女神だもん、ねぇ」

「なんで俺怒られてるの?理不尽だわ」

 クリスはリンの頭を撫でながら、グリフを見た。

「ふ、俺はとっくの昔に覚悟できてたさ」

「待って」

 ルミがグリフの前に立った。

「あの・・待ってクリス」

「何?ルミ」

「なんだ、俺に惚れたのか?」

「あ、あんたはだまってなさいよ!」

 顔を蹴られて倒れた。

「待ってほしいの、せっかく別の人として産まれたんだし、それにあの・・」

「吸収しないでってことね」

 ルミが頷く。

「いいわよ、生かしといてあげる」

「え?いいのか」

 顔を抑えながらグリフは言った。

「えぇ、約束であって契約ではないもの、契約は縛るものでも、約束は破るものよ」

「そっか」

 グリフが嬉しそうに笑った。

「なぁ」

 リンが地面に座り込んだままグリフを見た。

「あいつの仇ってあいつってだれだ?」

「アイツは、アイツさ・・お前が吸収したやつ・・俺のダチだったんだ」

「そうか・・」

 沈黙が流れる。

「なぁ」

 グリフが起き上がってリンに問うた。

「一つだけ聞かせてくれ」

「なんだ」

 



「アイツの名前ってなんだっけ?」

「知んね」


 

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