上
「どっかんどっかん穴掘れば~ざっくっざく埋もれていた宝石出てくるの~片手一つでどっかんどっかん・・ん?」
機嫌よく歌っていたリンが指を鳴らし、洞窟内でおいていたランプに明かりをともした。宝石が光に照らされ輝く。
「・・エースか?」
刃こぼれしたスコップを持ち上げリンは来た道を戻る。
「・・ふんふーんふーん」
沢山の鉱石とともに洞窟を出ると、体操座りで拗ねて地面にのののと書いているエースがいた。
「・・嫁と喧嘩でもしたのか?」
「リン!!」
エースは涙目でりんに抱きしめようとすると、リンは避ける。
「なんだよー、鼻水ふけよー」
指を鳴らし、クリス村に帰る。
出稼ぎも楽じゃないぜ
「・・おーい、バード!風呂ー後メシー」
スコップを庭に投げ飛ばし、頭にしていたバンダナをのけると違和感に気がつく。
「・・リン!話聞いてくれよ!」
「リンの名の下に、我呼びかけに答えよ!出でよ・・バード!!!」
しーん
「なんだ、恥かしいな」
エースが呆気にとられている横をリンは歩き出す。
「はぁ、なんだよ・・クリスー」
「なぁ、リン」
エースがリンの腕を掴んだ。
「お前ならもう気がついてるんじゃないのか?・・クリス村の女が攫われてんだよ!全員」
「・・気がついてるけど」
「だったら・・って何処行くんだよ!」
「風呂」
エースは首をうな垂れた。
しばらくしてリンは風呂から出て、自分で料理作って飯作って食べて、寝て・・カーン!
朝になって・・客が来た。
「リンさん!どうにかしてくれよ!!」
村の男子が全員訴えに来た。
「・・・・ち」
リンは頭をかきながら外に出ると、群がられる。
「お願いだよ!俺の奥さんが!」
「心配で・・娘が!」
「クリスさんが見れないなんて俺生きていけないよ!!」
ぶち。
「うっるせぇええええええええええよ!」
リンはエースを殴った。
「何で俺・・」
「リンさんはクリスさんたちがいなくてもいいんですか!」
「はぁ、あほだな」
リンは頭かいた。
「この世で一番強い世界の影響力を持つ神々がなんで攫われているにも関わらずなんの影響がないでしょうか!はいぃ!!君答えて」
指差された男は「え?え?」と周りに助けを求める。
「自分の意思で向こうにいるってことだろうよ・・ほっときゃ飽きて帰ってくるだろ」
「でも、リンさん」
「ナンだよ」
男子が困った顔をした。
「一ヶ月も帰ってきてないんですけど」
リンが首を曲げた。
「・・俺、何日帰ってきてない?」
「等しく・・」
リンは頭を抱えた。
「・・・・・・まさか、いや・・そうか・・?」
リンはエースの頭を掴んだ。
「なぁ、エース」
「?」
「一番最後にいなくなったのクリスじゃないか?」
「そうだけど・・?何か分かったのか?」
「ふ」
リンは目を閉じると、漆黒の翼を広げた。
「迎えに行くか」
男らしいリンにときめく男ども・・。
「じゃ」
でも連れて行ってもらえないのであった。