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クリス村 休止中~  作者: 綴何
お試しの章
53/105

 リコリスは、頬に温かい風を感じ・・そっと目を開けた。

「・・・・えぇえええええええええええええ!!!??」

 瞳に映った景色は絶景であった。

 空に浮かんだ浮島がそこらかしこと漂い、ほぼの確率で衝突しあって崩れ大地に落ちていった。

「な、なな・・きゃあ!?」

 どぉぉぉん!!

 リコリスのいた島にも他の島とぶつかり合って崩れ落ちる。

「きゃああああああ!」

「回収」

 クリスの声が聞こえ、強く閉じていた目を開くと、美しい顔でANGELが微笑んでいた。

空中を浮いていた。

「クリス!」

 クリスが手を離したのを驚き必至に掴もうとしたが、地面が無いはずなのに足が床につく感覚があった。クリスの手を借りずとも歩くこともできる。

「私の魔法で空中でも行動可能よ、ただし、下に降りれるけど上がれないからね」

「ココは何なの!?」

「天界危険区域初級・・≪再会の浮島≫」

「さ・・再会の浮島?」

「・・人界で死んだ天属が天に還りたいという想いだけで産まれた異空間・・地を恨みながら再び沈む・・ぶっちゃけ私にもココの存在意義が分からないのよね~」

 上から何かが落ちてきた。

「うわっ!」

「マキャベリ!?」

「くっそう、リンなにするんだよ!」

「何事も、シチューションが大事だろ?パートナーがいないとはじまんねって」

 リコリスとマキャベリは顔を見合わせた。

「・・・・そうね」

「・・・・確かに」

 ココまで正確につくりだせるなんて、亜空間って凄いわ

「クリス・・」

 リコリスは目を閉じた。

「どうして、いきなり場所が入れ替わっていま崖のふちにいるの?」

「コレが本当の崖っぷち」

 リンのつまらない洒落を無視してクリスはしれっといった。

「本当に天界が危ないってとこがあるってのを、教えてあげようかなって」

 しかも寒いと思ったら周りが極寒の地に変わっていた。

「天界危険区域中級・・≪極寒の原曲≫」

「原曲・・?」

「ここね、スケートリンクの容量で滑ると美しいオーケストラの曲が流れるの」

 リンが楽しそうに滑ると美しい曲がどこからもなく奏でられ、うっとりする・・。

「ただし」

 パキパキパキパキ・・

「曲が奏で終わる頃には極寒の地が暴れるのよね」

 シャキン!!

「きゃあああああああああああああ!!!」

 氷の山が鋭く生えた。

 リンがお約束のように凍った。

「きゃ!」

 リコリスが凍りに足を滑らせると、マキャベリが手を引いて走り出した。

「あ、ありがとう」

 お礼を言うと微笑んだ。

「じゃあ、次ね」

 クリスが指を鳴らす。

「危険区域上級・・≪闇の度胸ためし≫」

「・・・度胸試し」

 あれ?あたしって・・なにやってんだっけ?

「って、えぇええええええええええクリスどこ!?」

 暗闇で何も見えない、一切の光を遮断している。

 ずしんと心にくるほど重い闇・・息が荒くなっていくのが分かる。このままでは気がおかしくなりそうだった・・

「だ、誰か・・だれか!」

「・・!、リコリスか?」

 マキャベリの声がするのと同時に、温かいものが手を触れた。

「・・手・・」

 握られている感覚がある・・マキャベリの手だわ・・

「マキャベリ・・怖い」

「大丈夫、僕がいる、傍にいるから」

 ほっとするのが分かった。

「・・私、私ね・・マキャベリ・・クリス村から、出たくないの・・怖いって言うのもあるけど・・」

 服をぎゅっと握る。

「・・クリス村がダイスキなの、出たく・・ないの!」

「リコリス」

「アナタのことは好きだけど・・ゴメンナサイ」

「いやいいんだ・・でも、リコリス」

「?」

 握っている手は右にあるはずなのに、声が目の前から聞こえる。

「でも、僕のことは待っていてほしい・・君の事好きだけど、世界にもっと目を向けたいんだ!!」

 リコリスは暗闇の中で微笑んだ。  

「待ってるわ!」

「ありがとう」

 闇がぶわっと消え去った。

 目の前ははマキャベリが同じように微笑んでいた。

「愛してる」

「やっほー」

 暗闇で見えなかった周りの風景は美しい自然に囲まれていた。声のするほうを見るとニマニマ顔のクリスが笑顔で木の上にいた。

「どう、楽しかったでしょう?二人とも」

「・・え?」

「お前達、結局両方本物で、今まで行った場所も本物だったんだよ」

 リンが大きなグルグル飴を舐めながら笑う。

「あ」

 リコリスが思い出したように声をあげた。

「そういえば、手は」

 暗闇で支えてくれた、手・・

「てぇええええええええええええ!?」

 リアル肌ざわりのマネキン(手首まで)だった。

「ココは深層心理に深く入り込む闇、心の底に隠しておいた感情を剥き出す場所なの・・だから危険区域上級」

「マネキンは、クリスの守護道具ってわけだ」

「そうなんだ・・ありがとう、二人とも」

「いいってことよ」 

 クリスが木から降りる。

「じゃあ帰るとしますか」

「あ、まってクリス」

 リコリスが手を挙げた。

「・・・・・・・取れないんだけど、マネキン」

「・・・・・・・・・・・・・」

「ね」

 ねじゃなくて  

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