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クリス村 休止中~  作者: 綴何
お試しの章
52/105

「え?クリスって彼氏一人もいないの?」

 クリス村の子ども達も、もう立派な大人になっていた。あの昔の可愛げな子どもはもういない・・。

 村長宅の石垣にもたれながら井戸端会議をしていた。

「リリカは彼氏いるわけ?」

「いないわ」

「うそばっかり!あたし知ってるわよートーマに告白されてたじゃない」

「リコリス!」

「へぇ?トーマはいい子じゃない」

「イヤよ、あんなガキっぽい男!付き合うならネルみたいなのがいいわ」

 クリスは二人の話を聞きながらハリネズミの針を磨いていた。

 ・・勿論ただのハリネズミではない。

「はい、ハリロン綺麗になったよ」

「きゅう!」

 ハリロンは嬉しそうにトコトコと歩いていった。その上に何かが落ちた。

 ゴーン!!

「三時ね」

「うん、あっと、いっけない・・もう帰るわ!じゃねクリス、リコリス!」

「ばいばーい」

 ハリロンがぶつかったものに対して怒りを表していた。

「本当、硬い体してるよね・・リンちゃんのモモンガ」

「テツロンは名前のどうり、鉄でできてるようなものだからね」

 クリスはハリネズミとモモンガの目の前に、出来立てのクッキーを置いた。

「仲良くするならあげるけど?」

 二匹仲良く肩を組んだ。

「ふふ・・クリスのクッキーは強いわね」

「リコリスは?」

「?」

 クリスは庭においてある椅子に座った。

「本当は相談にのってほしいことがあるんでしょ?」

「・・さすがクリスね」

 リコリスは苦笑いを浮かべて、クリスに誘われ、同じくクリス宅の椅子に座った。

「・・私ね・・」

「クリスーちょっといいか?」

 どっかぁん!!!

「リンっちゃぁぁああ!?」

 クリスの魔法で撃沈したリンをリコリスは傍に駆け寄り心配する。

「空気読め」

「???」 

 体中についた焦げをはらいながらリンも椅子に座った。

「なんかあったの?」

「あ、あの・・私実はね」

 リコリスは頬を染めながらもじもじといった。

「マキャベリに告白・・っていうかプロポーズされたの」

「ほう」

「でも、彼天界の世界史を作るって・・それが夢で、クリス村を出るって言うの」

「そうなの?知らなかったわ」

「クリスそのことで俺来たんだったんだけど」

 リンは身構えながら言った。

「天界承認通行書がほしんだと」

「本格的に見て回る気なのね」

 リコリスは顔を下げた。

「そうなの・・私彼の邪魔はしたくないけど・・私にはクリス村を出る勇気はないの」

「まぁ、クリス村から出たら俺らの庇護下から離れるしなぁ」

「死亡フラグは高いしね」

 三人は黙った。

「・・私、マキャベリの帰りを待つ自信もないの」

「ついて行く自信も、待つ自信もないってか」

「そう」

 クリスは魔法でポットと紅茶を出して、お茶を入れ始めた。

「仕方ないわね」

「おぉ、何かいい案でもあるのか?」

 リンの言葉にクリスは「は?」といった。

「いい案も悪い案も・・一つしかないじゃない、すっぱり別れるしかないわ」

「!?」

「だって、どうしようもないじゃない」

「少しは考えてやれよ」

「え~」

 クリスは紅茶を飲んで、めんどくさそうな顔を露骨にして見せた。

「私は愛と豊穣と平和と美と知の女神だけどね~恋の女神じゃないの」

「いっぱい称号あるな!?・・っていうか平和は嘘だろ」

 パチン。

「いてででででで!?何!?姿の見えない何かに噛みつかれてる!?」

「やっぱり、駄目なのかな」

 しゅん、とリコリスはうな垂れた。

「・・・・・・」

 クリスはそんなリコリスを見て、溜息をついてみた。

「シュミレーションしてみる?」

「え?」

 指先をクルクル回すとブラックホールが生まれた。

「この先は亜空間に繋がっていて、何をするのも自由・・そこに私とリンの魔力を注ぎ、RPGゲームを作るの、そこでなら何が起きても大丈夫よ」

「うわ、めんどくさ・・いででで!!?」

「クリス・・ありがとう!!」

 リコリスはうるうるさせながらクリスに抱きついた。

 クリスはそのまま指を回し、移動した。

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