上
しんしんと静かに花びらのような雪が舞い落ちる。
氷の噴水の横に井戸端会議する女性人。
「ヴァニラ様のご結婚式・・楽しみですわ・・御題さえクリアできれば、私達もいけたのに・・」
「そうよね、ヴァニラ様は先々代の氷の女神の正真正銘血を継ぐお孫様さぞやご立派だったのでしょうに・・」
「先々大の氷の女神様はそれはもう美しいお方で・・美の女神の称号もお持ちでしたわね」
「でも、その方は氷の女王の称号だけで、美の称号は今やクリス様のものですけれどね」
「なんですって!・・っ!」
氷眷属の天使や精霊の会話にクグリは微笑んで彼女らを見下した。
普通使い魔のほうが天使より下なのだが、相手はクリスの従獣・・その上、高レベル魔物なので、彼女達は何も言えずに去っていった。
「こら、クグリ、ヴァニラの領域で喧嘩うらないの」
「喧嘩など・・事実を申し上げたまでですわ」
(こいつ・・私に似てきたわね)
まぁペットは飼い主に似るって言うし。
「はぁ、で?」
周りは誰もいない。
「他の人はどうしたのよ」
「祝いの品を用意できていないようです」
「まぁ、今回めんどくさいものね」
神々の結婚は普通に結婚式を挙げるだけじゃ誰も面白くないから、ゲーム式になっていた。
御題通りのものを持ってこないと、結婚式場に入れないのだ。
「今回は、『自分では手に入れれないもの』ですものね・・どんな無理ゲーよ」
クリスはそういって汚い一つのコインを魔法で出して、上に投げ飛ばし、弄ぶ。
「ヴァニラ様は来てほしくないのでしょうか」
「あら?どうして」
コインを消して、クグリを見る。
「手に入れられるなら、手に入れられないもの・・という御題を達成できていませんもの・・」
「ふふ」
クリスは笑うと噴水の前にあるベンチに座った。
「逆よ」
「え?」
「私達に来てほしいから、他の人たちがこれないようにしたのよ」
しゅん、空気の切れる音ともにルミルカが現れた。
「あら、クリス早いじゃない?」
「遅いわよ」
ルミはルカにしか作れない風の羽衣を持ち、ルカはルミにしか作れない、水の宝石を持っていた。
「作るのに時間かかったのよ」
「それにしても、他の人遅いね・・」
「変にひねくれてるから、本当に自分では無理なものとろうとしてんじゃない?」
自分では手に入れられないなら、他人からもらえればいい。
じつわそんな簡単な御題なのだが
「リンは馬鹿だから心配だわ、どっかで死んでないか」
「ラゴウでしょ、それ」
しゅん、しゅん、ラオとエレスト、ウィルマが現れた。
「おっそいわよー」
「仕事を先に終わらせてきた」
三人はしれっとそういうと、周りを見た。
「全然集まってないじゃないか」
「馬鹿だから」
氷の天使が現れると頭を垂れ、会場に入るよう言った。
「先に行きましょうか」
「あぁ」
中に入っていくと、アイリーンも来て急いで入った。中には既にラッカとリーファがいた。
「あとはラゴウとリン・・だけね」
「大丈夫かしら」
馬鹿ナンバー1、2、は大丈夫だろうか。
「では皆様、品をお見せください」
皆それぞれおいていく。
クリスもコインを置いた。
「何そのコインきったなーい」
リーファの声にクリスはほほえんだ。
「ただのコインじゃないわよ≪運命の金≫って言ってね、表が天使で裏が悪魔の模様なんだけど・・このコインで未来がわかるのよ、天魔戦争になっても大丈夫よ」
「いつ使うのさ」
ラッカがそういった後
「てかどうやって手に入れたの?時の女神のバーちゃん、最近寝たきりで不機嫌じゃん」
「魔力分けてあげたの」
天使が二人表れ、大きな扉をあけた。
広い部屋に沢山の椅子と机が用意されていた。他の天使の人々は扉が開くのと共に立ち上がる。
「さぁ、私達が座らないと他の人が座れないわよ」
「うん、行こう」
仲良しの双子が言うと、クリスは歩き出し、扉をくぐるのと同時に服装がドレスに変わった。
「良くいらっしゃいました、姫様方」
イルの父親が頭を下げて挨拶に来る。
「至らぬ息子でありますが、どうぞ宜しくお願いします」
「って、私達に言われてもね」
苦笑いを浮かべていると、扉が開きラゴウが泣きそうな顔で息を切らしていた。
「あら、ラゴウ来たの」
むしろ来れたの?
「はっはっは」
ラゴウの背後に立ったリンは大笑いをすると、ラゴウの背中を蹴った。
「ぶ!」
顔でスライディングしながらラゴウはクリスたちの足元まで滑ってきた。
「きゃぁ!ちょっと」
「ラゴウ、リンはどうしたのだ」
エレストがラゴウの首根っこを掴みながら言った。
「わ、わいは悪ない」
「ラゴウのせいか」
目を逸らしながら言うな。
「ちょっと!リン目が据わってない!?」
「ククク・・」
リンの手から闇色の炎が揺らめき、邪悪な魂が数百個も現れクリスたちに襲い掛かった。
「きゃああああああ!」
クリスは黙って結界を張った。
(ここで暴れたら壊れるわね)
リンが片手に漆黒の剣を持ってクリスに襲い掛かった。
「テレポート!!」
クリスは叫ぶと、11神だけ外にとんだ。
パァァン!!!
「きゃあああああああああああ」
結界が切り破られリンの闇の気迫に飛ばされた。
広い宇宙空間に連れてこられたというのにリンは何の反応も示さなかった。
「いったたた!何したのよ!ラゴウ」
ぶっ飛ばされて怒ったラッカはラゴウの頭に踵落としをした。
「わいのせいや・・」
「あぶない!!」
身体からから紫のオーラを放ったバードが紅い瞳で襲い掛かってきた。
刃と代わった風を二人を襲う
「わわわわ!!?」
「≪風の神ルカが命ずる、風よ消えろ≫!」
バードの攻撃は消えうせた。
「困ったわね」
リーファは生やした木々の後ろに隠れながら呟いた。
「そうじゃの、ヴァニラの結婚式までにはどうにかせねば」
ラオがそういうと炎を出現させた。
「炎の騎士よ!敵を薙ぎ払え」
リンに襲い掛かる炎の騎士だったが、足蹴りで一つ消えた。
「うむ、リン眷属である我にリンを倒すことは難しいか」
「何納得してんのよ!っきゃぁあああああああ!?」
大地の刃が敵意をむき出す。
急いで空に逃げるとリンに先回りされ強い打撃で大地に叩きつけられた。
「ぐ!?」
リンは黒い瞳を虚ろにクククと低く笑った。
「楽しんでる!?」
「本気をださずに、なぶって遊ぶつもりらしい」
ウィルマはこそこそしながら言った。
「なぶり殺しにするつもりらしい」
みんなはラゴウを睨んだ
「なにしたんだぁああああああああああ!!!」