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クリス村 休止中~  作者: 綴何
お姫様の章
46/105


 あぁ、どうしよう・・まさか時の神ごときに私が邪魔されるなんて・・

 少し遊ぶぐらいいいじゃない!!!

 それにしても・・あぁ、ながされるー・・


○○○


「もう、リンはいつも起きてくるのが遅いわね」

「結婚したら伴侶よりは早く起きるよう心がけなさい」

「はぁ」

 ロングテーブルに沢山の料理が並ばれる、食事が始まった。

(なんなんだ?)

 クリスはお姫様らしく上品に食事をしていた。

 父親の横に宰相が立つと、小声で何かを耳打ちしていた。

「公爵夫人が来たそうだ。私は先に顔を見せてくるから、後からちゃんとしたなりで来なさい」

「はい」

 上品でできた姫のようにクリスは微笑みながら返事をした。けれど厳かな父親はクリスのほうを微塵も見もせずにさっさと去っていった。えっらそーな親父だなぁ・・偉いんだろうケド

 え~こんなのクリスじゃ・・ないこともないけど、俺だけ馴染めてない感じが切ないんですけどー

(興味ないことにはトコトン、向かないからなぁ俺・・先帰ろうかな)

 人差し指を上に向けて魔法で自分の存在を抹消して帰ろうとした、そのとき

「お姉さま?天井に指差して、どうしたの?」

 クリスが自分の服をぎゅっと掴んで不安そうな顔でリンの顔を見上げてきた。

 う、何だこれ、無意識の警告か?!

「え?あぁ、うん、天井汚れていそうなこともないでございますことよオホホホホホ」

 早口で誤魔化すと、クリスは微笑んだ。

「良く分からないけど、変なお姉さま」

 ホーンミューン公爵のところにイヤイヤ運ばれると、二人の子どもだと思われる若い青年が此方を見て頬を染めた。

「あぁ、良く来たな」

 親同士で挨拶を始める、こっちはこっちで好きにする。

(この果物うめー・・あ、一応向こうの子に挨拶するべき?)

 口にさくらんぼを二個いれて、子息に声をかける。

「はじめまして、リンさん、ボクはカーシーって言います」 

(カーシー・ホーンミューン・・なっげぇーって神が人のこと言えないか。自分の名前すら覚えてないしな!)


「あの、リンさん・・」

「あん?」

 カーシーは頬を染めて、愛しいものを愛でるような目で彼女を見た。

「彼女は?」

「妹」

 なんだ、クリスか・・まぁたいていの男はクリスに釘付けだな。

「アレがすきか」

「ス!?」

 おーおー顔を紅くさせて、初々しいのぉ・・

「でも駄目だ、クリスはやらねーよ」

「そ、そんな・・ボクはただ聞いただけですよ」

「ならいいけどよ」

 振り向くとクリスが不安そうな顔でこちらを見ていた。

「?」

「リン、・・クリス、来なさい」

 お父上が娘を呼び、二人父の横に並んで立つと、向こうの公爵とも対面する。

「我々が、王家の分家なのは知っているだろう?本家のほうからホーンミューン家と懇ろになるようにとの、通達が来た」

「はぁ・・」

「リン、カーシーと話はしたかな」

「えぇ?あぁまぁそっすね」

「カーシー」

 向こうの夫人が微笑む

「アナタは名誉なことに向こうの姫・・リン様と結婚するの」

「え!?」

「えー」

 マジかよ、やだよこんな好青年と結婚とか、つまらなすぎる。

「ぼ、くは・・」

「んだよ」

 ハッキリしろよ、むしろ断れよ

「いえ、何でもありません・・」

 クリスのほうを見ながらしゅんとすんなし、俺がかわいそうだろ

「では、そのうち婚約パーティでも」

「えぇ、喜んで」

 あとは両親のほうで話し合う。

「なぁ、クリスかえらねぇ?正直息がつまるし」

「お姉さま、そんなこと言わないで・・楽しみましょう?」

 なんで複雑そうな顔で微笑むんだ?

 良く分からないけど、良く分からん・・・・はぁ


 少しして、開放された。

「はぁーやれやれ・・」

 クリスは何処に行ったんだ?

「おい」

「あら、リンさま」

 女中が頭を下げる。

「クリスは?」

「は?クリス様・・ですか?」

「そだよ」

 は?とか言うなよ・・知らないのが馬鹿みたいなリアクション傷つくじゃん

「クリス様は母君と同じように離れに居られますよ」

「離れ?」

 はい・・正妻様が死なれて、今この屋敷の奥様のようにいますが、もとより賤しい身分の方・・ああいう社交辞令のときのみ本家の門をくぐれるのです。

 ・・なんだそれ

 娘であるクリス様も例外ではございません・・

「どんな凝った設定だよ」

 馬鹿らしい、さっさとクリスをつれて帰ろう・・お姫様ごっこなら、もっといい場所あるだろうよ・・

「ここか・・ってうーわぁ」

 お姫様って言うより一般市民宅じゃないか

「クリスさん、先に行きますよ?」

 あん?

 白雪のような肌をした髪の毛ロールがクリスの名を呼び、歩いていた、手には花束を、クリスもしばらくして綺麗な籠をもって歩いていく。匂いからしてお菓子だな。食べたい

 こっそり後をついて行く

 しばらくついていくと、山道に入った・・上のほうには教会が見える。

 ドックン!

「・・・・?」

 体中を駆け巡る、嫌な吐き気・・汗が顔から流れる・・

「っく」

 駄目だ・・進めない・・行きたくないっ

「はぁっはぁっ」

 クリスの背中が遠くなっていく

 行ってしまう・・行かないで・・行きたくない・・行けない・・いけない

「うぁああああああああああ!!!」

 がさがさ・・黒い影が草むらを横切った。

「俺は何もしらねぇええええええええええええええええ!!!!」

 



 カッ!!!






「おかえりなさいませクリス様、リン様」

「まぁ、すごいお汗・・お風呂の用意をいたしますね!」

 クグリとバードが急いで準備をする音が聞こえたが、なんだ。この疲労感

「リン様・・?」

 バードが駆け寄る

「はははっ・・そうか」

 眠るクリスを抱きしめながらリンは笑った。


「イレギュラーか」

 

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