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クリス村 休止中~  作者: 綴何
氷姫の恋路の章
41/105


 ドキ、ドキ、ドキ・・心臓が痛い。正直神様なんだし、酸素無くても生きていけるのに、どうして心臓なんてものがあるのでしょうか、まったくもって神というものが不可解です。人間ですら自分たちの身体の構造をよく知っているのに、我々神がどうして知らないのでしょう、それもそのはず我々は高貴なる存在で、一人ひとりからだの構造が別の気体で・・。

「ヴァニラさん・・?」

「ひゃ!?あ、すみません、ぼうっとしていました」

「そうですか、階段ですから、気をつけてくださいね」

「は、はい」


 二人は鍾乳洞へと入っていった。

 クリスたちは一旦あの二人が最後まで降りるのを待つことにした。

「ヴァニラってば、ピュアだったのね」

 リーファは行動を始めてからずっと、にやにやしている。ラッカはそんな姉妹神を冷めた目で見ながらクリスとリンのほうを見た。

「あれ?」

 ラッカがクリスたちを見て不思議そうな声を上げた。

「いっちばん喜んでいそうなのに、冷静なんだね」

「あぁ・・」

 面白いといえば、面白い。

「ハッピーエンドなら、大きな邪魔をしないわ」

「イル・ヴァージンは枢密院の中でも権力者の息子だったな・・何番目かは忘れたけど・・兄弟の中でも一番欲深い・・」

「ヴァニラを利用する気じゃなければいいけど・・」

 ウィルマが後からのんびり、やってきた。

「やれやれ、皆歩くの早い」

「さぁ、いくぞ!」

 ウィルマが着いたとたん一向は歩き出した。

「えー・・待ってくれよー」

 


 薄暗い洞窟の中でも、闇の精霊の僅かな光で道を照らす。

 ここは密に神々のデートスポットで有名な場所であった。ヴァニラがそんなことを知っているかといえば、知らない。

「さすが、天界の中でも素晴しい癒しスポットですね、闇の眷属でありながら、光の眷属を癒す・・はぁ、魔力が洗われるようです」

「・・・・」

「・・イルさん?」

「っあぁ、そうですね、ヴァニラさん」

 ニッコリとイルは誤魔化すように笑った。

「?」

 

クリスたちも遠くから眺める。

「何を考えていたのかしら」

「ウィルマは?」

「後ろ」

 エレストの指す方向を見ればまだ上のほうであった。

 実は彼女が一番運動神経が悪かったりする。

「たく、遅いなぁ」

 洞窟の中でも自由に動けるリンが腰を上げ、迎えにいった。


「・・ん?」

 ヴァニラはなんとなく後ろを振り返った。

(いま、何かが動いたような・・)

 いるのは精霊の闇眷族だけ

「イルさん、もうそろそろ上に上がりま―――」

「ヴァニラさん」

 両肩を掴まれた。

「はい?」

「・・・・・・・・」

 そのまま、黙り込まれた。

 真顔で黙れると、困惑してしまう。え?私何かいってはいけないことを言ったのでしょうか。

「あの・・ヴァニラさんは世界の理の書を読んだことがありますか」

「え?」


 クリスは目を瞠った。

「ここで聞くの?!」

「ねー世界の理の書って何?」

 ルミの言葉にエレストが答える。

「神ですら選ばれたものしか解読できない、全てを読むのは不可能だとされているこの世の全てを描かれた本だ。コノ世界を知ることは、神だとて最大の罪、アレは罪の書なんだ」

「ナンだってそんなものあるの?」

「この世の終わりのために」

「大層な話じゃな」

 ラオウは鼻で笑った。

「本当にあるのかそんな本」

「あるわよ?」

 クリスは即答した。

「読んだことあるのか?」

「あるわよ?」

 クリスの余裕ぶったセリフに対抗心を燃やしたエレストが

「どこまでだ?私でさえ最初のくだりしか読んだことがない」

 と、言った。クリスは首をかしげた。

「全部よ、リンと一緒によんだの、読んだときが何時だったか忘れたけど」

「はっはっは、嘘をつくな、これまでもあれを読んだことのある神などいないはずだ」

 エレストが笑うと皆も笑った。

「クリスだけならともかく、リンもでしょう?嘘ばっかり」

(私だけなら信憑性あるって、リンどんだけ馬鹿にされてるのかしら・・)


「あの」

 クリスたちは黙った。

「私は読んだことありません、残念ながら・・あの本はかなり前から天界図書禁止金庫から、どなたかが持ち去ってしまい、何処にあるかすらも分かりません。それ以前にあの書を読むことすら罪と、夢と幻の神が禁止なさっていますから、私は、興味も・・」

「あ、そうですか・・いえその」

 肩を掴んだまま、イルは思案するように顔をそむけた。

「なんでしょう?」

「・・・・あの」

「はい」

 イルは・・溜息つくと、掴んでいた手を放した。

「なんでもないです・・」


 リンは、ウィルマを抱っこして戻ってきた。

「お?なんだ?深刻そうだな」

「そうね、理の書のことをヴァニラから聞き出そうとしていたわ」

「あ?逸れ狙いで近づいたのか?許せないな・・ヤるか」

「まぁ、またんか」

 抱っこされていたウィルマが溜息をついてみんなを見た。

「才色兼備の神でありながらお前達がちらとも恋慕の話を聴かないと思ったら、・・呆れた」

「なんや」

 ラゴウは首をかしげた。

「はぁ、・・あの男はの、あぁして余裕ぶっているが、ヴァニラと同じく・・テンパっているんだよ」

「・・・・え?」



 イルは悩んでいた。

 ヴァニラは誰しも知っている生真面目な女性、だからこそ慎重にしなければ何時幻滅され消えられるのか分かったもんじゃない

 だからこそ、辛い。

「あの、あの」

 心配そうなヴァニラの顔を見る。

 本当は抱きしめたいし、手も繋ぎたい、口付けだって交したい・・それ以上だって、好きならばこそだが・・なんにしろ、彼女が淑女の中の淑女だから、どこまでがアリで何処までが駄目なのか、分からない。なんど理性を飛ばしそうになったことか・・。さっきはとっさに変な会話で回避したが・・

(駄目だ、私は・・へたれすぎる。いや、彼女が特殊すぎるんだ)

 二人は鍾乳洞をでるために、階段を上がりだした。

「なんだ、そんなことか」

 

 リンは、安心したように言った。

「だったら、任せろ」

 リンが精霊を操って一気に二人を襲った。

「きゃぁぁ!?」

「ヴァニラさん!」

 二人は転げて落下して行った。鍾乳洞の出口を塞ぐ。

「二人っきりにすればいいんだろ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 親密度はアップしただろうケド、リンの死亡フラグも上がった。

 後日、ヴァニラが結婚すると正式に上に発表

 そして


「よくも、人をコケにしてくれましたね・・」

 ごごごごごご・・怒りの炎が見える。

「ねぇ、クリス・・誰がとけるって?」

「そうね、誰かしら」


 高位クラスの女神11人、行方不明になったとかならなかったとか

   

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