下
クリス村に直帰すると、クリスと目があった。
出会って早々の一言
「お帰りなさい、お父さん」
「いやお父さんじゃないんだけど」
クララを抱いたリンを見ながらクリスは微笑んだ。ただの厭味らしい。
「法廷に行くわよ」
「あ?」
なんで法廷に行くんだという顔をした。すると何故か手にはハリセンが
「私にこれから八つ当たりされるのと行くの、どっちがいい?」
「いきます」
何かよく分からないけど、イライラしているらしいので、無難に何も言わず従うことにした。クララを家にしまい、クリスの庭をふとみると、煙を上げて倒れている人が五人もいた。
・・なんとなくわかった。
エデンの最高裁判所、審判者はイエスト・スリキ・・訴えたのはこちら、クリス村チーム、相手は合成獣を開発大幅に飛躍させた合成チーム。両者は表面上は微笑みあっているが、内面では睨み合う。
「では、裁判を開始する」
カーン、コングが鳴り響く、裁判員達をのせた椅子や机はは上空に逃げる、両者が居た場所はバトルチームに変わる。
神々の勝負は最高審判になると力ずくになる。
「・・ふ、ヴェニラの訴訟を素直に聞き、多額な賠償金を支払えば痛い目を見ずにすんだものを」
「いくら請求したんだ?」
ヴァニラがリンの耳に囁く。
「そりゃ、無理
向こうのチームも必至らしい。
「いでよ!合成ドラゴン!」
鎧に身を纏った獣特有の爪のアル腕に、ドラゴンの身体、尻尾には八岐大蛇がうごめいていた。
「あ、八岐大蛇!」
リンが指差した。
「俺のじゃん、俺の!審判」
審判の判決。『問題なし』
「なんでだよ」
「闇の森放置してるから神権なくなってるんじゃないの?今度申請したら?」
リンは拳を握った。
「ふ・・この俺を怒らせたな」
魔法でリンは真っ黒なツルギを取り出した。
「真っ二つにしてやる!」
「お待ちなさい」
ヴァニラが氷でリンを凍りずけにした。カキン・・重力に従い下に落ちる。と、丁度リンのいたところにどす黒い炎が吐かれた。
「はーはっはっは!さすが知の女神、その通りこのドラゴンの炎を闇属性が浴びると、その能力を打ち消しにしてしまう、毒をもって毒を制す、だ!!」
氷から這い出たリンは二人の女神を見た。
「アイツら馬鹿?」
「そうね、かなりの馬鹿ね」
「私、知の女神ではなく、氷の女神なのですが、知はこっち」
クリスを見る。
「光属性がこいつの炎を浴びると、しなびて死んでしまうのだー!なっはっは」
聞いちゃいない。
「しょせん戦いに向いていないのよね、インテリ系の奴らって」
「どうするよ」
「潰しましょう」
三人は魔力を解放した。
ドラゴンが怯えて、逃げ出した。
「あ!こら」
「やっぱりな」
リンは開発チームの後ろに立つと、めがね君らの背中を蹴飛ばした。飛ばされた彼らはヴァニラに氷付けにされた。
クリスがニコッと笑った
「私達には向かったこと、思い知りなさい」
金色に輝く光がクリスの両手から放たれた。
『神の裁き』
光がチームを包み込んだ。
・・後はご想像にお任せしよう。
「勝者クリス村」
こうして、合成獣は禁止され、クリスたちの畏怖が知れ渡り・・
「私のお見合いの予定が延びたのですが」
「どんまそ」
ヴァニラの婚期ものびたのであった・・。