中
今日は晴れのち・・ボロッボロだろう
『ガァァォォゥ!!』
キメラがリンに飛び掛り、その血肉を切り裂き喰らおうとしたが、リンはテレポートで避けた。
「お?」
服の先っちょが破れた。
(幻獣界ではちとフリだな)
リンは襲い掛かる獣の攻撃を避けると、警察の横に飛びのいた。
「おい」
「は?!」
警察官の手にクララを置く。
「持ってて」
「リン様!加勢致します」
「いらん」
リンは肩を回すとニヤリと笑った。
『ゥゥウウ!!』
「最近運動不足で丁度良かった」
リンは武術の構えを取った。
「かかって来いよ」
『牙ァ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!!』
そのころクリス
「ヴァニラー」
「なんでしょうクリスさん」
バニラは花の水遣りを中断し、籠を持ったクリスのほうを向いた。
「ヴァニラって法廷のほうで顔広いよね」
「・・えぇ」
クリスは新聞紙を見せた。
「合法・・ですか?私は興味ありませんが、これが法廷と何の関係が?」
「訴えてほしいの」
「はい?」
クリスは腰に手を当てた。
「合法のせいで娯楽に金使われて儲かってるのはいいことだけど、むだな殺生は愛と豊穣の女神としては許せないと思うのよね」
「おや、珍しくまともですね」
「・・というのは勿論建て前で、本音は調子にのって私の称号を奪いにくるやつがいるから」
幾千という数の神々が居れば一つや二つ称号はつくものだが、つかないやつは死ぬまでつかないこともある、それってけっこう馬鹿にされるので、他人の称号を奪うのだ。
称号もちの神に勝てば、勝っているということ、自動的に手に入るわけだ。
「クリスさん、信じられないぐらい肩書き沢山お持ちですからね、いっそ差し上げればよろしいではないですか」
「いやよ、たくさんあったって努力して手に入れたもんだし」
クリスは籠の中のクッキーをヴァニラの家のポストの中に入れた。
「それに、沢山あるほうが嬉しいでしょ?」
袋一杯につめられたクッキーをポストから取り出し、ヴァニラは頷いた。美味しそうなクッキーの香りが漂う
そのころにリンはキメラを倒し終えていた。
「・・こいつ」
リンは切り刻まれた服のところどころを見ながらぼろぼろに倒れたキメラを見た。この服気に入ってたのに・・。
「どうしましょう、始末しましょうか」
警察が剣を向けた。
「やめろよ」
リンは警察官を蹴飛ばし、クララを回収した。
「俺が飼う」
「は?!し、しかし・・このキメラは持ち主を殺し、何人も傷つけたのですよ!?」
「本人だって任意で産まれてきたわけじゃないんだろうよ、まーいじゃん?俺なら安心だろう?」
「いえ!しかし」
「あ~もう、あ・の・さ?」
がし
「ひ!?」
リンは警察官の頭を掴み、殺気のこめた魔力を少し開放した。天使族である警察官はそれだけで真っ青になり怯える。
「俺は頼んでるんじゃないの、俺が決めたことなの、俺が誰だか分かってる?」
警察官はコクコクコクコクと頷いた。
「じゃ、もう何もいわねぇよな?」
「も、勿論です!こ、今回はお疲れ様でございましたぁ!!!」
「はい、どーも、バード」
「了解しました。帰ります」
リン姿が消える。
と、警察官は恐怖からの開放に気絶した。