表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリス村 休止中~  作者: 綴何
村人増幅の章
34/105

「・・村人がたったの10人しかいないなんてね・・」

 クリスは村人の住民票を見ながらぼやいた。穴のせいで中々の痛手だ。せっかくリンに35人も集めさせたのに、25人も転生してしまった・・。

「集めに行くのもめんどくさいわねー・・もういいや」

 クリスは人型化しているクグリの入れたお茶を飲みながら溜息をついて、魔法でマイクを取り出した。

「ピンポンパンポーン!村長からの命令です」

「伝達ではないのですね」

「広場に集まりなさい」



 広場前に建てられた塔のような建物のベランダで、パラソルの下でクリスはティータイムを楽しんでいた。集まった村人は大声をだしてクリスにそろったことを伝えると、クリスはコップを置いた。

「初、クリス村行事、ラブ・ドキ・フォークダンスよ!」

「・・は?」

 村人達はポッカーンと口を開けた。しゅん。12神がベランダにそろった。

「仕事中だったのですけど?」

「なんや?なにするんや?」

 子牛を抱っこしたままリンは健康的に徒歩で階段を上がり、塔のベランダまでやってきた。

「俺、牛の出産と子育てにいそがしんだけど?」

「黙れ!」

 クリスの一喝。

「村が廃墟となってもいいの!?」

「そんな急がなくても、この村も時が緩やかに流れてるから村人が年寄りになって死ぬことはないんじゃない」

「ルミは馬鹿ね」

「あ?」

 クリスは指をびしっとルミに突きつけた。

「私はすぐに(村人を使って)遊びたいの!」

「・・・・」

 馬鹿はアンタだといいたくとも知の女神には言えることはないので黙ることにした。

・・帰っていいですか?by村の人の心

「さぁいくわよ、ミュージック・スタート」

 らら、らら、ら~ららっらら~ららららら、ららっら、ららららっらっらっら~

「・・・・フォークダンス?」

 クリスは「そうよ」と頷いた。

「ダンスによって男女は強制的に手を触れなければならないし、相手を見なければならないから相手を顔で選ぶことができる、これほど相応しい方法はないわ」

「つまり行事で村人の心を親密にさえ、結婚させ子をつくろうって話やな」

「最低ですねクリスさん。あなた自分の時には全力で逃げるじゃないですか」

「当たり前じゃない」

 何様?神様、クリス様

 音楽に魔法を施してあったらしく、村人達は操られるように踊りを始めた。

「魔法でムードを盛り上げる」

 空から綺麗な花びらが降り注ぐ。

「さぁーレッツ婚活スタート」

 ヴァニラは頭を押さえながら、他人よりも自分を優先してほしいと思ったのであった。

 踊り続けて丸一日・・。さすがに見飽きたクリスたち

「でもなんやすごいんなぁ、作戦通り皆自分らだけの世界にはいっとるやん」

「人間って単純」

 ウィルマの一言で意識を放心させていたクリスは戻ってきた。

「さぁ!閨よ!」

 魔法で広場にハートの形の家を出した。みんな突っ込むことも驚くこともなく、導かれるように入っていった。

「なんや、ムードのないなぁ」

「こうなったらもう私達の居る意味ないよね」

 ラッカの言葉に皆頷く。っていうかエレストなどは既にここには居なかった。

「クリスさん」

 ヴァニラがクリスのカタに手を置いた。

「こんなものがきてますよ」

「ん?」

 手紙・・ペロッと中身を見ると、エデンの法律事務所のほうからであった。

『迷い魂が混雑しています。魂回収課から苦情が出ています。賠償金を支払うようお願いします』

「・・クリス村で死んだものは転生するようにしてあるのに」

「あの時は丁度宇宙嵐だったので、魂も飛ぶに飛ばされたんでしょう」

 ヴァニラはクグリの入れたお茶を飲みながら正論を言った。クリスはムーと口を尖らせた。

「リン金」

「はいは・・ってなんでやねん!」

「おぉノリツッコミ」

「そんなので喜ぶのはラゴウさんぐらいですよ」

 リンは抱いていたヤギをおろした。いつの間にか子牛からヤギに変わる・・。

「村に居させてやってんだから良いでしょ」

「だったらヴァニラたちはどうなるんだ」

 他の女神を指差すと皆はにっこりと微笑んだ。

「帰りましょうか?ここから」

 任意でない人もそういえば居ましたね。

 リンは少し考えて小切手を取り出し、金額を書いてサインして課のほうに飛ばした。

「まぁいいや、どうせ金なんて下っ端から巻き上げりゃいいし」

「さすが悪魔、最低ですね」

 ヴァニラに皮肉を言われても特に気にしないリン。ウサギを抱っこする。

「ねぇ、ちょっとリン」

「いて」

 長い髪をリーファに引っ張られ、顔をゆがめた。

「ベランダを動物まみれにしないでよ、服が獣臭くなるじゃない!」

「へえへえ、んじゃおりゃー消えるよ」

 しゅん、リンは動物を連れて消え去った。

「暇ねー・・」

 女の人がはらむまで時間かかるだろうし、いくら最高位の女神様だって時間をかってに早めたら、時警察所の人や時の女神に怒られる。こいつらは相手がお偉いさんだろうと、むしろ偉いだけ高額な賠償金や罰金を請求してくるから、だれも時を操れない。

 異次元に飛ぶのは見逃してくれるけど・・。

「ヴァニラ。ゲームしましょ」

「・・嫌ですよ、クリスさんとゲームなんて二度としないと決めましたからね」

「いやぁねぇー今度はお金なんて賭けないってばー」

「遠慮します」

 クリスはちぇーと残念がった。

「わいでえっかったら相手するで?」

「さっすがラゴウ、じゃー遊びましょう」

 指を鳴らすと、クリスとラゴウの前に四角い机が現れた。その上は黒白のマスに区切られていて、チェスに似ていた。

「チェスでもするんか?」

「違うわよ。ここに・・クグリ」

 しゅるん、クグリが獣化すると尻尾の先をちょこっと切った。それをマスの上に置くと、ちいさなクグリができた。

「プチ・戦争」

 この人本当女神なんやろか・・ラゴウは本気で悩んでのであった・・。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ