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クリス村 休止中~  作者: 綴何
12人の女神の章
30/105

風と水

 

颯爽と爽快な空と海の狭間に浮かぶ、三番目に美しいことで名高い、双球殿そうきゅうでんと呼ばれる、風と水を支配した女神の神殿。 

 ソレを見ながらリンは微笑んだ。

 ココは全くの爽快で、純粋な魔であるリンに不思議な効力を与えていた。

「・・くっ・・う」

 そう、猛烈に

「ふわぁああああああああ!!!うぅ、ふぅ」

 眠たい。

 純粋な天使のクリスの場合、テンションが上がる効果があるらしく、さっきからヤル気満々で罠を仕掛けにいったのだった。

 リンは獲物を待つだけ。

「・・・・。」

 待つだけなんだけど・・・・。

「ふわ、ふわぁぁ、くぅぅう~お昼寝するにはココは最高に気持いいのに、コレは何の罰ゲームだよぉ全くー・・お?」

 ぴゅん!

 鳥がコッチに飛んできた。

「よっしゃ」

 リンは捕まえようと手を出したが、きゅい・びゅーん!

 ブレーキを踏まれ、普通に抜けられちゃった。

「・・・・・」

 鳥の後ろ姿だけを見守る。

「こら!!!」


ごす!


「ぐふ!?」

 上からかかと落とし去れて、海に落ちた。

「ごぼごぼ・・」

「って!気絶ついでに寝ないでよ」

 魔法で持ち上げられる。

「もう、海の中で待たせても寝て、空で待たせても寝て、何処でなら起きられるのよ!」

「このエリア外だと思うよ」

 正論。

 クリスはぷりぷりさせながら腰に手を当てリンの髪の毛を引っ張った。

「いい?リンちゃんが追いかけるの!分かった?」

「うぉ?うぉ!うひゃ!?うわわわ」

 髪の毛をヒモ変わりにぶんぶん振り回し、

「やっほーい!?」

 リンを投げ飛ばした。

「頑張ってねー!」 


水晶でその様子を見ていた双子の女神はお茶を楽しんでいた。


「ねぇ、ルミ?クリスたち、本当に捕まえることできるのかな?」

「私達ですら数えるほどしか捕まえたことないのよ?一日じゃ無理でしょうよ」

「可哀想だよ~」

「どうして?ルカは可哀想じゃなくて、報復が怖いからそういってるだけでしょう?」

「うう!」

 ルカはパクッとシフォンケーキを口に入れた。ルミと口げんかしても勝てないことを知っているから、説得を諦めたのだ。

「さすがの最強と言われ始めたあの二人でも、無理よ!これで最強なんていう称号はお流れね!ふふ」

「何がお流れだって?」

「!!!」

 ルミは立ち上がって背後を見た。ソファの上で横になっている体制でいるリンがいた、水晶ではまだ飛んでいっている途中。

「ふあぁ、やっぱココ寝るのには最高だな~」

「あ、リンちゃん起きたの?コッチも丁度お菓子焼けたよ~」

 いい匂いのする出来立ての御菓子を持ってクリスは現れた。まさか、今まで作っていた?!

「そんな馬鹿な!?だって」

 水晶を見る。鳥に振り回されている二人が見える。

「なにいってるの?」

 クリスは可愛らしく小首をかしげた。

「ルカが食べてるシフォンケーキだって、私が作ったんじゃない」

「ふぐ!?」

 ルカが食べながら驚いた。

「・・まさか、クリス・・あんた嵌めたわね」

「なんのこと?」


 クリスのできたてのケーキに手を出そうとしたリンの顔を殴ると、懐から鳥が出てきた。


「・・最初から、惑わしてたのね!くそ卑怯よ」

「どーして?私はルミに『この世界の日が沈むまでに、この子を捕まえてあんたらの目の前に持ってこい、殺すのは駄目』としか言われてないもん」

「だからって」

「ルミ」

 ルカはルミの服の裾を掴んだ。

「コレも実力ってヤツだよーなー?クリス」

「そうそう、約束どうり、クリス村に住んでもらうわよ」

「・・・・・ち、分かったわよ!一度は挫折を味わえばよかったのに」

「ねぇクリスリン」

 ルカは首を傾げながら質問した。

「いつこの子捕まえたの?」

「だから最初ッから」

 リンが微笑んだ。

「ルミが魔法でソレを出したときに、内容が大体分かったからさ」

「私の魔法であらかじめ捕獲してたのよ」

 始める前から勝敗は決まっていたらしい。ルカは感心した。

「じゃ、引越しの用意よろしくね」

「じゃ、次行くか」



勝敗は始まる前に決まっていた。

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