中
「リンちゃーん?」
子ども達は今日もリンのところに顔を出したが、当の本人が居ない
「牛ンところにもいなかった」
「鶏のトコもー」
「リンちゃーん」
子ども達の声に反応したクリスが様子を見に来た。
「どうしたの?」
「リンちゃんいないよー?」
「え?いるじゃない」
「どこにー?」
クリスはある一匹の黒ヤギを指差した。
「ヤギ?」
クリスは懐からお菓子を取り出すと目の前でちらつかせた。
びゅん!!
ヤギがクリスにすごい勢いで飛びついてきた。
「ヤギになんかあげないわよ」
クリスのその言葉を聞いたヤギが急に、ぽん!っと大きな犬になった。これ以上に無いぐらい尻尾を振っていた。
「リン?」
子ども達が不思議そうに名前を呼ぶと、犬がぼふ!っともとの姿に戻った。が、尻尾はそのままだ。
「はい」
お菓子を手に入れご満悦らしく良い笑顔で食べていた。
「リンちゃんなんでヤギになってたの?!」
「ん?いやぁクロヤギさんになりたくて」
「嘘ばっかり、子ども達の世話に飽きたからでしょ・・たく」
リンはてへっと舌を出した。
「そうそう、天使って意外と一度自分でこうって決めたら、最期まで遣り通さないと気がすまないのよ?私とかお菓子に今はまってて、たくさんレパートリー覚えたわ」
「それは良いことだ」
手を出しながらリンは言った。
「今日はそれだけよ」
残念そうに手を引っ込めた。
「悪魔は違うのー?」
「そうだな、悪魔は凝ったものでもすぐに飽きるからな、飽きたら二度としないな」
「へー」
逆を言えば飽きなければ恐ろしいほど続くのだけど・・。
「でもでも!リンは大丈夫」
子ども達は自信満々に頷いた。
「あ?」
さ!子ども達がお菓子を取り出した。
「リンちゃん!あーそーぼ」
「おう、いいぜ」
・・情けないリンは無視して、クリスは農作業をしに自分の家に帰っていった。
さすがクリス村の子ども達、観察力にたけている・・っていうかリンが単純すぎるだけであった・・。