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クリス村 休止中~  作者: 綴何
お見合いの章
23/105

「クリス!リン!!何処へいったんですか!?クーリス!リーン」

 ヴァニラはいつも悠然とした淑女であったが、いまは鬼のような顔で二人の名前を叫んでいた、そんなヴァニラに首を掴まれたラゴウは真っ赤な顔したヴァニラとは正反対、真っ青になっていた。むしろ青より白?

「たく、あのお二人ときたら!!私が血反吐を吐きながら皆様の血脈勲章伝統をすべて完璧に覚えたというのに、本番直前になったとたん姿をくらませるだなんて!!許せません!ぜっったい捕獲します」

「そーんなにあつくなっても見つけれへんで」

 ラゴウは息も絶え絶えな状態で何とかそういった。

 きききー!!!

 ヴァニラはやっと止まった。

「そうでした。あつくなってはいけませんね・・私は堂々と静かにそして厳かに生きなければ」

「なんというか、その物言いうちの干物ばぁーさんと同じ言い方や」

 カッチィン

 ラゴウアイスの出来上がり。

 そんな様子を身ながら、二人の女神はこそこそと移動を始めた。

「やばい、ヴァニラがガチギレだ」

「ヴァニラ切れるとそこらじゅう氷付けにするからねー『雪女伝説』怖い方の噂を作ったのは彼女だものね・・」

 二人はできるだけ気配を消してコソコソと移動を始めた。

「そもそもクスリの言うこと聞くなんて、私らしくなかったわ」

「だな、こんなふざけたお遊びおりゃ~もううんざりだ」

 こそこそ、こそこそ

「とっとと村にずらかるわよ」

「そうはいかないよ」

 目の前には仁王立ちになっているアクがいた。

「私の敵じゃないわね」

 クリスは魔法でアクの頭上に水を被せた。

「甘い」

 アクが結界を張った。

「!?」

 クリスは急いで立ち上がってリンの首を掴んで一気に後退した。

「アク如きに私の魔法をかわせるわけが無いわ・・何者!」

「ふっふっふ・・って、私はそんな雑魚じゃない!!」

 アクは黒炎を纏うと二人に迫った。

「パーティまで気絶してもらうよ!」

「断る!」

「ぐふ」

 リンの長い足がアクの腹に直撃した。

「あー、アク・・あんたって集中しないと駄目なタイプなのね」

「魔法に集中してたってことか・・アホな」

 シュン!

 誰かがあわられた。

「!!??」

 クスリに、明治時代風の女学生の服を着た女性や、巫女さん風服を着た女性がいた。

「ほぉ、こいつらか」

「中々元気どすねぇ」

 クスリはにこりと微笑んだ。

「クリス・リン、挨拶なさい。私達の先代目・・私の母ユリアーナにサウジーナの母リリーよ」

「はじめまして、私達をずっと隠れて盗み見していたのは貴女達?」

「あら、盗み見やなんて・・人聞きの悪い言い方。監視です」

「で、お前等エデンの執権を拒否したらしいな・・アク」

 お腹を蹴られて倒れているアクの首根っこを掴んで持ち上げた。アクは目が覚めると顔を真っ青にさせた。

「あ、り、リリー様じゃぁないですかぁ~」

「そうだ、で・・お前は何しているそんなところで」

「え、えーと」

「アクちゃんのことはどうでもいいの」

 クスリは怒ったようにリリーからアクを取り返した。

「大事なのはクリスたちがエデンを拒否したことでしょう」

「そうどすな、でも、そんなに大事なことではないどすぇ」

 ユリアーナは微笑むとクリスの頭を撫でた。

「エデンは所詮人界に輪廻するまでの霊どもと、そして我ら家臣共の借り住まいどすから・・私達が管理するまでもない」

「そういうわけにも行くまい、支配者がいなければ秩序は守れん」

「まーま」

 リンはいい笑顔で笑った。

「後はそちらさんで任せた。俺らは帰るからさ」

「そういうわけには行きませんよリンさん」

「げ、ヴァニラ」

 怒りを越した青い炎がメラメラと燃えていた。

「て、てへ」

 氷の炎が二人を襲った。 

「「きゃぁー!?」」

氷付けになった二人を見ながらリリーは溜息をついた。

「・・お前達がエデンを支配したくないというのなら、致し方あるまい」

「ん?」

「今はお前達の好きにするがいい」

 リリーはそういうと着物の袖から長い巻物を取り出した。

「ただし、『契約』はしてもらうぞ、今は自由にしてやるがいずれエデンを統べると約束しろ」

「いやよ」

 氷付けにされたはずのクリスの指がなると、一気に高温の炎が燃え上がり氷もろとも巻物も燃やし消し炭となった。

「何故、私達がそちらの言うことを聞かなきゃならないわけ?」

「・・なんだと」

 クリスはフンッとそっぽを向いた。

「私、指図されるの嫌いなの。そもそもエデンを統べるつもりで私達はココまで来たんじゃないわ」

「今まで散々お前等が俺らの先を決めてきたんだ」

 二人は偉大な先代たちを睨んだ。

「「今度は自分達の好きにさせてもらう!」」

 揺ぎ無い意思に、強い拒絶のこもった殺気を受けた先代たちは怯んだ。

 古き時代に生きし者ほど強く、誰よりも経験や知識があり・・決して若造などに引けをとったりなどしないのに・・怯んだ。その事実がおもしろい

「あはっあはははっはっは!!」

 ユリアーヌは高笑いをした後リリーの肩に手を添えた。

「面白いどすなリリー?ふふ・・いいじゃないどすか、好きにやらせたらええんですよ」

「ユリア!?」

「お二人とも、よう聞きなさい」

「何だ?」

「エデンの執権はお前達に譲渡します」

 二人はクエスチョンマークを浮かべた。

「だから、いらねーってば」

「まぁ最期までお聞き、エデンの執行権力を持っておくだけでいいんどす」

「つまり、私達に権力をくれる上に自由にしてくれるってわけ?」

「そう」

 リンは顎に手を当てて首をかしげた。

「そりゃ、いい案だけど・・それでいいのか?」

「いいわけあるか!」

「リリー・・いいんです、そうでもしないとエデン受け取ってくれんのでしょ?私らはクスリたちの後継者を決めておきたかったんです。アクはこうなってしまったし・・上としては頼りない」

「あはは」

「なんだ、アクのせいじゃない」

「クスリもなんだかんだゆうて、遊び呆けてばかりいるし」

「だって、アクちゃんが仕事する権利無いからって私にばっかしごとに追われて・・馬鹿みたいじゃない?」

「そんなこんなやから、二人に任せたかったんよ」

「アホらしいわね」

 クリスは頭を押さえた。

「大げさに事を進めてきたわりには、内容ぺらっぺらの薄い紙だったってわけか」

「うわぁ・・俺らの人生って・・」

 二人は肩を落とした。

「あら、舐められたものね~私達の身分は色々大変なのよ?殺されて吸収されることもあるんだから・・ま、サウジーナみたいな気の弱い子しかそうならないけど」

 クスリはサウジーナがよほど嫌いらしい。

「ぺジみたいな件もあるしね」

「あぁ、忘れてたあの雑魚ね」

 今もまた再び獄中にいるらしい・・どうでもいいけど

「あ、じゃあさ」

 リンは先代を見た。

「もうパーティでなくていい?」

「はい?」

 え、駄目なの?

「大事な子孫繁栄のためよ、出会いは大事にしなきゃ」

「この後もあうんだから早く戻らなきゃね」

 クリスはリンの横腹をつついた。

「逃げるわよ」 

「了解」


 二人のパーティはまだまだ続きそうであった・・。

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