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クリス村 休止中~  作者: 綴何
お見合いの章
22/105

「ふー、コレで何回目かしら?」

 長椅子に横になりながらクリスは溜息ついた。今回のことで一番被害を受けているのはクリスだった。クスリにばれないように微力な結界で自分を纏う。

 天界出身だろうが男は男。顔が美しくたって中身は獣。そんなものクリスは好きにはなれなかった。だから時折あまりにうっとおしいときは殺気を立てたりした。

 しかし煩悩の塊の脳内では殺気にすら気がつかないようだ。

「逃げちゃおうかな」

「いけませんよクリスさん」

「あら、いたのヴァニラ」

 ちゃらちゃら着飾られた此方とは違いヴァニラはいつもといたって変わらない姿だ。ま、いつも軽いドレスを着ているけど・・

「そろそろ貴女が逃げ出す頃だと思いましてね」

「あらぁ~誰に頼まれたの?」

「いえいえそんな、自分の意思ですよ・・貴女は世界の頂点に立つお方だからこそ、貴女には永遠の伴侶が必要なはずですわ」

「いらねーし」

「クリス!」

 ヴァニラに怒られてクリスは溜息を大げさについて天井を見た。無駄に豪華なシャンデリアがキラキラと光り輝いている。

「ラゴウも来たみたいね」

「えぇ」

 ラゴウが移動するといつも空が闇に覆われ雷が轟き落ちる。

「窓開けてヴァニラ」

「・・悪趣味」

 ヴァニラが窓を開けるのと同時、雷に感電しながら落ちていくラゴウが見えた。ラゴウは雷の巫女・・女神であるが。まったく能力が大きすぎて感電して落ちていくのだ。

「あれでケロりとしてるんだからすごいわよね」

「すごくなど、ただの馬鹿なのですよ」

 ヴァニラは溜息つくとクリスの頭の飾りが落ちそうになっているのでそれを直す。

「さぁ、もうパーティに参加なさい」

 「はいはい・・」

 立ち上がり階段を下っていくと何人もの男が寄ってくる。

 目はハートを秘めていて・・

 正直

「キモイ」

「なにかいいましたか?美しい人」

「いいえ何も?(語尾みたいに白々しい)」

「可憐な貴女の瞳に私がうつることをお許しください」

「お世辞は止して(許可しないって言ったら失せてくれるの?)」

「あぁ、貴女の隣に立つに相応しいのは私しかおりません」

「あら(その自信はどこからくるのよナス顔)」

 その様子を遠くから眺めるラゴウとヴァニラ


「クリス随分なこと思うとるな」

「ま、分からなくはありますが」


 ヴァニラやラゴウの二人はまだ知らなかった。

 自分達にもこの火の粉がかかることを・・

「わんつぅとるりゃぁぁあああああああああ」

「なんでパートナー殴るわけ」

ダンスの練習中

リンは社交ダンスを踊ったことが無いというので練習を始めたのだが、あろうことが練習をするたびに練習の先生を投げ飛ばしていった。

アクは頭を押さえた。

「こんどの社交パーティはそこいらの貴族とは違うんだよ、王族レベルなんだよ!もっと言えばお前等のお婆様が来るんだよ!!!」

「だれ?」

「大婆様!」

クリスはダンス広場の階段の一番上に座っていたが、大婆に興味を引かれて手すりで滑り降りてきた。

「つまり、クスリの母ね」

「そう、私の母の母も、その母も来るわ」

「・・・ひぃ婆様?」

クリスの疑問にクスリは複雑そうな顔をした。

「そうよ、私達はこれといったことが無ければ基本不老不死なのだから、驚くようなことでもないでしょう?」

「まぁ、そうだけど・・社交界パーティになんで来るわけ?」

「決まっているじゃない。貴方達を見によ」

「だからこそ、リンにはダンスを・・っていない!?」

 リン逃亡。

「ラゴウ捕獲して来い」

「ほいな~」

 ぴっしゃーあん

 雷がラゴウを攫っていった。そして、ラゴウのいた場所に焦げ目がついていた。

「・・たく」

「ダンス如きで逃げるなんて、リンさんもまだまだですね」

「あら、ヴァニラ運動神経悪いと思ってたけど、ヴァニラは踊れるの?」

「勿論」

 ヴァニラは胸を張った。

「踊れませんわ」

「・・・・・」

 踊れんのかい・・。

「ヴァニラって・・」

「なんです?」

 クリスは言いかけた言葉を切った。

「なんでもない、さぁーて私もリン探しに~」

「アナタは別のことをしてもらうわよ」

 がし、クスリに首もとを掴まれる。

「な、なに?」

 クスリはにっこりと微笑んだ。

「賢いアナタだもの・・一日で覚えれるわよね?著名人の名前」

「ちなみに何人ぐらい?」

「10000」

 魔法を使って逃げようとしたクリスより先に魔法を展開して逃げられなくする。

「いーやー!何人来るのよ!?」

「クリスさん知恵の女神の称号も近々手に入れなさると聞きましたが?」

「それとこれとは関係ないでしょヴァニラ!」

「あぁ、そうそうヴァニラ」

「はい、クスリ様」

 クスリはクリスを掴んだままにーっこりと微笑んだ。

「アナタはその著名人の子と友人関係、メディア、家系図について一通り知っておきなさい」

「は?」

 氷の女神が固まった。

「大まかなことはクリスが覚え、細部はアナタが覚えるのよ」

「は、え、いえ、それは・・」

「主役はクリス。サポーターはヴァニラ・・いいわね」

 偉い人の圧倒的な圧力に屈したヴァニラは泣きそうな顔で「はい、心得ました」と蚊の鳴くような声で言った。首根っこを掴まれたクリスは心の中で手を合わせた。

 どんまいヴァニラ

「さぁ、リンとラゴウも同じように指示しなければね!ね!アークちゃん」

 どんまい私ら さっそく火の粉がかかりました。

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