上
「たるー」
リンはひらひらのシルク制のシンプルかつ麗しいチャイナ風ドレスを着ていた。装飾はすべて人間の貧乏な子ども達に提供しました。
「リン!お前ねぇ!なんで宝石一個もつけてないんだよ」
「アク!俺に近寄るな」
「?」
リンは鼻をつまんだ。
「香水くっっさい」
アクは化粧品に取り付いているからお化粧していないと憑依できないのである、でも香水はただの趣味。ちなみにリンは五感がいいためアクを拒絶。
「おいーさっさと終わらせろよ」
「まだはじまっても無いよ!!」
「てかクリスはー?」
「無視かい?!」
リンはめんどくさいものを見るような目でアクを見た後、近くにあった水コップを掴んでアクの顔を目がげて被せた。
「きゃああぁあああ!!」
か弱い悲鳴が上がり人々が振り向く。
「大丈夫ですか!?」
素のアクは可愛いので男が寄り付く。
「あ、あああの」
どもってる。素のアクはか弱い少女のような淑女らしい、きている服が過激だけど顔が可憐なので男は気にしないらしい。
リンは無視してあるいていく。
どん
「て」
「失礼。大丈夫ですか?」
「うん、ヘーきへーき、んじゃ」
「あぁ待ってください。あなたリン様でしょう」
「?」
リンは振り返ってまじまじと男を見た。オールバックで髪のながーい、スラッとした男だった。
なーんだぁ?狐みたいなヤツ(リンの感想)
「はじめまして、アル・バーニと申します」
「・・・・」
「・・・・・?」
「何処にウサギ耳あるんだ?」
「それはバニーガールかと」
「バニ男だっているぜ」
アル・バーニは表面上だけニコッと笑った。内心怒ってるだろうなー(リンの感想)
「で、なんか用?」
「あぁ、そうでした。リン様とクリス様の噂は良くこの耳に届いておりました」
「へー」
「はい、それでこんな噂を聞きました」
小声になったアル・バーニに耳を近寄せる。
「何でもお二人は『世界の理の書』1/10と5/10を持っていると聞きました」
「あーうん、まぁな~」
アル・バーニがにやりと笑った。
「どうかよろしければその本少しお貸し願えませんでしょうか」
「無理」
リンは即答した。
「あの本は半端なヤツが読んだら脳がドロドロに溶けて目玉が飛び出て耳と目と鼻から血が流れるぞ?俺は実際にそうなったやつを見たぞ。良くてイカレ死にだ」
アル・バーニはコロコロと笑った。
「私は大丈夫な自信がございますのご安心を。昔『世界新書』を読みきったことがあります」
「へー、俺はそんなの読んだこと無いから知らん」
リンは中々首をたてに振らない。
「まぁそこを-」
「リン?」
「わぁお?クリス?」
綺麗なドレスを完璧に着こなし、付けたる宝石は真珠のネックレスだけなのに、清らかな淑女のように十分に美しさをかもしだし、その優雅さは王族のような高貴さを表すかのようだった。
「馬鹿ね、私以外に誰がいるのよ?」
「そうだね、いやー化けたな」
「化けたとかゆーな」
勿論二人狙いだった男が見過ごすわけも無く、すぐにクリスの姿が見えなくなるようにクリスは男の群れに囲まれた。
リンは逆に追い出された。
「わぉーう」
くるくる、べしゃ・・まさか床に倒れる日が来るなんて。
「さすが美の女神綺麗よねー」
「あ、クスリ」
リンは鼻を押さえながら立ち上がった。
「てかクリスが美の女神ってはじめて聞いたぞ」
「今譲渡したもの」
「・・・・」
クスリ、クリスの母らしく自由人。
「それにしても予想外なのは、男達が近づきすぎてクリスにはどれも同じ顔にしか見えてないことでしょうよ」
「てかあれじゃ野菜畑だろ」
いろんなサイズの男も居たもんだ。
とりあえずの結果は
「今回は失敗ね」
「何回する気だよ」