ステップ5
「ふんふんふーん」
「えっと『村長』さん機嫌いいですね」
「あ、エリン」
クリスはいい笑顔で妖精宜しく幅広い土地に成分不明の魔法の粉を振りまいていた。エリンは庭の木の下で腰掛けたままその様子を眺めていたが、カレコレずっと魔法の粉をふりまいていた。
「ほらココの土壌がそもそも雲だから、ちゃんと土になるように魔法で雲そのものの成分を変えてるの、1000メートルまでは土ね」
魔法の粉をかけるのを止めるとそれまでただの土が畑のような掘り返されたふかもこの大地になった。
「あの村長さん」
「クリスでいいわよ」
「じゃ、クリス・・わざわざ雲を土にしなくとも本物の土を持ってきたらいいのでは?」
「出来ないこともないけど、重いじゃない」
この人っていうかこの神様の定義はいまいち良く分かりません。
「っていうかぶっちゃけ雲の上に住むっていう馬鹿らしいのをやってみたかった」
自分で馬鹿らしいって言っちゃってます。
「・・!」
クリスは手を広げた。
ぼぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおん!!黒い煙がクリス村の結界外を真っ黒に覆いつくした、 一足早いクリス村に『夜』がきた。
「リンね・・リン」
指を鳴らすと目の前に画面が浮かんだ。
「おおデジタル」
向こうのほうではどうやら阿鼻叫喚となっていた。まだ爆発が起きているし。
「リン!!!」
反応の無いリンの名を叫ぶ。
『ひゃ!?あぁクリス』
「『あぁ、クリス』じゃないわよ、なにしての?ものごっつ被害受けてんだけど?訴えたら賠償金くれるわけ?」
『やだよ』
「ことの次第によっちゃぁ全力で報復したあと貰うわよ」
「クリス・・がめつい」
『分かった、分かった風の流れかえればいい話じゃねーか』
「ってか、リンなにしてんの?」
向こうのほうでは爆発音が酷い、リンの笑い声だけが響く。
『わかんない』
「なんで分からないの?もーちょっとコッチきなさい」
クリスは手を叩くと上からリンが落ちてきた。
「ぶふ!?」
器用に顔面から落ちてきた。リンの姿までも真っ黒で砂だらけだった。
「リン説明してもらいましょうか?」
「説明って?」
怒りの笑顔を作ったままクリスはリンにいまだ接続中の画面をみせる。
「あぁそうそう、実はな~『ゴールドダッシュ』ならぬ『命がけダッシュ』」
「前のくだり関係ないじゃない」
リンは玩具で満足した子どもの笑みを浮かべた。
「もしかしたらいざって時に『兵士』がいるかもしれないだろう?だから鍛えてたんだ」
「それがどうしてこうなるのよ!!」
「さぁ?」
また再び爆発音が聞こえた。ずもももももも・・
「リン」
モニターを見ながらクリスは頭を押さえた。
「崩壊してるけど?あんたの村」
「ん?」
リン村まさかの崩壊。
「惑星が崩壊するってこういうことなんですね」
エリンはまた一つ学んだ。